第8話

「ほら、もう出ないと門限間に合わないよ」

「えー、嫌だー」

「いつまでもそんなこと言ってないで、ほら」

「嫌だああーって」

「はぁー、もう……。

……ほんと、しょうがないな。親には、自分で連絡してよ」

「えー? いいのー? やったー! ほんっと誠一君は優しいーなぁー」

「ごろごろしながら言われても説得力ありません」

「いーじゃーん。ごろごろしながら優しいって言ってもー」

「まぁ別に……、いいんだけどさ」

「ふふ。ほら、こっちおいでよー。一緒にごろごろしよー」

「はぁー……。ったく、もー……」

「ごろごろー」

「………………」

「ごろごろー」

「………………」

「ごろー……」

「………………」

「………………」

「………………」

「………………ね。世界に二人だけだったら、いいのにね」

「…………まぁ」

「……………………」

「……………………」

「こんなつまんない世界捨てて、二人でどこかに行けたらいいのにね」

「…………………………」

「…………………………」

「…………………………」

「…………………………」

「…………………………」

「………なんか、言って――」

「それならさ」

 本当は僕なんだ。

「…………?」

「二人でどこかにいこっか。今から」

 つまんないなんて世界のことを思ってたのは。

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