第6話
僕がその時目覚めたのは確かまだ陽も昇り切ってない明け方だったと思う。
頭がガンガンに痛くて視界がうすらぼやけていたから、はっきりと世界を認識するまで数分かかったと思う。薄い吐き気を催しながら、意識が覚醒するまでじっとしていた。
段々と頭痛が無くなって、まだ少し痛いけれども大丈夫かと思い目を開けると、最初に飛び込んできたのは君の姿だった。
僕の部屋に倒れていて、顔はうっすらと笑っている君の姿。
「あ…………」
僕の部屋の窓は開いていていた。
君から呼吸の音は聞こえてこなかったし、揺すっても起きなかった。このまま放って置いたらまずいことは明白だった。後悔なんてしている暇もなく慌てて僕は救急車を呼んだ。
君とはそれ以来っきり、会っていない。
そして檜扇ちゃんは、その年の秋から僕の目の前に現れ始めたのだった。
「誠一君―? あ、間違えた。代本さんー?」
それが僕の初めての彼女の話。
初めての彼女、名前は――。
「……亜希」
「はい? あ、起きてたの? 何?」
寝てるのか起きてるのか分からないまま、微睡みを邪魔されたので目を開けてみると、そこには先ほど夢の中に出てきた女性がいた。
「………………うわぁっ!?」
「ひっ! ……え、何?」
初カノが目の前にいた。
ナース姿の。
「え…………?」
「いや、だから……。何?」
怪訝な顔で、訝し気に僕を見ている。
かつて好きだった人が、ナース姿で、僕のことを訝し気に見ている…………。
――もしかして、これは。
「天国?」
「何が? キモっ」
…………天国?
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