part Kon 7/18 am 10:21


 

 今のトスも 半拍 呼吸がズレた…。


 

 神楽が 決めきれない。

 相手のレシーブ。

 ……トスは Bクイック。


 ブロックは 間に合わない。

 敵 MBのアタック。


 ボールは 自陣 右奥へ。

 日菜乃が 捌く。


 今度こそ 決めなきゃ…!


 落下点へと 動こうとするけど 反応が コンマ何秒 遅れる。

 結果 やっぱ 呼吸半分 トスのタイミングがズレる。


 ただ 幸運なことに 今度は 神楽が なんとか 決めてくれた。


 

「ナイッキー」



 なんとか声を出すけど 掠れて言葉に ならない。

 代わりに 滝のような汗が 額から 頬を伝う。


 背筋にも 今まで 感じたことの無い 冷たい汗が 流れるのがわかる。


 原因は 右足首。

 さっき 小たまに上げたジャンプトスの着地で 痛めた。

 激痛が走るワケじゃあない。

 でも 動く度に 鈍い痛みが 背筋せすじを 駆け上がり 反応が遅れる。


 まさか あたしが…って思う。

 だけど 最近 ……いや ずいぶん長い間 ストレッチをサボってた。


 戦術ノート書かなきゃ。

 学校の課題が。

 亜樹と いっぱい おしゃべりたい。


 気がつけば 夜のストレッチ時間は 失くなり 朝も 軽くこなして すぐに トス練習。


 ……自業自得。


 でも チームのみんなに 迷惑かけるワケには いかない。

 あたしは キャプテン。



 こんなところで チームを負けさせるワケには…。

 スコアボードを 見る。

 第1セット 身体 ガチガチで パフォーマンス悪くて 競り負けた。


 監督に 檄 飛ばされて チームとあたしに気合いが入った。

 8ー5。

 藤工リードで セットは 中盤。

 

 ここが勝負所。

 ここで 突き放せば 藤工 有利で第3セットに 持ち込める。

 足が 痛いなんて 言ってる場合じゃない。


 神楽と日菜乃が 前衛にいる 今のフォーメーションで 突き放す。


 やる。


 藤工のサーブ。


 清栄のレシーブ。

 ……トス。

 アタック。


 うちの1年生リベロが 難なく捌く。

 やっぱ あの子 天才。


 ドンピシャのレシーブが あたしの頭上へ。


 ニアサイド裏側に 日菜乃。

 オープンのファーに 神楽。


 ここは Cクイック。

 日菜乃を使う。



 トスは 悪くなかったと思うけど 日菜乃が 遅れた。

 打点が低い。


 バシッッ!

 

 鋭い打撃音。

 相手の2枚ブロックに阻まれる。


 ボールは あたしの背面 日菜乃の足元へ。

 足元のブロックボールは ケガの元。


 とっさに 痛めている右足をかばい 左足一本で 着地しようとする。



 バチンッッッ!!!



 何かが 激しく千切れる音。

 そして あたしの世界が 暗転し 反転する。


 ………。

 ……。

 …。



             to be continued in “part Aki 7/21 am 10:21”


 

 


  

 

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