海月宮にて

ついに待ちに待った『夢叶地』ドリームシーズンがやってきた。今日はその前夜祭。とはいっても、本祭は7日間続きその後の後夜祭もあるのでまだまだこれからだ。

前夜祭は『夢叶地』の開催が文月しちがつなのに合わせて『楽園』ユートピアの中で最も温暖な『海月宮』くらげみやで行われることになっていた。その中で赤花星カランコエの分家たちには知られていない秘密裏に建てられている夏を司る『赤花星』の屋敷で前夜祭と本祭の一日目が行われることになっていた。今は馬車で『海月宮』の空港から屋敷へ向かっている途中だ。


「すみれ〜!!今日からついに『夢叶地』だよ!楽しみだね!」


莉蘭りらったら、ちょっと騒ぎすぎよ。今日は前夜祭だから赤花星カランコエ同士の近況報告とお互いの異能ローズの力を使ったちょっとした出し物をするだけよ。」


「でも一年ぶりの『夢叶地』だよ?楽しみに決まってるじゃん!!それに今年は私の彼氏もできるかもしれないんだし、今回から仮面を外してのイベントだから初めて『赤花星』で集まるから楽しみだよ!」


そう今までの『赤花星』での集まりでは仮面をつけて行われていた。だからお互いの素顔は知らない。すみれたち『天使花』エンゼルランプは私達『赤花星』を護衛しなければならないので、仮面はつけていないらしい。ただ今年の『夢叶地』では私達の代の『赤花星』が17歳になる年なのでお互いの婚約者を決めなければならない。

ただ、私は『赤花星』の寿命は7777777年あるのでたった17年で婚約者を決めなくてもいいと思っている。まあ、彼氏はほしいけど。


「莉蘭は彼氏って言い続けてるけど、婚約者だからね!莉蘭からは花の香りもするから結構気になってる人が多いって他の季節の『天使花』の中でも話題になってるのよ。それも香りがそれぞれの好みに合わせたものに変わるしね。だから今回も莉蘭相当モテると思うわよ。」


「そんなことないって!絶対お世辞だよそれ!」


そうすみれたち『天使花』は定期的に集会が行われ、この前の盗賊はこうだったとか色々情報を分け合っているらしい。まあさっきみたいにお互いの『赤花星』についても話すらしい。ちょっと恥ずかしいな。


「それより莉蘭、もうすぐ会場だよ。仮面ないから莉蘭が誘拐されないか心配だわ。まあ、私が護衛してるのに襲ってくるバカはいないだろうけど。」


「すみれは強いもんね〜。そのへんの男の人よりもずっと。」


「まあね。あ、もう門通過したよ!」


ついに屋敷についた!!楽しみだなあ。


「莉蘭様、すみれ様。ようこそお越しになりました。ここで執事長を務めさせていただいている碧海 湊斗あおみ みなとと申します。なにか困ったことがございましたら、遠慮なく何でもお聞きください。」


「お気遣いありがとうございます、碧海様。それでは失礼させていただきます。また前夜祭でお会いしましょう。」


「ええ。ではお二方とも前夜祭までごゆっくりどうぞ。」


それにしても碧海様が案内してくれたお部屋が広すぎてどう過ごしていいかわからない。


「すみれ〜。まだ時間あるから花占いでもしよ!」


「どこまでも自由ね、莉蘭は。」


いつもとは違う『夢叶地』全力で楽しむぞ〜!!



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