第2話 私のステータス

「本当!?ステータスってカスタマイズするんだね!楽しみ!」


憧れの魔法を選ぶなんてすごくドキドキする〜!

私はどんな魔法を使うかあれこれ想像する。


ルーナが指で『ウインドウ』をスライドさせると表示が変わった



〝ステータス〟

【名前】風上かざかみひなた  【年齢】14歳  【種族】人間  【レベル】1


〔HP〕30/30 【職業】

                  

〔MP〕60/60    【固有スキル】


〔攻撃〕10     【魔法】              


〔防御〕10             


〔素早さ〕10



どうやらこれが今の私のステータスみたい。空欄のところを決めたりするのかな?


「ひなたは、異世界で何をしたい?そのしたい事によって魔法の相性とかもあるからね!」


「異世界って事は魔物とかもいるんでしょ?」


「そうだね。魔物の他にエルフやドワーフとかいろんな種族がいるよ。」


「なら私は、いろんな攻撃魔法を使ってかっこよく敵を倒す!それで困ってる人を助けるの!」


「なるほど、攻撃魔法だね!」


「あのアニメの魔法とか、あの魔法も使いたいなぁ〜」


「じゃ、ひなたは冒険者になりたいってことでいいの?」


「うん!いろんな魔法が使える職業とか、スキルとか無いの?」


「スキルは職業によって違うの!だからまずは職業を選ぼう!魔法が使える職業は〈魔法使い〉や〈魔剣士まけんし〉とかだね」


パチンッ


またまたルーナが指を鳴らした。すると今度は『ウインドウ』がもう一つ現れてこう表示された。



〝職業〟

〈魔法使い〉 習得済みの魔法を詠唱付きで使用できる。使用魔力15%減


魔道士まどうし〉 〈魔法使い〉のレベルが上がると〈魔道士まどうし〉にグレードアップする。基本属性(火・水・風・土・光)の魔法を全て詠唱なしでも使用できる。使用魔力20%減


大魔道士だいまどうし〉〈魔道士まどうし〉のレベルが上がると〈大魔道士だいまどうし〉にグレードアップする。全属性(基本属性+闇・精霊・神聖)の魔法を全て詠唱なしでも使用できる。 使用魔力40%減

―――――――――――――――――――――――――――――――――

魔剣士まけんし〉 〈魔法使い〉と同じ魔法が使える剣士。魔法の威力は半減するが、使用魔力の減少は無い。


賢者けんじゃ〉  〈魔剣士まけんし〉のレベルが上がると〈賢者けんじゃ〉にグレードアップする。〈魔道士まどうし〉と同じ魔法が使える剣士。魔法の威力は30%減少するが、使用魔力の減少は無い。


大賢者だいけんじゃ〉 〈賢者けんじゃ〉のレベルが上がると〈大賢者だいけんじゃ〉にグレードアップする。〈大魔道士だいまどうし〉と同じ魔法が使える剣士。魔法の威力の減少は無いが、使用魔力の減少も無い。



「簡単に言うと〈魔法使い〉は魔法専門職で、いろんな魔法が使えるし威力はそのままで使用魔力が減少するの!だけど、〈魔法使い〉は剣とかを使った攻撃には向いてない。そこで〈魔剣士まけんし〉!〈魔剣士まけんし〉は威力が減少するけど、〈魔法使い〉と同じ魔法が使えるし剣を使った攻撃もできる!それとどの職業も職業レベルが上がればグレードアップするからもっと良い職業になれる!」


「へぇ。〈魔法使い〉もいいけど、私は〈魔剣士まけんし〉の方が好きかな!魔法も使えて、剣も使えるって超かっこいいじゃん!!」


「オッケー!〈魔剣士まけんし〉ね!次は固有スキル!これが〈魔剣士まけんし〉が使えるスキルと転生者特典スキルだよ!」


またルーナが指で『ウインドウ』をスライドさせるとまた表示が変わる。



〝固有スキル〟

《ラーニング・ファスト》 魔法の習得が速くなる。常に発動する。


《アビリティーアップ》  全身を強化する。指定で部分強化可能(体力向上・俊足・視力強化など)


《ソードシップ》     どの敵をどのように倒したいのかを思い浮かべると身体が自然に動く。オートモードあり。


《コモン・ラングウィッチ》どんな言葉でも理解でき、話すことができる。(転生者特典)


《ストレージ》      さまざまな物を収納出来る空間。収納の空間はレベルが上がると大きくなる。(転生者特典)


「この転生者特典のスキルは滅多にないスキルだから信用できる人以外は話しちゃダメだよ!前に異世界のお偉いさんに目をつけられてめんどうなことになった子がいたからね!………あと、これに加えてひなたが気に入りそうなスキルがあるんだけど………」


「だけど?」


「《マジカルクリエイター》。その名の通り、自分で魔法を作れるの。ひなたがアニメみたいな魔法を使いたいと言ってたから。このスキルならひなたが想像する魔法を使うことができる。けど、このスキルは使用禁止になってるの」


「《マジカルクリエイター》!?絶対欲しい!でも、使用禁止ってなんで?」


使用禁止ならなんで私におすすめするんだろ?そう思ったけど、

私の職業を決めた時までは明るく、超ハイテンションで話していたルーナが《マジッククリエイター》を口にしてから人が変わったように真剣な表情で静かに話しているのを見た私は気持ちを引き締めてルーナの次の言葉を待った。


「………ひなたもこれから転生する世界でこのスキルを使い、さまざまな悪事を働いて人々を困らせ、『魔王』と呼ばれるようになった者がいたの。その時にこのスキルは私達女神が使用禁止にしたんだけど。………じつはその『魔王』はひなたと同じ転生者なの。その子も15歳以下で転生の条件をクリアした子だったから、私はこのスキルを習得させても悪いことには使わないだろうと信じてこのスキルをあげた。………なのに『魔王』と呼ばれるようにまでなってしまって………ひなたに『魔王』を倒して欲しいの。『魔王』を倒すと約束してくれるなら《マジカルクリエイター》はダメだけど、その代わりに効果が似たスキル《マジカルローズ》をあげられる。………ひなたさえ良ければなんだけど………」


………「分かった!私に任せて!」


私はこういう真剣な空気になると怖気ついちゃうから、わざと明るく答える。


「本当に!?『魔王』を倒すなんて危険だよ!いいの?」


「いいの!私さっきいったでしょ?いろんな攻撃魔法を使ってかっこよく敵を倒して困ってる人を助けるって。今ルーナは困ってるんでしょ?なら私がルーナを助ける!」


私が自分の胸を叩いて言った。

うわっ!少し目を潤ませてるけど、とても嬉しそうな顔をしたルーナが私に飛びついてきた!


「ありがと〜!!今まで『魔王』退治を引き受けてくれた人いなくて私は干渉出来ないし、すっごい困ってたの〜!!」


私に抱きついて「ありがとう」と繰り返すルーナは急に「あっ!そうだった!」っと呟いて私から離れる。


「ひなたが引き受けてくれたから、スキル《マジカルローズ》をあげなくちゃね!」


「《マジカルローズ》ってどんなスキルなの?」


「このスキルは薔薇の魔力を借りて、新しい魔法をつかうスキルなの!とても希少でおとぎ話の中だけと言われるようなスキル、『奇跡の薔薇』とも言われているのよ!ひなたには特別にこのスキルをあげる。でもちょっと厄介なのは手元に薔薇がないと魔法が発動しない事。だから薔薇を育てられる秘密の場所、ローズパラダイスをひなたにあげる!そこでたくさん薔薇を育ててたくさん魔法使ってみて!!」


「すごい!そのローズパラダイスってどんなところなの?」


「それは転生してからのお楽しみ!魔法とかは職業に合うものがレベルに合わせてゲットできるから、あと必要なことはひなた自身の事だね!名前とかを決められるよ!せっかく異世界に転生するんだからかっこよくしちゃおう!」


「名前を自分で決められるの!?うーんそうだなぁ〜」


ルーナは目をキラキラさせてこちらを見てる。私がどんな名前に決めるのか興味津々みたい。


今の私の名前、風上かざかみひなたも結構気に入ってるけど、ルーナの言う通りかっこいい名前がいいなぁ。いつかお母さんに聞いた「ひなた」の由来は確か「太陽に照らせれた日向ひなたで元気よく育って欲しい」だったな。太陽かぁ………太陽は英語でサン………確かフランス語か何かでソレイユだったはず………うん!ソレイユいいね!あとは………私がアニメで好きなシャーロットちゃんの名前を使うのも良いかも!それなら………


「シャーロット・ソレイユ………」


下を向いてしばらく考えた私はそう呟いて顔を上げ、ルーナに私の新しい名前を伝えた。


「決めた!私の名前はシャーロット・ソレイユ!!」


「いいね!シャーロット・ソレイユかぁ。じゃぁ改めてよろしく!シャーロット!…でも私はひなたって呼びたい!いい?」


「うん!いいよ!」


「ありがとう!…じゃぁ、これで異世界に転生する準備は終わったよ!」


「やった!もう異世界に行けるんだ!」


私は嬉しくてバンザイしてぴょんぴょん飛び跳ねた。そしてちょっと気になった事をルーナに聞いてみた。


「そうだ!聞きたいんだけど、もしかして異世界に行ったらルーナと会えなくなるの?」


「ううん!いつでもって訳じゃないけど、会えるよ!ローズパラダイスに来てくれればね!」


「よかった!ルーナと会ったばかりだけど気が合うし、もっと仲良くなりたいと思ったから!」


「うん!じゃぁひなた、準備はいい?」


「いいよ!」


パチンッ


3回目のルーナの指鳴らし。目の前の2つの『ウインドウ』が消えた。


「ひなた、こっちに来て!」


ルーナは椅子から立ち上がり、こっちに来ると私を手をひっぱって椅子から立たせた。そしてそのまま私が座っていた椅子のさらに後ろの、さっきまで何も無かったはずの所に私を連れて来た。そこには茶色でデザインの凝った両開きのドアが現れていた。たぶん3回目の指鳴らしで現れたのだろう。

私をドアの正面に立たせるとルーナが今までに無いぐらい元気な声で言った。


「さぁそのドアはここと異世界を繋ぐドア。そのドアの向こうはもう異世界だよ!」


そう言われて私はドアを両手で開け、足を踏み出そうとして止めた。

そして振り返って最高の笑顔でお礼を伝えた。


「ルーナ!ありがとう!またね!」


「うん!またね!ひなた!またすぐに会えるよ!」


ルーナもまた、最高の笑顔だった。

それを見て私は前を向き直し、ドアを通った。


ドアの向こうから強い光が差して私は目をつぶった。─────────────────────────────────

第2話「私のステータス」お読みいただきありがとうございました!


次回第3話は11/12の18:00投稿です!

次回も読んで下さると嬉しいです!お楽しみに!

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