Side 照井 永嗣

第15話

 大毅だいきの招集で、今年もまた全員が集まった。

 白楽はくらの命日。今年で5回目。

 彼がいなくなってしまってから、5年が経っている。

 感覚的にはもっと長いような、つい昨日のような、不思議な感じだ。

 あの日、何故彼はあんな場所を走りに行ったのか。ずっと不思議だった。

 バイク通学をしているのは知っていたが、それにしたって彼の家の方角ではない。

 だけど数年後にようやく分かった。

 バイク乗りの中では、あの道はちょっとした運試しのような道だったらしいと。それも、恋愛絡みの。

 あの日、俺は白楽に告白をされた。

 と、いうことは。

 白楽の死には、俺もかかわっているのかもしれない。


 中学の時、ひょんな事から、それまで友達だと思っていた奴らに手の平返しをされて、徹底的にいじめられた。

 ひょんな事とは、いじめをやめるように注意したこと。

 何の事はない、標的が、それまでの奴から俺に変わっただけだった。

 と言っても、暴力行為を受けた訳ではない。完全無視というヤツだ。

 それは卒業まで続いた。俺はずっと独りだった。よく、登校拒否もしないで通っていたなと、自分を褒めてやりたいくらいだ。

 それでも、無視されているだけだったし、意地もあったのかもしれない。

 お前らみたいに群れなくたって、俺は独りでもやっていけると、いじめている奴らを見返したかったのもある。

 結果、無事卒業を迎えられたのだから、俺の勝ちだろう。

 けれどもやはり、独りぼっちの寂しさを拭い去る事は難しかった。


 中学で人間関係に懲りた俺は、高校は知っている奴が誰もいないようなところを選び、そこで大人しく高校生活を送ろうと決めていた。

 目立たないように、極力人と関わらないようにして。

 それなのに、2年になって俺に纏わりついて来た奴がいた。

 それが、明暗めいあん白楽はくらだ。

 白楽とは1年では別のクラスだったが、1年の頃からなんとなくは知っていた。

 一言でいえば、白楽は明るくて目立つ存在だったのだ。俺が最も近づきたくない存在。なんせ俺は、目立たないように高校生活を送ろうとしていたのだから。

 だけど、2年になって同じクラスになるなり、白楽の方はお構いなく、暇さえあれば俺を構って来た。お陰で気づけば俺は、白楽グループの仲間入り。

 当初は戸惑いもあったけど、次第にそれもに馴れて来てしまった。

 楽しくさえ、感じていた。


 白楽は、中学で殺された俺の心を、生き返らせてくれたのだ。


 白楽派の人間はクラスに大勢いたが、白楽グループ、つまり常に白楽の側にいる人間は、俺の他に3人いた。

 しの千景ちかげ在原ありはら美也子みやこ伊津いづ大毅だいき

 美也子と大毅は似たタイプで、人とは少し距離を置いて接するタイプ。

 千景は白楽寄りで、グイグイ近づいてくるタイプだ。

 中学の時、1日も誰とも喋らない日がほとんどだった俺は、グイグイ話しかけてくる白楽と千景に圧倒されつつも、次第に千景が気になり始めた。

 それが恋愛感情なのかどうかは、正直なところよく分からなかったが。

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