第6話
「ちょっと屋上に来てくれないか。話がある」
あの日の昼休み。
自慢じゃないけど、私耳はすごくいいの。白楽はコッソリ話していたようだったけど、私には分かっちゃった。
なんだろう、話って。ここじゃ、私や
私も大毅も1年からずっと同じクラスで白楽とは一緒にいた。それなのに、なんで2年からポッと入って来た永嗣とばかり白楽は一緒にいるんだろうと、ただでさえ不満があったのだけど、この時はさらに不満が募ったのを憶えている。
永嗣はずるいって、本当は思ってた。だって私、白楽の事が好きだったから。
いつでも明るくて、周りをグイグイ引っ張っていく力があって、そんな白楽の側に居たいって、いつの間にか思ってた。だからいつも側にいるようになった。
白楽が私を女として意識していない事になんて気づいていたけど、それでも良かったの。側に居させてもらえるだけで。
私が側に居る事を、楽しんでくれているみたいだったから。
千景は白楽と中学から一緒だったから仲が良いのは仕方ないとしても、なんで永嗣が四六時中白楽の側にいるんだろう?
なんで白楽は永嗣と四六時中一緒にいるんだろう?
そんな風に思って、嫉妬もしてた。
白楽には誰か好きな人がいるんだろうか?
それならそれでもいい。でも、そんな噂は聞いたことが無いし、本当にもし白楽に好きな人がいるなら、私たちに言ってくれるような気がする。
だって、白楽と私たちの仲だし。
仮に白楽が教えてくれなくたって、私なら何となく、気付ける気がする。白楽が好きな人くらい。だって、それくらい私、白楽のこと見てるから。
今のところ白楽と仲がいいのは、千景くらいだし、白楽と千景はそんな関係じゃないってことは見ていればわかる。千景は永嗣のことが気になってるみたいだし。
今、白楽が夢中なのは永嗣だけだ。永嗣の何がそんなにいいのだか私には分からないけれど、でも、他の女子に夢中になられるくらいならまだ永嗣の方がマシだと思う。
もし。
もし、白楽に好きな人とか彼女ができたら、その時は私も諦められるのかな。
その時私は、やっと白楽から卒業できるのかな。
だったらその時までは、私、白楽から卒業しなくていいよね?
ね?白楽。
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