Side 在原 美也子
第5話
今年、
高校の時、白楽を中心に集まっていた私たちだから、白楽が居なくなってからはなんとなくバラバラになってしまったけど、それでも彼の命日には全員かならず集まっている。
こんな時、あぁ白楽は今でも私たちの中心にいるんだなぁって、改めて思う。
高校を卒業してからでさえ、なんだかんだと一人も欠ける事無く、毎回全員集まっているんだもん。やっぱり、白楽ってすごい。
さすが、私の想い人。
もしかしたら、私たち以外の人も彼を
だけど、それはお断り。
私たちは私たちだけで、白楽のことを偲びたい。
「もし白楽がいたら、今頃何してたんだろうな」
こう切り出すのはいつも
私はいつものようにこう答えた。
「バイクが好きだったから、レーサーとかになってたんじゃないかな」
まずは高校前で集合して、それから大毅が予約したお店に移動する。
これも毎年のこと。
集合を掛けるのも、毎年大毅だ。そう決めた訳ではなかったけど、彼はマメな人だから。
もし白楽がいたら、もちろん集合を掛けるのは白楽だっただろうけど、お店の予約はきっと大毅がしていたんだろうなって思う。
「大毅、いつもありがとう」
「いや、僕が行きたいお店をいつも予約してるだけだから、気にしないで」
そう言って大毅は笑う。
そうじゃない。
私が言っているのは、いつも集合を掛けてくれること。
だから私たちはずっと、白楽の事を忘れずに想い続けられる。
毎年命日にはみんなで集まっているけど、白楽の事故があったあの日の事については、何故か話題に上らない。それこそ、不自然だと感じるくらいに。
なんでだろう?
私だって、白楽になにかあったのだったら、その真相を知りたいのに。
毎年みんなで集まる度に、私はあの日の事を思い出していた。年を追うごとに薄くなってしまう記憶を手繰り寄せて。
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