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その言葉に、私の心臓が一気にバクバクとして・・・
勝也の言葉を聞くのが怖くて・・・
自分から言う・・・。
「私じゃ・・・ダメだった?」
涙が流れてきて・・・
「私じゃ、“彼女”にしたいと思えなかった・・・?」
「・・・そうじゃないよ。」
「どんな子だったら・・・勝也の“彼女”になれるの・・・?
告白してもらえたの・・・?」
「莉央・・・落ち着けよ・・・。」
落ち着けない・・・
落ち着けない・・・
止まらない・・・
止められない・・・
モヤモヤモヤモヤモヤモヤ・・・
止まらない・・・
止められない・・・
「勝也・・・私、キライ。」
言って、しまった・・・。
私の部屋の中、ベッドの上・・・
しばらく2人とも何も話さず、動かず・・・
私の涙だけが止まらず流れ続けた。
でも、勝也の腕枕からは動けなくて・・・
勝也もそのままでいてくれる・・・。
私は少し冷静になってきて、少しだけ笑ってしまった、自分に・・・。
私のこういう所が、ダメだったんだと・・・
料理だけじゃなくて、私のこういう所が、ダメだったんだ・・・。
昔から、私にはこういう所があって・・・
気を付けて生活しているつもりだけど・・・。
最初の1ヶ月で、何かを言ってしまったのかもしれない。
こんなんじゃ、“彼女”にしてもらえなくて当たり前だった・・・。
こんなんじゃ、告白だってしてくれなくて当たり前だった・・・。
こんなんじゃ、家にいたくないって、出ていこうって思うのは・・・
当たり前だった・・・。
そう、思った時・・・
勝也が強く、私を抱き締め・・・
「それでも、俺は莉央が好きだから・・・」
と・・・。
驚きすぎて、思考が停止していて・・・
涙も止まり・・・
勝也に強く抱き締められたまま、何も言えなくて・・・。
そしたら・・・
「莉央が俺のことキライでも、俺は莉央のこと好きだから。」
と・・・。
また、勝也が言ってくれた・・・。
私は深呼吸を何度かし、勝也を見る。
そんな私に、勝也は面白そうに笑い掛けてきて。
「莉央のそういう所、久しぶりに見たな。」
「ごめん・・・。」
「久しぶりに見たけど、やっぱり可愛いな。」
絶対に嘘だと思ったけど、勝也を見ると本当に嬉しそうに笑っている・・・。
「今のは俺のことが好きだから言ってるの分かるし、俺だからいいけど・・・。
他の人には気を付けた方がいいな。」
「はい・・・って!!
私が勝也のこと好きなの、分かってたの!?」
「それは分かるだろ!
莉央だって、俺が莉央のこと好きなの分かってただろ?」
「・・・分からなかった。」
勝也は驚いた顔をして、私を見ていて・・・。
「急に私への熱が下がったし、デートもしてくれなくなったし、勝也からのお誘いはなくなったし・・・私が誘っても断られてたし・・・。」
それに・・・
「“俺とばっかり“いたして”たら、彼氏出来ないぞ”とか言うし・・・。」
不安に思っていたことを一気に喋ると、勝也が困ったように笑った。
「俺は・・・莉央の“彼氏”でいる資格があるのか、自信なくて。」
「自信持ってよ、勝也は良い男だもん。」
「全然良い男じゃないだろ!」
勝也が大笑いしてから・・・
溜め息を吐いた。
「申し訳ないんだけどさ・・・俺、金もないから。」
「知ってるよ。」
「あと・・・2年だな。」
「2年?」
「2年経ってからだと余裕出来るから、それまで・・・待たせることになる。」
「待ってるよ、2年なんてあっという間だよ。」
勝也が笑ったので、私も笑う。
「だよな・・・2年はあっという間だろうな。」
そう言いながら、勝也が結構しっかりしたキスをしてくれ・・・
その途中で、大変なことを思い出した。
「・・・っ、勝也、私・・・バレンタイン忘れてた、ごめん!!」
*
それから、平和に月日は流れ・・・。
また次の冬・・・12月になった。
私も24歳になり、社会人2年目に。
違う、正確には・・・勝也との生活では平和に月日が流れた。
会社では結構大変なこともあったけど・・・。
「美マネちゃん、お料理は上達した?」
休憩室、ランチを食べながらお姉様方に聞かれる。
隣に座った“こだま”ちゃんの美味しそうなお弁当を見ながら、私は苦笑い。
「全然上達しません・・・。
毎日必ず1品は失敗してしまって。」
「素とか使ってる?
お肉とか野菜とか炒めて、素入れるだけで絶対に失敗しないよ。」
「使ってますね・・・。
この前は、中華の使って・・・ニンジンも茄子も生みたいでした。」
お姉様方が大笑いしていて、それにつられて私も笑う。
もう、笑うしかない、自分の料理のセンスのなさに。
「美マネちゃん綺麗だし仕事も出来るし、性格も良いから・・・1つくらい抜けてる方がいいのよ。」
「私・・・性格悪いんですよね。」
「え!?大橋さん、性格良いですよ!?」
隣に座る“こだま”ちゃんがそう言ってくれ、我が社の“こだま”様に両手を合わせる。
「生だったら、レンジでチンすればいいから。」
「私のはしたんですけど、“彼氏”はしないで笑いながら食べてました・・・。」
「良い彼氏じゃん、大切にしな~。」
「クリスマスどうするの?
外食とかにするの?」
「“彼氏”、クリスマスが誕生日の人なんですよね。
去年も家で料理してくれて、今年も家で自分で料理してくれるみたいですね。
私は食べる専門で・・・。」
お姉様方から「いいな~」と言ってもらい・・・
「今年のクリスマス土曜日だけど、シェフでもお休み取れるんだ?」
と・・・。
「一昨年は仕事だったみたいですけど、去年と今年は休んでくれるそうです。」
「良い彼氏じゃ~ん。」
「“こだま”ちゃんも、家来る?」
「そんな邪魔するわけないじゃないですか、彼氏さんと2人でラブラブしてください。」
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