可哀想なあの子

ツインピース

可哀想なあの子

「ざーこ……オタクのざーこ」

少女は机に向かって話しかけている。

「ねぇんぇ〜オタクくーん雑魚すぎ〜寝たふりしかできないの〜?きもー」

少女は机に座り煽るような口調で話す。

「ねぇ……オタクくん?聞いてる?あっ図星で黙っちゃたの〜………」

教室で独り言を話す少女を見てヒソヒソと影口が言われる。

「可哀想だよね………」

「うん……あの子のせいだけどね…」

そんな声は聞こえず少女は煽り続ける。

「オタクくん………ごめっ」


少女がこうなったのは四ヶ月前。

「うっわぁきもきもオタクくんだ〜」

「なっなんだよ」

「うふふっ、雑魚すぎて〜私悲しいな〜あれ?泣いちゃった?」

「うるさいな」

「あー怒っちゃった!こわ〜い」いつものように煽っていた。

放課後少女は煽っていた男の家に遊びに行った。少女は男のことが好きなのだが素直になれないだけだった。

「オタクっ…………」

その日少女の目の前にあったものは

好きな人の首吊り死体だった。

「おあたっ……はぁはぁ……うっ」

男の遺書には少女にされたことが書かれていた。

「うっ………おぇっ……」少女は走って逃げた。

家に帰ると吐き気がしてくる。

「おえっ………ごえぇ……お゛え゛ぇゔぇぇ」

少女は自分の部屋に篭る。

「ちょっと!いdjwkどjwmそdmをdmdm」

「はぁ………はぁ………」

「mどwjmどcめおcおjwj¥」

「ごめっごめんなざい゛ぃぃぃ……お゛え゛ぇ゛ぇ゛え゛え゛」

親の声がぐちゃぐちゃに聞こえ耳には男の声が反響する。

少女が篭ってから二ヶ月がたった。

「おっおかあさん………」

「謝りに行くよ」

「うん……」

少女は謝りに行った。

「ごめっんなさい………」

「遺書です…」

「えっ?」

「遺書ですあの子の呼んでください」

「ごめんなさい」

パァン!頬を本気の力で叩かれる。

「あなたを訴えません退学にもさせませんでも、あなたがあの子を殺したことは一生覚えてください」

少女は何もできずに帰っていった。

「うっ……うぇ…」

その日少女の目の前に男が出てきた。

「おっオタクくん!」

「なんだよ」

「そうだよね……オタクくんは死ぬ勇気なんてないもんね」

それから少女は見えるようになった。


「あはっあはは……ううっゔぇ゛え゛え゛え゛」

今日何回目の嘔吐。

「オタクくん……私が悪いもんね」

ぬいぐるみを抱きしめる。

「私が……ね」

少女は男に会いにいった。

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可哀想なあの子 ツインピース @ikitene

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