お前死にたいのか。

視線がよく刺さってる。流石にこの格好は蛮族すぎたか?


ヒソヒソ話してるのが聞こえるが何を言っているのか分からない。その気になれば聞くことが出来るがめんどくさいからやらない。


適当に情報を集めるなり何なりしないとまずい状況である事を忘れてはならない。何しろさっきまで山で生きてきた人間だからな。戦闘スキルはあっても基本的知識は現世のままだ。


そうして彷徨うことしばらく。

なんかとんでもねえ痴女達が来た。

いわゆるビキニアーマーってやつか?異世界特有だな…にしてもそれ物理防御カスだろ。


「ここら辺を彷徨いている露出高めの格好をしたやつはお前だな!?」

「露出高いのはテメエらだよ!」


イカれてんのか!お前らだけには言われたくないね!


「お前らどこのどいつだよ…」

「我らは誇り高き王国騎士団だ!」

「お前らが騎士とか終わってるなァ…」


まだそこら辺のホームレスのほうがよっぽどマシだ!


「それとお前ら俺に魅了掛けてんな。」

「なぜ分かった…」

「何しろ山で10年近く育ったからそういうのには鋭くなってんだ。」


そのおかげで常識類が殆どねえけどな!


「お前らは俺の敵なのか?」

「敵なら」


殺す。


身体に刻まれた文様の色が濃くなり何ならちょっと広がった気がする。


「ここで剣を抜けばそのまま首を切り落としてやる。」


背中のフラガラッハに手をかける。闘争心が湧き出す。


「死にたい奴から剣を抜け。」


真っ白な刀身がより目立つ程にこの街の雰囲気とは異なる。


これが真っ赤に染まりかけた時…


「落ち着け…私達は敵では無い…」

「……そうか…」


背中のフラガラッハの出番は無さそうだと思い手にかけたフラガラッハをしまう。


そのまま俺はその辺の家の屋根に乗って逃げて行った。


「あの…捕縛命令は…」

「あっ!忘れてた!!」


蕃族は情報を集めるべく次の場所に向かった。


「んで具体的にどこに行けば良いんだ…。」


んなこと俺にわかるか!F○ck!


そんなことはつゆ知らず俺を狙う淫魔共。全員首切ってやろうか。


「流石にこの格好は合ってねえか…」


この洋風の剣に蛮族風の服は合ってなかったっぽい。


でもこれクッソ動きやすいしなんか知らんけど攻撃力が上がるんだよ(攻撃的にもなるがな!)


「金を手に入れなければ…」


大体こういうのってギルドがあるじゃん?でもそれらしき物がねえんだわ。あるのは風俗っぽい店のみ。どうなってんだこの街。ホテル街より酷えぞ。


隣の国にでも…どうやって行けばいいんだ?


「まぁこのまま直進してきゃどうにか他の国に着くだろ!」


そうして脳筋突破すべく直進を始めた。

蛮族直伝!困ったときの対処法!


「脳筋突破すりゃなんとかなるさ!HAHA!」


これさえ覚えておけばだいたいこの世界ならうまくいくから!


でもさ。なんか前にクソデカ城が見えてきたんだけど。


「ピンク色の霧のせいで見えなかった!まぁこのまま突っ切ればええか!」


困った時の脳筋突破!わかったか諸君。


このまま突っ切る!

脳筋突破の特徴を教えよう。

殆ど考えずに次の場所にたどり着ける。

ただし面倒事も発生する。

このように。


城壁をぶっ壊し内部に侵入する。


「進路上に壁があったらぶち破るしかねえからな!」


二枚目もぶっ壊す。


三枚目は若干硬かったのでフラガラッハを取り出した。


「邪魔だボケ。」


一撃でもう一枚ついで感覚で粉砕する。


五枚目も切り裂く。簡単な作業だ。なんで死人が出ないか不思議〜


六枚目をぶち抜いた所で異変に気付いた。


「何で人が来ないんだ?」


人がいなさすぎる。


「この城もう捨てられたのか?」


まぁそれなら別にいいか。


そうして俺の道を阻む壁を全てぶっ壊し遂に外に飛び出る。


そうして俺はランニングを再びし始めるのだった。

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