高瀬家の裁断

hetro

第一話

「私は2020年度までの会長職を最後に名誉会長となり現場からは一線を引く」

この言葉から高瀬グループは大きく揺れた。いや日本中が揺れた。


高瀬グループはT&J国際銀行をはじめTIT(高瀬貿易)や、高瀬建設。高瀬資源開発会社など世界的にも有名であるグループ企業である。前身は高瀬財閥であり、100年以上日本経済の大黒柱として名を成してきた。また政界にも多くの者を輩出しており、第79代目総理大臣高瀬一二三や第84代目内閣官房長官高瀬秀範。官僚としては伝説の官僚高瀬李一など政界へと輩出をしてきた。正に日本を支える一家である。そして高瀬家は戦国時代から血筋が残っており、初代高瀬家当主高瀬孝安は徳川家康を子供時代から育て織田信長の側近として舵を取った軍師である。


高瀬家のモットーは孝行恩愛である。

大きく孝行恩愛と書かれた第一大会議室は静まり返っていた。なにも喋ってはいけない。そう執行役員12人は肌身で感じていた。

そして高瀬悟郎は口を開く

「次期社長には高瀬信雄くんを推薦する。これで高瀬グループ年末総決算を終了する。」

高瀬悟郎が大きなドアを開けて第一大会議室を後にした。ドアが閉まると同時にTIT社長兼執行役員の尾島一生は言う。「いきなりぶっ込んできやがりましたな。あのお方は」

すると、T&J国際銀行頭取兼執行役員大島茂雄は「全くですな。ああいうところは昔からなんら変わりはせんわ」と。続けて「孝二郎はどうするんですか」。副会長であり、高瀬悟郎の弟であり高瀬建設の社長である高瀬孝二郎は言った。「僕はここに残って信雄くんを手伝う所存でいるよ。まぁ肝心の信雄くんはアメリカへ商談へ行っているのだが。」


アメリカ ワシントンD.C.

「Thank you. Chief Cabinet Secretary Charles. Let's go with Japan

U.S.cooperation.」 信雄はそう言いワシントンセントラルタワーは去った。連絡用スマートフォンを見ると速報がなった。

「高瀬グループ会長高瀬悟郎氏2020年度末での会長辞任表明。後任には高瀬信雄氏」

信雄はこう呟く。

「Let's do it.」

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