第8話
「お父様、お静かに願います」
僕の言葉に、
「待ってくれ! 違うんだ、私はただ……」
「
僕が床を指し示すと、お父様は口をぱくぱくと動かしながら
30回を数え終えるやいなや、お父様は転がるようにして逃げて行った。
僕は
「大変お騒がせしまして、申し訳ありませんでした」
「君……
「5日間
「5日? そんなになるのか……何がなんだかわからないが事情は後で聞くから、とにかくここを開けてくれよ」
「――
先生は、ぽかんと口を開けている。余りに間の抜けた表情に、僕は
「なにを言って……どういう――君は、いったいなんなんだ?」
「やれやれ、あの
先生の目に、恐怖の色が差した。
「そう――この僕が、
「馬鹿な! 君はまだほんの子どもじゃないか。それに
「それはただの
「
「そうです。僕はおじい様の子どもが男子であったとは、ひと言だって言ってませんよ。婆やが話した通り、昔はお母様もおじい様同様に、とても
「そんな――だってそれじゃあ、君のお兄さんのことは……」
「兄の
「まさか! 当時君はまだたった5歳だろう」
「そうですね。でも僕が兄より
「なぜそんなことを! 君にとっては、腹の中から共に育った兄弟じゃないか!」
「同じ顔なんて、ふたつとあっても邪魔なだけです。
僕は声を出して笑った。
「ああなって初めて、僕は兄を愛するようになりました。時々放し飼いにしてやって
「……俺をここへ閉じ込めたのも、君の計画のうちなのか?」
「もちろんです。父は最初から、全て僕の命令に従って動いていただけですから。先生が実に
「目的はいったいなんなんだ!」
「言うなれば
「ふざけるな! 前にも言った通り、俺は下っ端だから
「さて、それはどうでしょうね」
僕は棚からファイルを取り出した。
「これは、この屋敷における先生の行動を記した評価表です。ご期待に添えなくて残念ですが、わざわざ監視カメラなど設置しなくとも、僕の目や耳となって動く人間が、ここには幾らでもいますのでね――まあ確かに、先生に対する使用人たちの評価はさほど
「そいつは助かった。どうやら俺は
先生は必死で
「ああ、ひとつ良い点もありますよ。僕は先生の前でずいぶんと
「もういい! とにかく早くここから出してくれ、頼む!」
「まあ、これから経験を積めば、欠点もやがて
「だから嫌だと言ってるだろう! 俺は
先生は
「ねえ先生、こう言ってはなんですけれど、
「さあ
「――嫌だ。俺は
その言葉に、僕は
「
「待てよ、
「
僕は、引き戸に手を掛けながら付け加えた。
「そうそう、40年前の
「まさか、
壁のスイッチを押した。たったひとつの
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