第7話
食卓には、当たり前のように3人分の食事が並べられる。確実に人がひとり消えたのに、誰もそれを口にしない。お父様は相変わらず書斎に
先生の使っていた
人間が、
――その日の真夜中、僕はそっと
縁側に面した
西の間はしんと静まり返っていた。耳を澄ますとほんの
西の間をぐるりと
ようやくいちばん下までたどり着くと、
中はとても暗い。明かりといえば低い天井に付けられた
「黙ってないで、何とか言ったらどうです!」
先生は
「いくら
お父様は身動きもせず、ただ黙って立っている。
「いったい
お父様は何か
「――確かに勝手に旧館へ侵入したことはお詫びします。ただ僕は無理やり入ったわけではありません。たまたま夜中に目を覚ましてお茶でも飲もうかと1階に下りたら、渡り廊下の鍵が開いていたんです。だからつい、好奇心に負けてしまって……でもそんなことくらいで
先生は身をよじりながら懸命に訴え続けるが、お父様は
「ああ、分かったよ!
そう叫びながら、両手で
「大体おかしいと思ったんだ。旧館には立ち入るなだの、命令には絶対従えだの言うわりには、肝心の仕事については何の指示もない。俺は毎日暇を持て余して、
ここで初めて、お父様の肩が動いた。
「……
「ああそうだ。俺がここへ着いて
「ほう、
「あんたの狙いは、あの子――
「
「さあな。
「2人?」
「そうだよ。あんたの最大の罪は、もう1人の息子を完全な
「……それで?」
「否定しないのか?」
「しない。その通り、あれは
先生は再び
「あんたは
「いったい目的は何です?
突然、お父様は身を
「狂っている? 狂っているだと! 誰のことだ、
お父様はまだ笑い転げている。
僕は、
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