第四話
あらすじ
乱立する現代社会である研究のために競技用と捕獲用の訓練を受けたファイター達がいた。
双子の青年、弟の
しかし、それは相手も同じ考えを持っていて…。
使い分ける狩猟本能
「俺達の重要任務か。」
シンプルかつ難題。
『奴が活動を本格化したから生き残れ。』
双子の青年と補佐役の青年が事務所で命じられた内容を読んでいた。
時代じゃないので弟から紹介しよう。
双子の弟、
「異生物進化対策事務所」に所属する人ならざる者による被害を抑えるための組織…といっても彼含めて三人だが簡単に説明すると未確認生物によるトラブル解決を目的とした仕事も行なっている。
仲間思いで兄弟思い。
そのため行動隊長としてアクティブに行動する。
そして補佐役の彼らと同い年である
「あのクラゲが幽霊に目をつけるなんて。
おかげで知らず知らずのうちに透明化できる化け物と霊に強化された人間が闊歩してる。」
「対抗できる継承者の存在は確認されているのは一人…だったか?
だが未だ名前もわからない。
これじゃ俺達が無能呼ばわりでSNSでクソリプ間違いなしだな。」
勿論そんな足のつく販促なんてしていない。
中には需要と供給や副業のせいで劣化した自分達と似た職業が増えている。
プロの格闘訓練を受けている自分達なら兎も角、一部の人間が一番信頼されているこの事務所を狙っているという噂や被害も都内だけで出回っている。
あるジムで継承者についての情報があった。
それ以外にどの法則であのクラゲ野郎を討伐できるのかは自分達の調べ方次第。
迎撃しにやってきている過激派は間違いなくあのクラゲに加担しようとしているか、騒ぎに便乗してライバルを潰そうと躍起になっている奴らだ。
「本当に世紀末だ!」
表では静か。
裏では煩い。
いつもと変わらないといえば変わらない。
だが水面下で生きづらくなっている。
「命令じゃ生き残れか。
堅気の仕事なのに物騒だ。」
「もしもの襲撃に備えよう。
今まで観察していたクラゲ野郎の気まぐれ活動に、配下であるクラゲ怪人の目撃例、そして人間強化。
何度も言っているがいつ交戦してもおかしくない。
武力がある奴らなら強化されなくても人間も飛びついてくる。
心してかかるんだ。」
この事態に対抗できる継承者…。
「KINGS・EDGE…そんな連中ほんとうにいるのか。」
すると六人の気配がする。
強化されていない人間。
ただし………只者じゃない!
事務所へは侵入されている!
『別れろ』と合図をして三人はそれぞれ散って六人から分散させた。
そしてこちらには二人やってくる。
とはいえ手練れであることに変わりはない。
クラゲ配下の人間か。
力に弱い人間は運命に逆らえまい。
読み通り二人の若い男性かつ手練れがこちらへやってきた。
だがこれでいい。
月雨帽。
待っててくれ。
「抵抗勢力は生け捕りだ。
殺しはしないから安心しろ。」
「下手に反抗せず、情報を教えてくれれば同じ若手のよしみで助けてやるよ。」
上からだなあ。
それと分かってないなあ。
自分もそうだけれどと梅雨総は戒める。
「俺はさ。
兄がいないと残酷なんだ。」
こんな都合がいい状況を見逃しはしない!
✳︎
弟の方が色々と強いらしいのだが、こちらには弱そうにしか見えない。
だが事務所のことや仲間に自分のこととに世話を焼いてくれる相手はなかなかいない。
大切にしたいのはやまやまだが、だからって
「三人も相手するのは辛いって!」
案の定男グループで細い身体に備わるパワーが令和の肉体派って感じがする。
グループの一人が拳の骨を鳴らして月雨帽に近づきながら話しかけてくる。
「抵抗する人間は生け捕りしろと命令されている。
俺達は戦いよりも人間や動物を殺さずに捕まえられる精鋭部隊だ。
支配のために拷問やらやるなんて高騰している今、人手が足りないのやるわけがない。」
でも生け捕りはするのね。
そりゃそうか。
残り二人は会話が陽動だったのかさっそく攻撃を繰り出してくる。
そこへ月雨帽は回し蹴りで相手のボディへ命中させる。
生け捕りとは言ってもほぼ殺すつもりの勢いだ。
「俺達もただ従ってるだけじゃない。
奴なら上手く報酬が手に入る。
生け捕るだけなら他の人間には不可能でも俺達なら可能なんだからなあ!」
さっきの攻撃も手応えはあったはずなのに相手はケロっとしている。
気にくわない。
いくら三人がかりとはいえ一人でも減らせれば…考えてる間にスタンガンの攻撃も背後からやってくる。
運良く気配を察したからよかったものの。
接戦を繰り返し、一人ずつ撃退するしかない状況。
幸いにもナイフなどを使うそぶりはない。
スタンガンといい本当に生け捕りするつもりか。
かすり傷一つつけず出来るだけ完品に近い状態で。
うああああああ!
声を上げて気持ちを切り替え、一人へ攻撃するもまた一人が不意をくらわそうと三人のうち二人が攻撃をし、交代して体力を温存させる。
しかもここは事務所の敷地内。
セキリュティに関しては緩い場所。
いつでも、実行に移せたとでも言わんばかりの計画性。
逆にいえば三人がかりで生け捕らなければ月雨帽には勝てないわけだ。
なら様子見ばかりしても意味はないか。
月雨帽は出来るだけ手数の少ない人間へ向かい、攻める相手の動きが弱まった時に急所を狙う。
ナイフを突き立てられるかとビクビクしたがどうやら相手もハンデはあるようだった。
「くそっ!」
迷わずもう一撃食らわせる。
やっと一人。
だが、もう一人は容赦なく攻撃を繰り出しくる。
強い!
手数の少なかった方も体力の負担が少ない攻撃で確実に月雨帽を狙う。
「うわっ!」
一人が月雨帽を壁に叩きつけ、もう一人が敢えて口で語る。
「意外と耐えるなあ。
一人気絶させられるとは思わなかった。
だが起きる前に捕まえられそうだ。」
こんなことで梅雨総と開設したこの事務所を引き渡すか!
そして自分もやられてたまるかと意気込むものの、抵抗したら確実に連れ去られる。
梅雨総も大丈夫だろうか?
情けない。
こんなところでやられるなんて…
「へえ。
かつてのファイターがこんな仕事をしていたとは。」
もう一人が声のする方へ尋常じゃない速さで向かっていった。
それでもクラゲ怪人ではなく人間の速さだった。
そんな相手を一撃で気絶させた。
一体誰だ?
「
お前らの探している人間だ。」
え?
あのファイター?
なぜここまでの情報を。
「こちらには知らされていない。
知らされている方は見張られている…ま、まさか?
まさかここへ来たのは…」
継承者…
そうか。
ハッタリか。
けど釈然としない。
だが幽目はこちらへ駆けつけ、竜蟷が相手をしようと構え、対決する。
「クラゲが何かおっぱじめるらしいことが噂されていたから、お前らを探して継承者を探そうとしたらこの始末だ。」
幽目はここまでの経緯を語る。
廃ビルの幽霊がさらわれ、更にその力をクラゲに利用され強化される人間。
だが何故、幽目はここまで無事でこれたんだ?
「なるほど。
お前も継承者ってのはハッタリじゃなかったか…ぐほっ!」
「だからって人間相手に弱いわけじゃない。
どうだ?
継承者二人。
どれだけいらばクラゲ野郎を倒せる?」
「うまく隠してこれたわけか。
有望なファイターとは聞いていたけど興味なくてスルーしてた。
これからはそういったザルをなくす。」
竜蟷は黙ってオーラを纏い、冷静だったグループリーダーを気絶させた。
「よりによって彼も手練れじゃないか。
残りの継承者も武人だと助かるんだけど。」
継承者が二人、身近に揃ってるのもすごい確率だ。
何せ継承者理由はここでも明かされていない。
そんな継承者が二人。
「どうやらそこの二人から事情を聞けば進展しそうだね。」
「お、お前ら双子だったのか?」
「あれ?知られてない?
そっちも勉強不足じゃないの?」
梅雨総が無事に現れて安心する。
だが強すぎるな。
なんだか別の怖さもあるけどそこは知らなくていいか。
残りは煎貸か。
無事でいてくれよ!
そう願うしかない。
*
おそらく向こうもわざと知らさせて戦意喪失させるつもりだったらしい。
だがグループにいる五人の人間を強化人間にさせた形跡はなかった。
補佐役とはいえ自分も戦闘は得意。
だがクラゲ怪人…通称
一応銃やリーチのある武器は持ってはいる。
だが継承者の協力を得てない以上、無駄な戦闘は避けたい。
「どうやら人間組はやられた。
継承者二人があちらへ加勢したらしい。
だがそのうち一人に向かった二人があっさりとやられたみたいだが、簡単にあいつらを倒せる人間が継承者や人間にいるとは思えなかった。
あんたら凄いねえ。」
褒めてるのは読み取れる落胆から本心のようだ。
やったんだな。
しかも継承者二人が加勢か。
そこはやや未知数だけど、戦闘能力があるのか。
正直おっかないな。
「降参して生け捕られてくれ。
人間とて舐めてはいない。
こんな現実を突きつけられたらこちらも怖いし、なぁ!」
さっそく触手か。
こっちは向こうが助けにくるまで…あるいは合流するまでクラゲ怪人を倒さないといけない。
責任重大だ。
なんとか避けては攻撃、避けては攻撃と自分なりに出来ることで抵抗しているがその先がない。
人間を舐めてなくても、これだけ力量の差があれば警戒も必要ない…か。
悔しいなあ。
毒は使ってこないまでもこちらの打撃は通じない。
銃を使う隙もない。
なんだってこんな事務所は狭いんだ。
もっと稼ぎたかったよ。
この依頼をなんとしてでもクリアしないと!
「一体とはいえ協力だな。
今からそいつに重要なことを話したいからお前は眠ってろ。」
声が若い。
恐らく高校生か二十歳までの男性。
ってなぜ?
ここに加勢してくれるのはありがたいが得体が知れないな。
「
お前に名乗ったんじゃない。
そいつに教えただけだ。」
彼は瓦礫で作られた槍を振り回し、切っ先と持ち手で攻撃する。
だが有効打になったのかクラゲ怪人達は成すすべなく気絶した。
いや、気絶なのかな?
「殺しは目的じゃない。
こいつらから聞きたいこともあるし、聞かせたくないこともある。
さ、今から合流するぞ。」
野生的な見た目で必要最低限のコミュニケーション。
戦闘能力も高い。
素直に協力する理由も明かしてくれそうならそれでいいか。
クラゲ怪人達を回収し、こうして襲撃から生き残ることができた。
*
ある程度の片付けと五人と一体を厳重に監禁する。
何事もなかったように事務所は片付かれ、
そして竜蟷。
三人の内、二人が継承者で、一人は恐らく人間。
それなのに瓦礫の武器でクラゲ怪人を退けた。
「お前達が俺達が出会う前より早く、クラゲ野郎を追っていたらしいのは調べていくうちに分かった。
俺と雷帝は親玉に直接会ってる。
そして強化人間はそこの竜蟷が相手をした。」
「そこまでは聞いたよ。
でも、クラゲは対抗策を見せないようにここまで人間社会に溶け込んできた。
弱点をどこで知った。」
雷帝が瓦礫を見せた。
「廃ビルだ。
正確にはそこには自殺を死んだ後も繰り返していた幽霊がいた。
そいつをクラゲがいきなりさらってこうなった。」
次は幽目が語る。
「その結果、廃ビルの幽霊…彼女の力が強くてクラゲ野郎は行動範囲が狭まった。
そして強化人間や手下の怪人を使ってまずはここにいる人間を支配下に置き、彼女の力を拭おうと今も試行錯誤中だ。」
なるほど。
と解説した。
そしてと念を押す幽目高。
「竜蟷は廃ビルの幽霊をどこかの男性視点の夢で見させれ、いつのまにか継承者となった。
そして俺もいつのまにかクラゲ野郎に攻撃が届き、雷帝の瓦礫も通じた。
俺達に共通するのは『廃ビルの幽霊』を知っているか、または『廃ビルにあるもの』を持っていることだ。」
詳しくはまだわからないと付け足されたが、その後竜蟷のアクセサリーを見て継承者の証拠を間近に見る。
「だが雷帝君は幽霊が視えてるのに瓦礫を持つだけで抵抗できたのか。
そこは何か言える範囲で伝えられる?」
雷帝は「俺は元格闘家。そして廃ビルには高校卒業後うまく好きな時に入ってる。
管理者には内緒にしてくれ。」
それでも雷帝は継承者じゃないのか。
だがクラゲを倒せそうな気はしてきた。
このままの状況でいいはずはないし、三人ともそのつもりのようだ。
だが、継承者に関しては廃ビルを調べてからでないと進みそうにない。
月雨帽は雷帝を問いただした。
「廃ビルは結構観光スポットみたいに隠れた誰かがいそうだけど、その周辺で聞き込みとかできないかな?
君の知ってる情報をコンプラは守るから教えて欲しい。」
雷帝は首を縦に振らないものの
「廃ビルを守るためだ。」
と協力の姿勢を示してくれた。
ここからが正念場だと全員は覚悟するのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます