第2話 ウビ (命)

    泣くとき,笑うとき,話すとき,寝るとき

                必ず私たちは”命”を持っている.


 私は今日初めて目を開ける.別に,先天性の障害とか他人と違うことがあったわけではなかった.けど,それが...........


 今日から高校に上がるのだけれど,私はとっても心配だった.高校もいわゆる進学校であって,悪い高校でもない.そこが嫌なんじゃなくて,わざわざ地元から行くだけに2時間かける理由だった.

「ママ?ほんとに明日から行くの?」

「当たり前じゃん.自分で選んだんでしょ~」

「怖い......」

「そ.」

 そんなことを考えて私は寝た.

 ピッ ピッ ピッ ピッ ビッ ビッ 

              ビビ ビビ ビビ ビビーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!

 閑静な住宅街に大きなアラーム音とまだ起きない私.今はまだ朝5時前だ.太陽も出るかどうかぐらいなのに,なぜ起きるのか考えてしまった.しかし,今日は入学式だ.もしここで行かないと,またクラスで浮いてしまう......もし次また浮くのなら,すべて無駄になるのなら.やめてしまおうと思っていた.アラームを止め髪を手入れし顔を洗い,食卓に座った.そこで初めて私は,一人でパンを食べた.

        さみしかった・・・・・・・・


 初めての椅子,初めての景色,初めて着る制服,まだ折り目のつかないスカートだけど,やっぱりスカートは巻いていた(笑).そんなどうでもいいことから,髪の毛を一本一本つやを出したり,1gでもいいからやせようと毎夜毎夜必死だった.そんな努力も,この世の男は理解してくれなかった.華のjkになった私.この3年間で処女を捨てるような気持でいた.そんなことを考えていた.

     ガララーーー

 静寂の中に鳴り響くドアの開く音.突然入ってきた私たちの担任になるであろう男が入ってきた.その沈黙をそいつは壊した.最悪だ...

「まずは~自己紹介からしていくぞ~」

いちいち語尾を伸ばしてくるうざい奴だった.

「ほいじゃ~1番から~やってくぞ~.とおもったけど~やりたい奴いるか~?」

一人の男子が手を挙げた.少しざわついた...

「じゃぁおれからだな!俺は優斗!西中から来たんだ!知っての通りめっちゃ遠いんよ~毎日5時起きがつらいと思います!お願いします~」

少しチャラい男だった.でもそいつとは知り合いだった.私も,彼みたいに高校デビューしよーかな...

「良いな~元気があるやつ好きだぞ~じゃ~好きな人させ~」

「え?いんすか!じゃぁ舞!がんばれ.」

は?え?がんばれじゃないよ?え?え?え?どうしよ.え?ほんとにえ?どうしたらいいの.うん.よしやろう.........

「え,あ,えっと・・・・・・」

そんなことをしてると,1軍になろう女子が少しにらんできた,さっさと終わらせてほしいのだろう.それはわかるのだけどできたらやっている.私は今日1日分の勇気,気力,体力,私のすべてをここに集中させた.

「私は舞です.優斗と同じです.えっと,駅同じ人とかいたら一緒に帰りましょ?」

そんな感じで全員の紹介が終わった.

「じゃ~あと11時までは~すきにしてろ~」

私たちは突然1時間近くの"自由"という名の地獄に放り込まれた.'また'一人かな. とか考えていた時、優斗が来た。

「同じクラスじゃん!また1年よろしくね!あ、彼氏で来たらいってね?(笑)」

相変わらず元気で、楽しそうだった。私もあれくらい頭お花畑になりたかったな。

「よろしくね。でも優斗の方が先にできるよ、、一昨年からそうじゃん。でもなんでこの高校来たの?遠いし」

「は、?お前がまたああならないように?だけどなにか、、、」

「え、ありがとう(泣)」私は泣いてしまっていた。

「え、ちょ、まって、まってまって?大丈夫(笑)?」

クラスがざわつき始めた。

「俺はやってない!」

隣のクラスに聞こえる声で保身に走るなバカ、、、でも少しほっとした。



 そんな感じで1学期が終わり、いつの間にか長袖を着ていた。去年は入試で焦ってたなとか思いながら雨の日、授業を受けていた。


キーンコーンカーンコーン

          鐘が鳴った

 お昼だ。

「舞い行こ!」優斗が誘ってきた。私は了承し、何も考えず食べていた。

 教室に戻り唖然とした、教室にある牛乳はちみつ虫椅子には画鋲があった。確かに2学期始め辺りからいじめかな?とは思っていたけどここまでではなかった。その時だ、

 風船が割れるように優斗が突然きれた!

「おい!!!!!!!!

だれだ!!!!!!!!」

 笑い出す私をにらんできた女子たち。「誰だろね~(笑)」男子が言った。 笑う女子とバカにする男子、そして無言の真顔で猿に向かって歩き出す優斗。拳と共に雷が落ちた。女子の笑い声が消えた。


 その日から、毎日のようにやられた。そして木が枯れたあの日。私の心も枯れた。どこかの話しに、木葉が枯れたら死ぬという話を聞いた。それと同じだ。でも、葉っぱを描いてくれる人はいなかった。


 月がかけた夜、私は橋に足をかけた。私は携帯を持って動画を撮った。そして学年ラインに、「命って大切で簡単に奪えるんだよ。」とだけ言い残し、動画を撮った、youtubeにて配信を始めた。リンクもおくった。


 視聴数がバブル時代の株価のように延びていった。気がついたら、5桁を突破していた。そして、


    だん!!

これがどれだけの人にメッセージを与えたか、心を動かしたかはわからない。だっけど、きっと人の心、世論を動かすと信じて、私は目が開かなくなった。


 誰かが119をしていた。救急車がきて配信が終わった。なんで、なにかが起きてからじゃないと助けようとしないんだよ。先生も親も周りのクラスメートも、もう遅いんだよ。やるなら早くやれよ。そう思って、俺は線香をあげて10年目にになる。

「やっといじめで懲役刑にすることが出来たよ。こんな遅くなっちゃった(笑)。これから被害者がでないとこと祈って。舞の裁判での勝訴と、加害者への初めての適用だよ。実行犯は懲役10年だってよ。きっとあの配信が全て動かしたんだと思うよ。今までありがとう。そして、また来年来るね。」 彼女のお母さんと1年ぶりに話した。

「舞のためにありがとね。」



   それでも俺は許さない、

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舞うモンデミスタンユ mai @mai3259

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