第1話 ソン (音)

              これは私が転生したお話だ



 私は,今日,初めて目を開ける.お父さんとお母さんを目にしてとても感動したことは,全く記憶には残らないであろう.二人だけの記憶になるであるはずであった.私もそう思っていた.だがそこには,以前とは全く違う異郷の地が待っていた.付近の人々はスマホと思われるものを利用している.しかし,それらは,いくら待てども輝くばかりでまったくもって音が出なかったのである.


             そこで私は理解した...


      この異郷には

            音がないのだ!


 この静寂はいくらたっても全くなれない.これが前世での”耳の不自由な人”なのか?いやそれともここには音がないのか?私は身を粉にして考えた.が,一向に答えは出ないまま時間だけが過ぎていった.


 生まれてから約5年,一向に音がない世界だが,両親も会話していないことにだんだん気が付いた.それに伴い,よくわからない施設へと定期的に通わされた.きっとここは病院だろうと私は考えていた.それは,医者やお年寄り,そしてなりよりも,前世での憧れ白衣の女神までがそこにはいるからだ.いつも私は,先生と向き合っているが,何をしているかよくわからない.きっとテレパシー的なことをされているのだろう.書かれているカルテを見てみた.そこには少しだけ変わった母国語と思われる文字でかかれていたのだ.その時私はとても安堵した.そこで私は,筆談という方法で医者との会話を試みた.それは大成功だった!

 私は生れてはじめての”人”との会話ができたのだった.しかし私はまだ5歳だった.この年ではやっと言葉を話し友達と交流を持ってくるころだろう.それにもかかわらず,私は敬語を使って書いてしまったのだった...


 「ん?」

 医者がそんな声を上げた時だった.私は頭が割れるような感覚が頭全体をかけ廻った.突然今までは何も聞こえなかったのにある1人の声が聞こえるようになったのだ.

     「もしかして......

            きこえてる?」

 そんなことを語りかけられた.目の前の医者を見るが話していたわけではなかった.そしたらこの声は誰のものだ?私は生後すぐよりも早い速さで頭が回った.これは転生であるあるの”神様”なのかそれとも”ナレーター”なのか,はたまた”天の声”だが別に声の主が重要なのではない.声が聞こえたことに問題があるのだ.いや,問題ではなく”疑惑が残る”だけだった.しかし,声が聞こえたのは大きな一歩だった.


 そこから日が短くなってきたあるひ,私は買い物に連れていかれた.そこは見たことある風景だった.いかんせん会話はなかったものの,分かったことが3つほどあったそれは

・声の主が言ったことはほとんど起こることだ

・外れると少し残念そうな声を出すこと

・声は1日に何度も来たり来なかったりとかなり気分やのようだ

 この2つがわかりこの世界の解明が日進月歩のように進んでいった.外でも家でもいつでも,紙とペンだけは持ち歩いていた.それは,いかなる状況においても意思の疎通をするためであった.聞こえてきた...

「上から瓶が!」は?っと思った.しかし,それを信じた私は,母を引張って警告をした.

#ここは危ない逃げないと#

 そう私は書いたが母は聞いてくれなかった.そして

         ガシャーーーーン!!!!!!!

 とても大きな音が聞こえると勝手に脳内変換されたが実際は音がしなかった.水に混ざるように流れてくる母の赤い液.だんだん野次馬が来た.そこで私は倒れてしまった.


 何日経ったかわからない.母の白黒写真だけが隣に置かれていた.そして声が聞こえた...

「あのー.なんていえばいいんだろ......言いずらいけど母はもういないよ.」

それを聞いて号泣した.

「だけど,ごめん!これだけは聞いて!おねがいだから.もういないんだけど,この世界について教えてあげる.」

 それを聞いて安心した.それとともに少し聞き覚えがあるような気がした.

「この世界は私たち数人だけで動きを決めている.基本的には何年間も変わらない.そして,どうするも自由だ.そして,人がどうなろうとも,私たちには報酬が入る.それにもかかわらずやることは,仕事を遊びのようにしか考えていない.ある天才が私たちの真実の直前まで迫った.しかし私たちはそれが暴かれることを恐れて,彼を消した.」

声の主もなぜ死んだかもすべて思い出した!!この声は......それでも話し続けた

「こんな生活をできるのは極めて少ないごく1部の人だけだ.だから私は今この世界を終わりにしたいと思う.そして,君の記憶もほとんど消えてしまうと思う.それでも私は許されないことを多々してきた.


    許してくれ!

        言葉では何でも言える

            だから行動で償わせてもらう

                 ほんとすまなかった.」

それを残して声は聞こえなくなってしまった.

   この声の主は政治家の声だった.そして私は確か今日,世界の終わりとともにいいっしょn......................................


        世界が終わった


そして私は初めて目を開けた.

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