第3話 Dクラス

 俺は自分のクラスに入る。周りを見渡すと、皆希望と自信に満ちた目をしている。上に上がるという意気込みを感じられる。

 魔力量は後天的に上げる事が出来る。それに魔力=強さでは無い。皆、やる気だ…

 俺には理解したくない事だ。だが、化物と戦う者達は正しくヒーローなんだろうさ。

 かつて俺もそうだったからな。だが、彼等はヒーローではない。ただ戦う力のある普通の人間だ。漫画の様にピンチで内なる力が覚醒なんて無いし、都合良く窮地を救ってくれる味方なんて現れない。普通に死ぬ。俺の両親の様に


 死体が残ればまだマシだ。母はかろうじて体が残っていたが腹に風穴が空いていた。父は半身が消し飛んで上半身だけ残っていた。これでもまだマシだ。何せ誰か判別が出来たのだから…

 場合によっては肉片だけだったり、それすらも残らない場合もある。


「…」

 俺は自分に宛がわれた席に着く。俺が暗い雰囲気をしているからか、誰も話しかけて来ない。

 人と関わらないで済むのは有難い。人と関われば情が湧く。情が湧けば失った時辛くなる。もう両親を失った時の気持ちは味わいたくない。

 俺は無意識に母の形見を抱く


『刀夜、私は私達にしか出来ない事をしなくちゃ』

 解らないよ母さん…母さん以外にも戦える人はいたでしょ?


『刀夜。父さんはお前達を…他の誰でもない。母さんと刀夜を守りたいんだ』

 結局母さんを守れず、父さんまで死んだじゃないか…


「い…おい!」

「っ!?」

 誰かに声を掛けられ、揺さぶられていた。


「大丈夫か?」

「泣いてるの?」

 短髪にの体格の良い男と小柄な少女が此方の顔を覗き込んでいた。


「…」

 俺は泣いていたのか?


「いや、すまない。両親の事を思い出してな。」

「両親?」

「ああ、俺達を守って…死んだ両親を」

 俺は刀を撫でる

「「っ!?」」

「それは…」

「すまん…」

「気にするな…別段珍しい事じゃないだろ?」

「「……」」

 雰囲気を悪くしたかな?


「そうだ、俺は三島武だ」

「あ、私は水原すみれ。よろしくね」

「…藤嶺刀夜だ」

 出来れば深くは関わりたくない…けれど、俺はそんなに強くない。孤高で居れる程冷めてもいない。


 武とすみれと他愛ない話をし、時間を潰していた。暫くして俺達の担任になる教師が入ってきた。


「これからお前らの担任になる、風花京子だ。」

 ジャージを着た見るからに体育会系の女だ。そして各自自己紹介だ。


「…藤嶺刀夜です。よろしく」

 俺はそれだけ言って席に座る。武やすみれも無難に済ませた。そして…



「俺は神崎拓真です。皆と切磋琢磨し、共に人々を守る守護者になれる様に頑張ります」

「……」

 守護者ガーディアンねぇ…彼等は文字通り守る者達だ。化物…から人々を守る人達の総称だ。

 もしかしたら俺も…昔はあんなにキラキラして守護者を目指していたのだろうか?

 今になっては解らないけれど…



 

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