Requiem to the AVALON
大猩猩和
序章
第1話 プロローグ
これはどれほど前の出来事だったのだろうか。
ある時、神たちの王にして大英雄であった創造神アヴァロンが世界へ反旗を翻した。
世界へ反旗を翻した創造神アヴァロンは自国の民であった多くの神たちを喰らい、膨大な力を手にし、世界へ宣戦布告をした。
こうして、世界を終焉へと導いた勝者のいない戦争『終焉戦争』が始まったのだった。
終焉戦争では多くの生命が世界の命運をかけて創造神アヴァロンに戦いを挑んだのだが、彼の力は圧倒的であり、多くの生命が敗北し、彼の贄となった。
多くの贄が創造神アヴァロンへ捧げられたことで彼の力はさらに増すこととなり、彼はついに十三の根源のうちの一つを喰らったのだった。
そして、一つの根源を喰らった創造神アヴァロンは全ての根源を喰らわんと侵攻を続け、彼は八つの根源を喰らうことに成功した。
その際、秩序の守護者たる超越者たちも創造神アヴァロンに戦いを挑んだのだが、彼の圧倒的な力の前に敗北し、彼の贄となってしまった。
そうして、創造神アヴァロンはさらに侵攻を続け、多くの超越者たちを喰らい、十三全ての根源を喰らったのだった。
創造神アヴァロンの侵攻から生き残った者たちは世界たる源理のもとに集い、世界を賭けた最後の戦いの幕が上がった。
源理にも届かんとするほどの力を手にした創造神アヴァロンに彼らは苦戦を強いられ、多くの者が犠牲になった。
犠牲者が増えるほど創造神アヴァロンの力は源理と近づいていき、約九割の者が創造神アヴァロンの贄となった時、彼はついに源理へと至ってしまった。
そうして、創造神アヴァロンが源理へと至ったことで戦いはさらなる苛烈さを極めたが、最後は源理と相打ちのなる形で創造神アヴァロンは倒され、終焉戦争は勝者のいないまま幕を閉じたのだった。
この終焉戦争は大規模なものであったのだが、中には運良くこの戦争を生き残った者たちも存在していた。
彼らは終焉戦争の最後の戦いに参加しなかった者たちであった。
そして、戦争を運良く生き残った者たちの新たな時代が始まるかと思われた。
だが、終焉戦争を生き残った者たちの未来は既に途絶えていた。
これは世界の基盤でもあった源理が死に絶え、秩序のほとんどを喰らい、世界の基盤にも干渉していた創造神アヴァロンが倒されたことで世界の維持が出来なくなり、滅びの運命が確定してしまったためである。
終焉戦争を生き残った者たちは変えることのできない滅びの運命に嘆き、絶望した。
だが、彼らは見つけてしまった。
終焉戦争最後の戦場であった聖人しか至ることの出来ない楽園エデンを。
そして、エデンに封印されていた創造神アヴァロンの力の欠片たる魂を。
創造神アヴァロンの魂の欠片を見つけた者たちは彼の圧倒的な力に魅了され、その力を我が物とせんと取り込もうとした。
本来なら膨大な力を取り込むためにはそれ相応の器が必要であり、彼らにはその器としての役割を全う出来るほどの素質はなかった。
だが、彼らは創造神アヴァロンの魂の欠片を取り込むことに成功してしまった。
そうして、創造神アヴァロンの力に魅了された者たちは彼の力を我が物とせんとする争いが巻き起こり、『楽園戦争』が勃発した。
楽園戦争ではエデンに点在している創造神アヴァロンの魂の封印を解き放っていき、源理が命を代償に施した全ての封印は彼らの手によって解かれてしまった。
エデンにやって来た者たちは解き放たれた創造神アヴァロンの魂を我が物にせんと様々な場所で争いが勃発し、争いの勝者がその魂を我が身に宿した。
そして、創造神アヴァロンの魂を持つ者同士での己の持つ魂を賭けた争いも巻き起こり、楽園戦争は熾烈を極めた。
創造神アヴァロンの魂を求め、エデンの地で争いが起こるたび、世界の秩序は歪んでいき、死者は戦場から蘇り、生者は狂っていった。
そして、世界は混沌へと成り果てた時、楽園戦争は終結を迎え、エデンの地に九人の王が誕生した。
《狂気の道化アニムスフィア》
《堕落の女帝カングラ》
《永遠の探究者フィヨルガ》
《慈愛の聖女ティファと聖騎士アリスタリア》
《豪勇の獣王ガルフィンド》
《孤高の狩人ランカル》
《異形の王ヨドムス》
《深淵の処刑人ヴァルニス》
《盟約の騎士王ウォルター》
九人の王は楽園エデンに己の国を作り、来たるべく終焉までの余生を謳歌していた。
終焉の先に始まる新たな世界の芽を潰しながら。
だが、目覚めてしまった。
世界を正しき終焉へと導く救世主が。
九人の王に反旗を翻す叛逆者が。
優しき王の意志を継ぐ者が。
さあ!見届けようではないか!
救世主が九人の王から創造神アヴァロンの力を取り戻す偉業を!
楽園を穢し、新たな世界の芽を摘む愚か者たちに天罰が下る瞬間を!
世界を正しき終焉へと導く使命を!
ああ!英雄よ!
記憶を失った救世主よ!
その旅路に祝福があらんことを!!
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