第13話 11月8日「立冬」
アパートの二階奥、私の部屋からでは、楓が少々押し付けがましいものと成っていた。
玄関扉の鳴きに笑う雀の丸い頭がどこを向いているかも分からない。
そればかりか、私の目前にある楓の赤い手が、作り終えた廊下の絨毯を誇らしげに披露する技師のそれの様になってしまう。その揺れが確かなものだとしても。
灰色は時に、そういった投げかけをしてくれると言えばその様でもある。
灰色が示す二律の傾げは、濃いとも薄いとも言えない、その何ともなデジタライズの色味で世界を切り取る。私はそれに従って二律背反となった目で灰色を映し、今日もいい女として生きるのだ。
立冬の二律に、雀が首を傾げているのが見えた。
あの雀も、きっといい女だ。
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