第12話 11月7日「いい女の日」
爽健美茶で体を整えた気になりながら、今日の服装選択会議を頭の中で繰り出す。
赤と金を祀るものとする台座に腰をかけ、私は前を見据えた。
地球儀頭の大臣が私に向かい、跪く。
「陛下、ここは秋のドラマティックなカラーで挑みましょう」
続けて、もう一人の私が私へ跪く。
「陛下、ここは万が一に備えるのが宜しいかと」
私は両者を見ずに述べた。
「ならば、秋色を備えた盤石な服装で挑むぞ」
「承知致しました」
両者が深く首を垂れる。
「僭越ながら、お一つ宜しいでしょうか?」
目の前の私が顔を上げた。
「何だ、申してみよ」
「ク、クリスマスメ、ロンが、た、食べてみ、たいです」
わなわなと震えながら、そう言い切る私に、私は笑みで答える。
「そうだな、それも良いかもな」
透けタイツに黒皮のスカート、黒いハイカットブーツ。白いシャツに薄茶のゆるっとカーディガン。そして最後に黒いキャップで武装する。完璧だ。
これから降る一入気に食わない雨に対抗したハイスペックで挑むのだ。
ボトムを選択しそうだったのだが、今日の雨野郎は気配を消すのが下手で助かった。ブーツにタイツだから汚れの心配もそれほど無く、黒革もしっかり固くて突風も気にならない。
粗方を身につけて、メロンのチラシを救い、壁のカレンダーに貼り付けて、大きなメロン画にした。
いい女は、多分判断早く行動も早いだろうから、と。
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