信じられなかった私


 私は殿下とお話をしたあの日に、また途中で意識を失ってしまったのです。

 そして数日熱を出し寝込むことになりました。


 本当にスペア失格だと情けなくなりましたが、不思議にあの夢は続いています。

 そう、また目覚めたら殿下はお側にいてくれて、そして同じお言葉を繰り返し掛けてくださったのです。



「マリーと共に生きていきたいんだ」


「マリーが隣にいない王にはなりたくない」


「私の隣に立つ人はマリーがいい」



 そのお言葉は少しずつ変化していきましたけれど。


 もしかして同じ夢を何度も見ているのでは?とも思ったものです。

 でもこう幾度目覚めても夢の中というのはそれはそれで信じがたいもの。


 私はそろそろ現実を見詰めなければならないようです。


 そのために、今日この席を設けていただきました。



「私のことについてもお話しされたのですね?うふふ。ローズマリー様も驚いたでしょう?」


 はいと言っていいものか。

 どんなお答えをすれば正解か。

 

 もう私には分かりかねるのでした。


 すぐに返事も出来ない、そんな不作法な私でも、お二人はとても優しく見守ってくださいます。

 やはり次代の王様と王妃様にもっとも相応しいお二人だと感じるのですが。


「これで私もお慕いしてきた方と添い遂げられるわ!」




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