私に聞きたかったこと


 と、この課題について思い出した私はついこの場でも考え込んでしまいました。


 とにかく、ヴァイオレット様がスペアとなる私に謝罪するお立場にはないことは明白であり、またヴァイオレット様の謝罪を受け入れるとなれば当時のスペアである私たち二人も謝罪しなければならない、ということになります。


 ですからこの場合は謝罪を受け入れない方がいいのです。



 ヴァイオレット様は視線を外し迷うような素振りを見せた後に、私の目を見て言いました。

 この方がこのように感情的な仕草を示されること、これは大変珍しいことです。

 だから私は驚きながら続くお言葉に耳を澄ませました。


「謝罪については、私からもすべき理由があるわ。でもそれは後ほど改めてお話することに致しますわね。まずはあなたにお聞きしたいことがあるの」


 ヴァイオレット様は責任感の強い御方ですから、今回のことでそのお心を強く痛めているのかもしれません。

 私のことは何も気になさらなくて構わないこと、私が何も気にしていないことをお伝えして、心のご負担を少しでも軽くしていただかなければならないと思いました。


 にこりと微笑んだヴァイオレット様は、私の目を真直ぐに見詰めて口を開きます。

 美しく引かれた紅が鮮やかでとても印象的でした。


「慣例通りであれば、私はこのまま王太子妃となるでしょう。あなたはそれでいいと思っていまして?」





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