見付かった課題


 元第一王子は、学園で件の男爵令嬢と特別に懇意にしていたそうです。

 お二人が寄り添う姿も、学園に通う子女の皆さまの目に留まっていたとのこと。


 私たちがお会いしてきた学園生の皆様もおそらくはご存知であったかと思います。

 けれども私たちがそれらしいことを耳にした日はありませんでした。


 それは当然、王族とそれに準ずる私の前で、王族──それも王太子であった方の問題行動を口にするようなことは出来なかったことでしょう。


 元第一王子のやらかしを知ってすぐに記録を読み返してみましたけれど、匂わせるような言葉を頂いたこともありませんでしたから、皆様貴族の子女としては大変優れた方々であると知って次代への期待に感じ入るものもあります。


 けれどもそのようなお話を聞き出せなかったこと、それは私たちの落ち度でしかありません。

 まさかと疑いもしなかった私たちは、遠回しに尋ねることも出来ませんでした。


 これは王家に今後改善すべき課題が見付かったということ。


 王族の問題を王族には言い出せない。

 そんな当たり前に存在する自発的な配慮を越えて、皆様から本音を聞き出す機会を作るよう検討していかなければなりません。

 特に学園生を対象にしたいところ。

 それはまだ成人前の彼らだからこそ語れることもあると思うからです。



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