お支えする方が変わるだけ


 私は第二王子殿下と公爵令嬢様を想いました。


 これからの私は、お二人の治世をお支えするためにこの身を捧げることになります。


 そしてもしかすると、いずれは熱から冷めて更生した第一王子殿下と結婚することもあるのかもしれません。


 一度は廃嫡されてしまった王子に見合う貴族のご令嬢など見付からないでしょうし、スペアとして学んできた私もまた、王族の方以外とは結婚出来ないからです。

 あるいは私は生涯結婚しないのかもしれません。

 新しい王太子殿下夫妻に王子が生まれ、その婚約者が決まったところでスペアを降り、幼い婚約者様の教育係になる、といったところでしょうか。


 考えたことのない未来が現実となりつつあります。

 なんとか頭を切り替えて、私もまた相応の対応をしなければなりません。


 学園のお仕事のような、王子殿下が共にいたからこそ出来てきた公務からは外されることになるのではないでしょうか。

 私が変わらずスペアであるとしても、それはお城での話。

 外での私はもう王子殿下の婚約者候補として捉えられず、ただの貴族令嬢ということになります。


 するとお城での内務がメインのお仕事に代わるでしょうか。

 なるべく多くのお仕事を回していただくよう、陛下にもお願いしなければなりません。


 お二人のご負担を少しでも軽く出来るように、私がすべきことはそれだけだから。



 懸命に考えている間にも、この心の奥に残るじくじくとした何か。

 これはきっと生きている限り、いいえ、この生が終わったあとにも。

 外に出してはいけないものとなります。


 私はじくじくとしたそれが何かはよく分かっていなくても、これを隠さなければならないことだけは察していました。



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