第 36 話 沸き立つ本能


 はた野原のはら虔治けんじ

 逆羽高校二年。東京都調布市出身。突然変異体。喧嘩も家事もなんでもできます!


 香織かおるが彼を見たときに思い出したのは、面談時に、そんな両極端にしか思えない二つを並べてアピールしてきた彼自身の言葉だった。


 『人工知能感情部門開発研究班』に限らず、この創明大学では様々な『異神世界』に関した研究が行われている。しかし、その成果はかんばしくなく、そもそも条約の都合上、被験者の存在を獲得すること自体が難しいため、こうして研究対象に立候補してくれる彼のような存在は非常にありがたかった。


 プロフィールや能力の詳細を聞き取るための面談が最初にあり、そのときに言ったのが、香織の脳裏に浮かんだあの一言だったのだが――まさにその宣言通りの貢献を彼はしてくれた。


 彼は様々な実験に積極的に参加してくれた。身体を調べられるのも、運動能力や学力のテストも、嫌な顔ひとつせずこなし、果てはパラメーター不足で対象外だった研究に参加するために己を磨いてくるような、もはや実験体になってもらっている彼のほうが、「すみません。この実験を受けたいんですが」と能動的に行動を起こすものだから、こちらが借りてきたネコのようになり、「無理しなくていいよ」と気遣いの言葉を吐き出す始末だった。


 香織も、彼が参加した実験に立ち会ったことが何度かあり、その度に彼の真面目さには感心の唸りを上げていたものだった。


 そんな秦野原虔治が、自分の目の前で襲撃者たるアイーシャと対峙している。その光景がまるで現実味がなく、とりあえず何かを喋ろうとしたが、それより前に、「えっと、確か冴山さえやまさん……でしたよね」と彼から声をかけてきた。「神宮寺じんぐうじの野郎と一緒にいた」


「え? あ、うん……」香織は曖昧に返事した。それ以前にも何度か会っているのだが、覚えてもらっていないことに少なからずショックはあった。


「俺、寝てたんで殆ど状況が解ってねえんすけど。いつの間にか母さん達もいなくなってたし」今も寝ぼけているのか、どこか要領を得ない調子の虔治。「銃声が聞こえてきて、慌てて起き上がったんですけど……考えるに、襲われてたってことでいいんすよね?」


「え、えっと、そういうことになるかな……?」


「……一応、確認なんすけど、神宮寺の野郎はここにはいないんですか?」


 香織はコクリと頷いた。


 すると、虔治の口元が歪み始める。それは、私欲に溺れたな狡猾さと英雄然とした猛々しさをぜにしたようななんとも言い難い笑みだった。


「よし!」パシッ、と拳と掌を叩き合わせる。「俺が奴より活躍できるチャンス! シェルターを襲ってきた敵は、全員この俺がやっつけてやる!」


 表情や言動からやる気がみなぎっているその姿からは、地球人には通常持てない魔力マナが立ち上っている。虔治は神宮寺を一方的に敵視している。彼がいないこの瞬間に敵を排除できるチャンスに心が踊っていた。


「ま、待ってよ……!」しかし、香織はそうはいかない、と待ったをかけた。「一人で戦おうだなんて危険だよ。相手は『マキナ』なんかよりずっと強いんだよ? 虔治くんも逃げたほうがいい」


 アイーシャ達は自分を捕らえるためにやってきた。あちらにシェルター内の民間人をどうこうする意思はない。ならば、自分が大人しく拉致されれば周りに迷惑をかけずに済むのだ。


 突然変異体。

 地球人でありながら、『異神世界』の住人のように魔力マナを扱うことができる存在。個体。性質。

 秦野原虔治はそういう人間だ。

 とはいえ、中身は日本に暮らしている少年そのもの。戦う行為とは無縁の生活を送っていたはずで、歴然の戦士であるアイーシャと相対すれば如何いかなる勝敗がつくかは火を見るより明らかだった。


 また、香織にはアイーシャにこれ以上シェルター内の人々と敵対してほしくない気持ちが強かった。


「そもそも、虔治くんは一般人なんだから。戦闘しなきゃいけない決まりや義務はないんだよ? 戦ったところで報酬が出るわけでもないし。危険だよ!」


「問題ないね」香織の必死な訴えは、虔治には通じていなかった。「前も言ったような気がするが、この非常事態に一般とかそうじゃないとか、そんなのは問題じゃない。なんだったけか、自警団っつーあの……アレ」


 彼が動くたび、無造作に折り曲げられたかのような寝癖がゆらゆらと揺れる。まるで、言葉に言い詰まる己の主に、「自警団だよ、おバカ」とせっつくように見えた。


「アレみたいにさ、公的機関が機能していなければ、自衛しなければいけない状況ってのはあるんだよ。警察も消防も、誰も守ってくれないんなら、誰が家族や大切を人を守ってやれる?」と自問するように言葉を吐き、「そんなの――俺以外にいねえだろうが」


 それに、と彼は言葉を続けた。「あっちも見逃しちゃくれなさそうだしな」


 香織の瞳が映す映像の端で、何かが高速で横切った。それは、元より投擲物として風の抵抗をモロに受けてしまう形状なため、普通の動体視力の彼女にもかろうじて追いかけることができた。

 先刻、虔治が吹き飛ばした部屋のドアだ。

 が、元いた場所に帰ろうとする帰巣本能でも働いたかのように、該当位置から直線上にいる彼に向かって迫った。


 虔治は動じた素振りもなく、ちらりと目線だけを左右に動かし、香織や倒れている三人の自衛隊員のことを確認してから、その腕に魔力マナを込めて振り払った。


 横からの一撃にあえなくベクトルを変換されたドアは、大した飛距離も出さず、勢いを徐々に失いながら停止した。


 虔治はドアを排するのに使った右拳に眼を落とし、調子を確かめるように何度か開閉させてから――ニヤリと笑った。


「母親の腹ン中から出てきてからずっと、長く色濃く付き合ってきたワリには、大したことねえなア。その程度なのか? 異世界人テメエ魔力マナってのは」


 明らかな挑発を差し向ける虔治に対し、扉を投げ返したアイーシャはワザと大きな音を立てて鼻を鳴らし、「よく言うぜ。魔力マナの流し方も理解してねえクセに」


「流し方?」


魔力マナってのはな、意図的に込めるものじゃねえ。常に全身に流れているものを自然に使うんだよ。よしんばそういう使い方をするとしても、それは強大な敵にぶつかったときだけだ。あんな廃品にぶつけるモンじゃねえ。あんなふうに一々意識してたら――次の瞬間に立っていられなくなるぞ?」


 刹那、香織の背筋にほとばしるような緊張と寒気が駆け巡った。

 外野の彼女にも解るぐらいの威圧感がアイーシャから放たれた。

 素人の自分が魔力マナを感じ取れるはずがない。殺意や敵意とも言い難いそれは、まさに人の生存本能に訴えかける迫力に満ちていた。


「冴山さん」と声をかけてきたのは虔治だった。彼は、闘気を発するアイーシャから眼を離さず、唖然と立ち尽くす香織を気にかけた。「今のうちに逃げてください」


「え……?」


「こいつは俺が引き付けますから、その隙に。できるだけこの場を離れてもらえると助かります」


「で、でも」自分が逃げたら被害が大きくなるのではないか、という危惧がある香織は、すぐにその提案を受け入れる心境になかった。


「お願いします」虔治は広角は吊り上げたまま、着ている学ランの襟を正した。「正直、あなたを守りながら戦える自信がない」


 香織は言おうとした言葉を呑み込んだ。逃げるわけにはいかないという己の使命感よりも、虔治の守り抜こうとする意思のほうが大きい、と察してしまったからだった。


 次に、アイーシャに眼を向けた。瞳を爛々とさせ、追いかけ甲斐のある獲物を前にしたかのような彼女の関心は、もう、香織に向いているとは思い難く、ここで自分が逃げようが留まろうが、二人の戦闘を回避する未来は閉ざされてしまっているような気がした。


 ならば、ここは彼の言う通り、邪魔にならないところまで避難すべきだと思えた。


 二人を戦わせてしまった己の不甲斐なさ、後ろ髪を引かれるを思いはあったが、香織は身を翻すと、反対の通路から居住区の出口を目指して走り出した。


 彼女の足音が遠ざかっていくのを感じながら、虔治はアイーシャの姿を睨み続ける。「追わなくていいのかよ」と口を開いた。「よく解んねえけど、彼女、テメエの目的なんだろ?」


「悲しいこと言ってくれんなよ」アイーシャは吠えるように言葉を返した。「こっちはつまらねえマキナ退治に気が滅入っていたところなんだ。久々のに胸躍っている相手に、その一言はねえだろ」


「安心しろ。どっちにしろ、彼女の元にはいかせねえよ」虔治は両拳を握り、ファイティングポーズを取る。「今のはただの確認だ」


「ハッ、いいねェ」心の底からワクワクが溢れ出す、といった調子のアイーシャ。「やっぱり、戦いってのはこうでなくちゃな。正々堂々、正面切ったタイマン。でなくちゃ面白味がねえ!!」


 猛々しく声を上げたアイーシャは、前方へ腰を捻りながら跳び上がった。虔治に迫りながら、空中で回転するように体勢を変化させつつ、右足を器用に折り畳むように動かすと、彼の目の前に辿り着く寸前、靴底を先頭にその足を勢いよく突き出した。


 対し、虔治は、その速度と魔力マナで強化された跳び蹴りを片手で受け止めようとした。


 しかし、勢いを殺すことができず、二人の身体は、虔治が後ろに押される形で、彼の背後にあったドアのない部屋に突っ込むこととなった。


 ――こいつ。


 靴の上からでも解る掴まれた感触に、アイーシャは内心で感嘆の意をらした。


 ――オレの蹴りを正確に受け止めるだけでなく、片手で耐え切りやがった。


 狭い通路では満足にスピードをつけることができなかったものの、それでも魔力マナに恵まれたアイーシャのキックはコンクリートの壁も容易く粉砕する申し分のない威力が出ているはずだ。


 ――さっきみたいに、魔力マナを一点集中させたのか?


 悪い癖だ、とアイーシャは戦闘の最中で相手の戦略を評価する。さっきも言ったが、魔力マナは自然と身体を巡っている。その程度の操作は、無意識に行わなくては、次々と繰り出される連撃に間に合わないのは自明の理。


 ――嫌いじゃねえけどな。


「……う、……っらアぁ!!!」


 アイーシャの攻撃を受け止め切った虔治は、絞り出すような声を出すと同時に、その受け止めた彼女の足を両手で掴み直し、その魔力マナを通した膂力を使って全身ごと投げ飛ばした。

 身体を震わし、青筋すら浮かべ、受け止めた手の平は決してノーダメージではないだろうが、それでも自身と同等以上の重量を持つ生物を振り回すかのような豪快さは意気天を衝く力強さが備わっていた。


 決して広くはない避難者用の個室の中。アイーシャは天井すれすれの際で体勢を整え、飛ばされた先にあった二段ベッドの上段に着地した。


 立ち上がると天井にぶつかるほどの高さから、屈みながら虔治のほうを見下ろすと、彼も丁度こちらを見上げていたようで、二人の鋭い双眸が交差する。


 フッ、とアイーシャは鼻から息を洩らした。「すげーな、お前。このオレを投げ飛ばすとはな。パワー型にここまでされんのは初めてだぜ」


「……………………」


「この頃のオレは色々あって、少しばかりにナイーブになってたんだけどな、お前のおかげで完全復活だよ。やっぱ、単純な力勝負ってのは解りやすくていい。『禁忌の人物史アカシックエラー』とも、ホントはそういう勝負がしたかったんだけどな」


「……………………」


「まあ、そっちは仕方がねえ。負けられない戦いだからな。とはいえ、性に合わないのも事実。だから、お前みたいな似た者に会えたことが奇跡のように嬉しいんだよ。これからの景気付けにもなる」


「……………………」


「なあ、さっきから何黙ってんだ?」


 機嫌よく珍しく饒舌に語るアイーシャだったが、それに微塵も反応を示さない虔治に、一転して不愉快さを感じ始める。


 虔治は彼女を射殺さんとばかりに凝視しており、その血走った瞳には尋常でない赫怒が見て取れた。


「…………いいから、さっさと降りろよ」暫くして、そんな一言が聞こえてきた。


「アァ?」アイーシャは聞こえないとばかりに耳をそばだてた。


「そこ、あかねのベッドなんだよ。さっさと降りろや。土足で上がるんじゃねえよ」


「誰だよ、朱」


「妹だよ!」そう吠えながら、虔治は右の掌をアイーシャに見せるように向けた。


 その手の平に、魔力マナが集中していく。数秒するかしないかの短い時間で、集められた魔力マナはひとつの塊となって手の平から発射された。


 アイーシャは反射的に顔を逸らした。横目に通り過ぎる魔力マナの塊が、部屋の天井に直撃し、白い壁紙を黒く焦がす結果となるところまで確認する。


 ――魔力弾か。

 ――にしても、この短時間でなんつー威力。


 単純な火力だけなら、以前に戦った『頭脳ブレイン』よりも高い、と目測で判じるアイーシャ。


 壁の惨状から虔治に対する警戒度を引き上げ、視線を再び戻そうと下にしたところ――ついさっきまでいたはずの位置に彼がいなかった。

 廊下に出たのか? この狭い部屋の範囲内で対象を見逃すとは思えず、彼女も慌ててベッドから飛び降りようと身を乗り出したのだが――――


 直後、ニュッとベッドの縁から浮上する虔治の顔。


 上から見渡しても姿かたち見掛けなかったのは、単純な話、二段ベッドの一段目に身を隠していたからだ。

 さらに、膝をつけているベッドの地面が軋みを上げたかと思うと――その分厚い生地を貫通して下から彼の拳が突き破ってきた。


「お前のほうがよっぽど壊してんじゃねえか!」アイーシャはその破壊的なアッパーを間一髪で避け、ベッドの上を転がるように移動し、そのまま落下防止用の柵を越えて下に落ちる。


 となりを通り過ぎていく彼女の動きを、虔治は静かに黒目だけで追いかけていく。


 アイーシャは綺麗に着地し、こちらに向けているその背中に攻撃を仕掛けようと飛び掛かった。


 対する虔治は、開けたベッドの穴から腕を引っこ抜き、すぐさま迫りくる攻撃を対処しようと講じる。


 握りしめた拳は風を切り、一コンマ遅く振り向こうとする虔治を打ち砕かんと言わんばかりだ。

 届く、という確信がアイーシャにはあった。


 虔治は腕を引っこ抜くと同時に外した寝台の木片を、振り向きざまに思いっきり振り被った。それは、突き出している彼女の手首に直撃した。


 が、勢いは止まらず、当てたはずの木片のほうが折れて砕かれる結果となった。


 クレハやリハナのように魔力マナを通した武器ならいざしらず、ただの木材でアイーシャの拳を止められるはずもない。


「おいおい、ガッカリさせんなよ!」食って掛かるようなアイーシャの言葉だ。


「安心しろ」虔治はさっきと同じように手の平を構えた。「させねえよ」


 ――さっきと同じ魔力弾か?


 その姿から、アイーシャの脳裏に過ぎったのは、先ほどと同じ結末と変わらなかった。


 ――けど、今さらそんなモンで止められるわけねえだろ!


 直撃した壁の惨状を思い出し、自分がそれを喰らうイメージを瞬時に作り出す。

 問題ない。

 そう判断したのは、何もやせ我慢だけではない。魔力マナに守られた身体は、この部屋を囲む壁や天井よりも強度には自信があったし、それがただの魔力マナの塊であるのなら、なおさら魔力マナで相殺して威力を半減することもできるのではないか、という計算があった。


 しかし、彼女は気付いていなかった。


 先刻にて虔治が放った魔力弾。その発射元は――今回とは逆の掌であるということに。


 さらに、今しがた構えた彼の掌に込められた魔力マナは、彼女の経験でも見たこともないほどに貯蓄されており、その溢れた分がキラキラと輝きを放っていることに――――


 言うなれば、それは銃弾や砲弾の類ではなく、光線や稲妻のようなものに近かった。


 溜め込んだエネルギーを一気に放出する。たったそれだけのことだが、虔治はそれをこの戦闘が始まった瞬間から、ずっと行っていた。


 それを、この瞬間に解き放った。


 坂を堰き止めて溜めた雨水も、時間をかければ村ひとつを飲み込みかねない洪水と化す。一センチにも満たない砂も積もれば砂漠となる。


 そんな途方もないレベルと比べるには時間の流れに差があるものの――たったそれだけの時間ですら、連なる部屋や幾層の壁を貫通する純白の波動に昇華させることができる。


 それはひとえに、魔力マナが溜め込むことが実質的に不可能に近いからだ。


 魔力マナは無意識化に操作を行う。攻撃を防御しようとしたとき、その受け止める箇所に魔力マナを込めようとする。しかし、それは刹那的なものであり、恒常的に続くものではない。

 例えるならば、重いものを担ごうとするときに、一度だけ力を振り絞って肩に乗せるような、あの感覚に近い。

 力を込めるのは簡単でも、それを長い時間維持するのはとても難しい所業だった。


 それを、虔治は可能とする。

 魔力マナをチャージし、一気に解き放つ。

 大技の連発。

 慣れない魔力マナの操作を、通例にはできない仕組みで補っていた。

 突然変異体たる彼にしか扱えない魔法。


増幅ブースト


 部屋の中は魔力マナが放射する熱のような白い煙が充満し、酷く眺めの悪い光景を生み出していた。


 虔治の放った魔力光線は、部屋の壁を容易く呑み込み、晴れない視界では確認しづらいが、隣室のそのまた隣室を無骨に繋げた通り道が出来上がっているはずだ。


 焦げ臭い嫌なにおいが鼻をつき、虔治は思わず顔を歪める。発射の勢いで、地面にしていたベッドがひしゃげるように形を変えていた。シーツが欠損し、周囲の机や椅子は熱に当てられたかのように溶けているか、発射の勢いで壁際まで転倒していた。


 頭が熱湯のように熱い。口の中に何かが侵入してきた、と思いきやそれは自分の鼻から出てきた血だと気付く。

 本来できるはずのない魔力マナをチャージできる魔法とはいえ、本来では有り得ないことしているわけで、しかもここまで大きな被害をもたらすまで温存させたのは初めての経験だった。


 ――これを喰らって、生きているはずが……。


 倒すどころか、殺した、という感覚さえ抱いてしまう自分の振りまいた惨状に、自然と身体が震えてしまうが、今はそんな余韻に浸る余裕もなく、彼は呆然と煙たい自分の部屋だった場所を見つめていた。


 その輪郭のない白さを裂いて、人の腕が生えてくるまでは――――


「なッ…………!?」


 唐突に現れた焦げのついた腕は、闇雲にその場にあったもの――虔治の胸倉を掴み上げ、


 次に煙から出てきた、クマの耳を生やした少女が告げる。


「さあ、第二ラウンドといこうぜ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る