魚の小箱(SF・ジャンルバラバラオムニバスストーリー)

魚の干鰯

第1話 天体

僕を君の天体に入れてはくれないか

いいのかい?僕の天体になるというのは「君」の死になるんだよと問いかける僕を制して君は口を開く

「いいんだ 入れてくれ」


「僕の天体」というのは言わば機械人形だ

僕の周りを一定に動く生きた人形である。


「もう自我を保つのさえ面倒だ。だったら君の天体に入った方が君も僕も幸せだろう」

君は空虚に笑った。

「世界は「僕」が必要な訳では無いんだ。「僕」が作る僕が必要なんだ。そして、僕が僕で無くなったとしても肉体さえ生きていればこの世界は生きていると認識をする。」

君は確かそんなことを言っていた。

正直どうでもよかった。僕には藍に浮かぶ美しい君の星を考えていた。僕は君がいつかそう言ってくることはわかっていた。はやくこいとも思っていた。

そして君は僕の衛星になった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魚の小箱(SF・ジャンルバラバラオムニバスストーリー) 魚の干鰯 @nibosihositeru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る