528 原因は、本当にこれなのか?
クリスマス中、特に大きな原因に成り得る物は、なにも見付けられなかった。
だが、最後の最後に、アメリカから帰る間際に崇秀から渡された『怪しげな薬』の存在を思い出す事に。
……って事は。
これが、本当に原因に成って、俺の『TS』が発症したのか!!(;゚Д゚)
***
「ふぅ~~~、片付け終わり。疲れた」
そこへ丁度、片付けを終えた奈緒さんが台所から帰って来た。
「・・・・・・」
あっ?あれ?なんじゃこりゃあ?
奈緒さんが帰って来たって言うのに、なんの高揚感も効果も無いぞ?
うっ、うん?
「なに?どうかした?」
「あっ、いや、別に」
「ふ~~~~ん。変なの」
あれ?本当に、なにも起きないぞ?
……ってか、寧ろ、奈緒さん本人が目の前にいると言うのに、気持ちがドンドン落ち着く方向へ行ってんだけど。
オイオイ、これって……ひょっとして『媚薬』なんかじゃなく『精神安定剤』とかなんじゃねぇの?
ってか、あの野郎だきゃあ!!
もしそうなら、俺の読みとは真逆な方向でやってくれやがったよ!!
まさか最後の最後に、こんな事を仕掛けて来るとは、ほんと、アイツにゃあ勝てんなぁ(;´д`)トホホ
「あぁそうだ、そうだ。ねぇねぇ、クラ。今からクラに貰ったベースを弾きに、ヤッキの店の方に行こっか?」
「あぁ、そうッスね。それ、良いかも知んないッスね」
「うん、じゃあ決まり。早速行こ」
「あぁウッス」
それで、この後。
ヤッキの店に場所を移動して、PEAVEY・B-NINETYを弾き捲くる奈緒さん。
そんで一時間程演奏して満足した彼女は、部屋に戻るなり熟睡。
この様子からして、相当疲れている処を、俺の為に無理してくれたんだろうなぁ。
奈佐さん、ホントありがとうッス。
んで、俺と言えば、そんな気持ちよく眠っている彼女を起す気にもなれず。
彼女の布団に潜り込んで、布団の中で、奈緒さんを抱っこしながら眠りに付いた。
しかも、奈緒さんを抱っこした瞬間、体が物凄く疲れているのかして、急激な眠気が襲ってきて、瞬時に眠ってしまっていた。
って事で、おやすみ奈緒さん……
『これが昨晩~今日に懸けての一部始終だ』
***
……っで、現在、俺の姿に驚く奈緒さんを目の前にしてる訳だが、一向に原因が見えて来ない。
敢えて言えば『崇秀に渡された薬』ってのが最有力に怪しいんだが。
それにしても、こんな馬鹿げた現象が起こるなんて有り得ないから、どうにも原因がハッキリしない。
幾らアイツの親父が遺伝子工学の学者だと言っても、これは流石に不可能だとしか思えないしな。
もし可能なら、それは完全に『神の領域』に踏み込んでるって話。
人として、やっちゃイケナイ事だからな。
……ってか、んな事より、此処はまず奈緒さんを説得しなきゃな。
このまま誤解を生んだままの状態じゃあ、この家から放り出されてしまう可能性もあるしな。
それになにより、昨晩の事を必至に思考していた分、ほんの少しだけ冷静になれたし、今がそのチャンスだと思う。
勿論『冷静になった』とは言っても限界はある。
まだ俺自身も、完全に現在の状況を把握して受け入れられた訳じゃないんだからな。
けど、取り敢えず、最低限の落ち着きだけは取り戻せたと思う……
「ねぇ、君、誰?泥棒なの?もしそうなら、今回は見逃してあげるから、早く出て行ってよ」
「違うんッスよ、奈緒さん。こんな形ッスけど、本当に俺なんッスよ。クラッす」
「はぁ?なに言ってんの君?それに、さっきから『奈緒さん・奈緒さん』って馴れ馴れしいんだけど。気安く人の名前呼ばないでくれない。ってか、さっさと出て行ってよ」
「あの、お願ですから、少しだけでも話を聞いてくれませんか?」
「なんで私が、泥棒の話なんかを聞かなきゃならないのよ。厚かましいなぁ」
「奈緒さん……」
「『奈緒さん』じゃなくて、早く出て行けって言ってんの。これ以上言っても出て行かない気なら、本当に警察呼ぶよ。……これ、最終通告だからね」
ダメか……
少し冷静に成ったとは言え、まだ確信を得た話は出来ないし、動揺が隠せない。
流石に、こんなアヤフヤな状態じゃあ、言葉も上手く紡いでいけないしな。
その上、こんな姿じゃ、そりゃあそうなっちまうわな。
俺だって、奈緒さんがこんな事になったら、信用出来るかどうか疑問だもんな。
現状では、流石に説得は無理か……
かと言って。
「あっ、あの」
「なに?漸く大人しく出て行く気になったの?」
「あっ、はい。言われた通り出て行きますけど。最後に1つだけ話を聞いてくれませんか?あの、絶対に危害とかは加えませんから」
「『危害』?……君みたいな子が、私に危害?笑わせないでよ。なめてるの?」
「そうじゃないんッス。ただ、話をどうしても聞いて欲しいだけッス。お願いします」
「さっきから、なに言ってんの?そんなの嫌に決まってるでしょ。早く出て行って」
どうしようか?
奈緒さんに従って、このまま出て行っても、こんな姿じゃ受け入れてくれる先も無いし。
それ以前の問題として、奈緒さんにだけは、どうしても解って欲しい。
どうしたら良いんだよ……
「それが……倉津……倉津真琴に関する話でもですか?」
俺の口から咄嗟に出てきた話は、他でもない自分の話。
それ以外は、一切、奈緒さんが聞いてくれる気がしなかった証拠だろう。
でも、これが最後の手段だ。
これででダメなら、本格的に無理だな。
「ちょっと君……今、軽々しく『クラ』って言ったけど、クラがどうしたのよ?事と次第じゃ、本当に許さないよ」
やっ……やった。
此処に来て、やっと奈緒さんが俺の話に喰い付いてくれた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
とうとう、原因に成り得る物として『崇秀に渡された薬』っと言う怪しげな物が出てきましたが。
実際の話、この薬を飲んだからと言って『女体化する』なんて事はなく。
効果の程は、どうやら、ただの精神安定剤と同様の効果しかなかったみたいですね。
故に今現在、その姿で奈緒さんと対面している状態にあっても、説得の材料とはならず、苦戦を強いられる事に成ってしまいましたね。
さてさて、そんな中。
奈緒さんが一番興味を持ってくれるであろう『倉津君本人の話』によって、なんとか奈緒さんの興味を引く事だけは出来た様ですが。
此処から、どう言う説得をして行くのかは倉津君次第なので。
次回も良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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