524 思い出しただけでも、イケメンな彼女

 奈緒さんとの幸せな時間は続く。

だが、俺が言った『ベース弾かないんッスか?』に奈緒さんは大爆笑し始める。


一体、何故?

(気付く方は、直ぐに気付かれたと思いますです(笑))


あぁ、そう言えば……( ゚д゚)ハッ!


***


「ぷっぷっぷっ……『なにがッスかね?』じゃないよ。君は、私を笑い死にさせる気なの?」

「えっ?えっ?えっ?なっ、なんで、そうなるんッスか?」

「だってクラ、少しは思い出してみなよ」

「なっ、何をッスか?」

「私、君の口から、その言葉を聞くのって、今日が初めてじゃないよ」

「えっ?」

「……それって、私と初めて出会った時に、君がカラオケ・ボックスで言ったセリフと全く同じじゃない。しかも、同じ様なタイミングの今、普通、言うかな……ぷっぷっぷっ」

「あっ……」


しっ、しまった!!そう言う事か!!

そう言えば、そんな馬鹿なセリフを、過去に言った記憶(序章3話参照)が有るな。


しかも、一言一句違えてない様な気がする。



「ヤッパ、最高だよ君は。本当に私を飽きさせない子だね。……ぷっぷっぷっ」


そりゃあそうだわな。

同じ様なシュチュエーションで、同じ様な事を言えば、誰だって思い出して笑うわな。


そんな風に天丼効果で雰囲気ぶち壊して、最悪だよもぉ……



「・・・・・・」


まぁ、結果は、こんなもんですわ。


自身がアホ過ぎて、なんも言葉が出てこん訳ですわ……



「本当にもぉ……君だけは……」

「ちぃまちぇん」

「良いの、良いの。それでこそクラなんだからさ。……そんな事よりクラ、口の周りになんか付いてるよ。取ってあげるから、顔コッチに出してみ」

「はい?なんかついてるんッスか?なにが付いてるんッスかね?」


『コツッ』


『チュ』


『ボ~~ンボ~~~ンボ~~~ン』


奈緒さんの顔が机越しに迫って来たと思ったら、不意打ちのキス。

そしてそれと同時に、まるで計っていたかの様に、彼女の家にある柱時計が12時を知らせる鐘を鳴り響かせた。



「はい。クリスマス終了と共に、キスで締め括ってみました。……どぅ?これって、結構、良くない?」


また奈緒さんから、やられたよ。


ホント情けねぇな。


しかしまぁ、それはそれとして。

彼女とのキスは、今までに何回も味わってきたが、この人とのキスって、本当、何度やっても飽きないな。


何故ならな……兎に角、彼女は、今の様に、周囲の状況や、様々なシュチュエーションに合わせて、多種多様なキスを不意に繰り出して来るんだよ。

この辺は、俺の気持ちが昂ぶりが手に取る様に解るんからなんだろうけど……それでも様々なバリエーションを駆使してくれてるから、兎に角、飽きが来ないんだよな。


まさに『キスのプロフェッショナル』と言えよう、若しくは『キス・マイスター』

ホント、この人は女性であるにも関わらず、こう言う面が『イケメン過ぎる』んだよなぁ。


……あぁ、それはそうと、奈緒さんがキスしてきてくれた際に鳴った、あの『コツッ』って音、なんだったんだろうな?


まぁ今は、そんな些細な事は、どうでも良いか。



「あの、奈緒さん……こう言うのって、普通、男の方が演出するもんじゃないんッスかね?」

「そぅかなぁ?どちらかが思い付いたら、直ぐにする方が、ある意味、一杯思い出を作れると思うんだけどなぁ。……クラは、そう言うの嫌なの?」

「いや、嫌って訳じゃないんッスけど。……なんか、男として情けないなって、思って」

「じゃあ、来年はクラからしてくれる?私、ちゃんと憶えて置くからさ」

「来年は俺からなんッスか?……あっ、はい、わかりました。任せて下さい」


俺は急ぎ、来年用の手帳をポケットから取り出して、クリスマスの日に『俺の方から、奈緒さんにキス』っと書き込む。


来年こそは、絶対に俺から奈緒さんにキスして、今度は俺がイケメンの立場をGETしてやるんだ!!



「そっ、そんな風に、メモまで取らなくても……」

「嫌ッスよ。そりゃあ絶対に忘れはませんけど、こう言うのって、より確実なのが大事ッスからね」

「いや、あの~~~、クラさぁ。……そんな気合入れなくても、それ以外にもキスする機会なんて幾らでも有るんじゃないかなぁ」

「でも、これはこれで、結構、俺の中で大事な話なんッスよ」

「なんで?」

「いや、あの、例えッスね。どんな小さな約束でも、奈緒さんと交わした約束は果たして行きたいんッスよ。だから、メモを取るのは必須条件なんッスよ」

「……はぁ~~~、もぉ、ホント、君って奴は女誑しだよね」

「それって……今度の奴も、良い意味の方に取って良いんッスかね?」

「勿論だよ。……それとね。そうやって、いつも大切に想ってくれて、あ・り・が・と♪大好きだよクラ」

「感謝なんかしなくて良いですよ。奈緒さんは、俺にとって唯一無二の存在。世界で一番大事な人なんッスから。こんなの当然ッスよ当然」

「そっか。……また、当たり前の事を言われちゃったね」


ヤッパ、良いよなぁ、奈緒さんわ。

こんな小さな約束を果たそうとするだけでも、一杯、喜んでくれるんだもんな。


俺、奈緒さんが喜べる様に、もっとガンバろ!!


・・・・・・


……あぁそうだ、そうだ。

此処で満足してる場合じゃないな。

そう言えば、まだ最後に『指輪のイベント』が残ってるんだった。


だったら早速だが、此処で、また奈緒さんに喜んで貰おうかな。


この機を逃す手は無いよな。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


奈緒さんは、凄く出来た彼女ではあるのですが。

彼氏の立場である倉津君にしたら『やや性別逆転気味の関係』は、ちょっと悔しい場面ではありますね(笑)


まぁこれが、恋愛経験値の差だから仕方がない事ではあるんですが。

なんとか来年のクリスマスは、奈緒さんとお約束を上手く果たして、自身の成長を見せて欲しい所です。


……っで、体の変化についての原因の方は、結局、今だに不明のまま。

立場が逆転している位で性転換してしまうなら、倉津君は、恐らく奈緒さんと付き合い始めた序章の時点で女性に成ってしまっていますからね(笑)


なので、次回も原因探しは続きますです♪


次回こそ見付かるのか?

(*'ω'*)b

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