523 流れに身を任せるが如く……

 未だに見付からない、体の変化に対する原因。

だが、それに反して、崇秀の立ててくれたプランニングは上手く運んでいる。


そして今、そのプレゼントの第一弾が奈緒さんの手に!!


ぬぅ~、楽しかっただけで、なんの原因も見つからん(´;ω;)φブワッ


***


「あぁ……PEAVEYのベースって言うから、なにかと思ったら、B-NINETYのACTIVE回路搭載型か。ふ~~~ん、よくこんな珍しいベースを見つけたね」


そう言いながらも本体の材質チェックをする為に『コンコン』っと本体を叩いてみたり、ネックの反りがないかをチェックしている。

この様子から見て奈緒さんは、まだ別口で仕込んで置いた『指輪』には気付かなかったみたいだな。


まぁ、そうは言ってもだな。

その件に関しては、ベースを戻した時にでも気付くだろう。


故に此処はスルーすべき点だな。



「あぁ、いや、見つけたもなにも、楽器屋で見て、これかなって、直感的に思っただけなんッスけどね」

「ふふっ、またそうやって感性で選んだんだ」

「あぁっと、すんません」


実は、選んですらいません。


すんません。



「にしてもクラ。これ、結構、派手な赤だね」

「あぁっと、気に入りませんか?」

「うぅん。クラが選んでくれたんなら、これも有りだよ」


重ね重ねすみません。


選んでません。


あぁけど、こう言っちゃあなんですが。

改めて、今、そのベースの色を見たら、奈緒さんにピッタリとフィットしてる色だとは思いますよ。


奈緒さんは情熱的な人なんで『情熱の赤』が良く似合うッス。



「あぁ、なんなら、色変えてきますけど」

「うぅん、これが良い。ってか、これしかヤダ。一目見て気に入っちゃったも~ん。……あぁけど……」


うん?

なんだ?

なんで急に凹む?



「どうしたんッスか?ヤッパリ、なんか気に入らない事でも有ったんッスか?」

「うぅん。そうじゃなくてね。私、クラに、こんな良い物を貰ったのに……クラにプレゼントをなにも買ってないや。これじゃあ、クリスマス・プレゼントを貰う資格なんてないよね」


いや、そこはッスね。

俺が勝手に急遽帰国したんだから、無理ってもんでしょ。


予定外ッスよ予定外。


……けどなぁ、そう言っても。

そんな理由じゃ、奈緒さんが簡単に納得しないのは、火を見るよりも明らか。


なんか違う方法で慰めなきゃな。



「なに言ってんッスか。俺、奈緒さんから、ちゃんとプレゼント受け取ってるッスよ」

「えっ?私、なにも渡してないよ」

「何所がッスか?こうやって、帰って来るか、どうかも解らない俺の為にパーティの準備をしてくれて、待っててくれたじゃないッスか。これ以上のプレゼントなんて、この世の中に存在しないッスよ」

「クラ……」

「だから、心配には及ばないッス。十分以上なプレゼントは貰ってるッスよ。そう言う心遣いが一番嬉しいッスから」

「もぉ、上手い事言っちゃって……この女誑しめ」

「うぇ」


そうか……こう言う事を、うかつに言っちゃうから『女誑し』って言われるんだな。


此処は、深く反省すべき点だな。

そんで今後の為にも、女誑しについては一度きっちり考察しとかなきゃな。

奈緒さんに、いつまでも、そんな風に思われるのは心外だからな。


この辺については、早期の解決が望ましいだろう。



「クスッ。嘘、嘘。今の女誑しって言うのは、褒め言葉の方ね」

「へっ?なんでッスか?女誑しなんて、全然、褒め言葉じゃないッスよ」

「まぁ、そうなんだろうけどさぁ。クラが此処まで上手く私の気持ちを察しちゃったら、私としては、逆に口惜しい訳じゃない。だから意地悪な事の1つも言わなきゃ、恥ずかしいじゃない」

「えぇっと……って事はッスな」

「うん。『大好きだよ』の裏返し。本音じゃ『クラ、ありがと』って言ってるの」


うん。

この奈緒さんの表情からして、今の話を考察する必要はないようだな。

いや、寧ろ、こんな風に奈緒さんを喜ばす事が出来るんなら、普通の意味での女誑しの話なんか考察すべきじゃない!!


だってよぉ、俺は馬鹿だから、此処で変に考察したら『天然』じゃなくなるって事だろ。

それはある意味、本気で奈緒さんを喜ばせられないって意味になるから、実に宜しくない。

序に言っちまえば、そんな風に意識して変な言葉を吐く様になるのも、本当の女誑しみたいで、なんか嫌な感じだしな。


故に、先で言った女誑しの件に関しては、全て破棄する。


ヤメだヤメ。



「あぁ~~~、あぁ~~~っと、あぁ、はい。こちらこそ」


……ショボ。


偉そうな脳内会議を開いたくせに、真顔で女の子に、こう言う事を言われると、眠っていた筈のショボ大王が大復活をかますみたいだな。


情けね。



「ふふっ、なにが、コチラこそなの?」

「あぁっと、大好きって件が……」

「ホントにぃ?」

「本当ッスよ!!俺、奈緒さん以外になんて、こんな事を、絶対に言わないんッスよ!!」

「そんなムキにならなくても……」

「あぁっと、そうッスよね。奈緒さんは、俺もモノっすから、ムキになる必要はないッスよね」

「そうだよ。間違いなく、私は君だけのものだよ」


うにゃあぁ~~~もぉ幸せですにゃ~~~~。


けど、こう言う雰囲気は、某、相も変らず慣れないでゴワスな。


方向転換しよぉ~~~~。



「あの、それはそうと奈緒さん」

「うん?なに?」

「ベース……弾かないんッスか?」


どうッスかね?

こう言う発想、良くねぇッスか?


緊張してる俺を、奈緒さんの視界を外す為には、ベースに興味を持たせるのが順当。


彼女が楽器に興味が有るだけに、完璧な作戦だ。


I`m ジャパニーズ・クルーグマン!!



「クスッ……あはっはっはっはは……嘘でしょ?なにそれ?信じられない。この子、また言ったよ」

「はい?えぇっと、なにがッスかね?」


えっ?えっ?えっ?なんで、急に笑われてんだ俺?


俺、今、奈緒さんが、なんか笑う様な事を言ったかな?

(。´・ω・)?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


うん、2人して見事なバカップルですね(笑)

まぁでも、嬉しい時と言うのは、カップルならこんな風に成ってしまうもの。


だから、この辺は許してあげて下さい(笑)


さてさて、そんな原因が解らない状態のまま、何故か奈緒さんに大笑いされた倉津君。

一体、此処には、どんな意味が含まれているのか?


そこは次回の講釈。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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