522 楽しい時間だけは過ぎて行くが……

 原因を探る中、中々それを見付けられない俺。

昨晩の奈緒さんとの楽しかったクリスマスは続く……


此処も特に問題なしっと( ˘•ω•)φメモメモ


***


 パーティを始めて5分。

奈緒さんと2人で、会話もソコソコに楽しくパーティをしていると、奈緒さんがある事を聞いてきた。



「ねぇ、クラ。1つ聞いて良い?」

「なんッスかね?」

「あのさぁ。変な事を聞く様なんだけど、君、Fenderから、PEAVEYに、ベースを鞍替えするつもりなの?」


あっ……そうだそうだ。

崇秀に借りを作ってまで貰ってきたクリスマス・プレゼントを、奈緒さんに渡すの完全に忘れてた。


けど、奈緒さんが面白い反応を見せたから、まずは、この話に喰い付いてみるか。



「うん?なんで、そんな事を聞くんッスか?」

「えっ?だって、そのハードケース。クラの使ってたFenderのじゃないじゃない。だからPEAVEYに鞍替えしたのかなぁって」

「あぁ、これは、そう言うんじゃないんッスよ。俺が、これからも使うのは、奈緒さんが選んでくれたFenderだけッスよ。変える気なんて毛頭ないッス」

「じゃあ、練習用のセカンド的なもの?」

「いやいや、練習用なんて贅沢な物、俺が持つには100年早いッス」

「えぇっと、じゃあ、なにそれ?」

「これッスか?……これは、奈緒さんへのクリスマス・プレゼントっす!!」

「えっ?私に?」


うわっ!!思ってた以上に、良い反応が返って来たな!!



「そうッス。奈緒さんにプレゼントっすよ」

「でも、なんで、またベースなの?それに、よくそんな時間があったね」


グゲッ!!

プレゼントの件は前以て予測されていたが、購入する時間の件は考えてなかった。


……って事はだな。

此処が、俺の腕の見せ所って奴か。



「あぁっと、実を言うとですね。ニューヨークに着いた時点で、奈緒さんへのプレゼントとして、真っ先に購入して置いたんッスよ」

「あぁ、そうなんだ。……でも、ベースをクリスマス・プレゼントに持ってくるなんて、クラらしい発想だよね」

「あぁ、まぁ、正直に言っちゃうと……これって、ちょっとした嫉妬が絡んでたりするんッスよね」

「嫉妬?なんで嫉妬なの?」


あぁ……この分じゃあ奈緒さんも、元彼のベースを使ってる件は気にしてないんだな。


つぅか、実際は、俺自身も気にしてないんだけどな。



「いや、あの、実を言うとですね。あるルートから、奈緒さんの使ってるベースが『元彼の物』だって話を、ちょっと小耳に挟んじゃったもんで……軽く嫉妬しちゃったんッスよ」

「えっ?あっ……ごめん」


ヤッパリ、瞬時に凹んじゃった。


崇秀の思惑通りな展開ではあるんだが。

無意識なだけに、これは、ちょっと可哀想な事しちゃったな。


早めにフォローしよ。



「いやいやいやいや、奈緒さんが気に入って使ってるなら、全然良いんッスよ。寧ろ、今後も使ってOKなんッスよ」

「でも、クリスマス・プレゼントに買って来るぐらいなんだから……本音じゃ、相当、嫌だったんでしょ」

「あぁ、まぁ、それは、そうなんですけどね。なんて言うか、ほら、あのベースの木も良い具合に渇いて来てるし、無理する必要は無いんッスよ。それに、ほら、新品のベースじゃ、まだ全然木が乾いてないから、あのベースみたいな音が鳴らないかもしれないッスからね」

「ありがとう。……けど、折角だから、もぉあのベースは使わないね。これからは私、クラに貰ったこのベースしか使わない様にする。だから、さっきの件を黙ってた事は許して」


あぁ~~~、フォローするどころか。

これじゃあ、ただ単に追い込んでるだけじゃんかよ。


なにやってんだよ俺。


シッカリしろつぅの!!



「けど、それじゃあ」

「うぅん、良いの。これはケジメだから。それに本当は、もっと早くに別のベースに切り替えるべきだったんだろうしね。最初から、そうしてれば、クラが嫌な思いせずに済んだのにね。……ホントにゴメンね」

「・・・・・・」


あぁ、もぉ最悪だよ。

奈緒さんが、こんな気持ちになるなら止めときゃ良かった。



「ねぇねぇ、クラ、そんな事よりさ。クリスマス・プレゼント見せて貰って良い?早く見たいな♪」

「あぁ、はぁ」

「なになに?なんで君が、そんなに凹んじゃう訳。君の言ってる事は、全て正しい事だよ」

「けど、本当に、それで良いんですか?」

「良いも、悪いもないの。こんなの、私が無神経過ぎただけの事だもん。クラに責任は無いんだよ」

「けどッスね」

「はいはい。こんな事を言い合ってても埒が開かないから、この話は終わり。君がなにを言っても、私は、君から貰ったこのベースしかもぉ使わないの。これは決定事項だから、なにを言っても覆らないからね」

「あっ……はい。わかりました」

「うん、解れば宜しい。じゃあ、早速見せて貰うね。……君のセンス」

「へっ?センス?」


えっ?

これって、そう言う意味も含まれてるのか?


俺、その辺の事は、なにも考えてねぇぞ。


あぁ……けど、崇秀が選んだベースだから、そんなそんな大きなハズレは無いか。

それに奈緒さんが使ってたFresher/Personal Bassって、本人も安物だって言ってたしな。


その点このベースなら、多分、ハードケースに入ってるぐらいだから、そこそこ高級品だろうしな。

(↑あやふやな意見な俺)



「んじゃあ、開封~~~♪」


言葉を発すると同時に、ハードケースを開封。


心なしか、奈緒さんは嬉しそうな表情を浮かべている。



そして此処で、奈緒さんからどんな反応が返って来るのか、実は、不安で仕方がない俺であった(´;ω;`)ブワッ


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


矢張り、此処でも原因は見つからずに、楽しい時間だけが過ぎて行ってるみたいです。

まぁ、普通に考えれば、クリスマスを楽しく過ごしていただけに、こんな変化の原因を探すのは難しい所なんでしょうけどね(笑)


ですが、原因は必ずある筈。


次回もクリスマスの件を踏まえて、原因を探させていきたいと思いますので。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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