521 順調過ぎて、原因が見当たらない
自身の体の変化に戸惑いながらも、必死に原因を探る俺。
まずはアメリカから、奈緒さんの家までの出来事を考察してみたがヒントはなし。
此処は取り敢えず、問題なさそうだな( ˘•ω•˘ )
***
「あぁ良いんッスよ、良いんッスよ。これは、俺の単なる我儘でやってる事なんッスから……それに、ちょっとでも奈緒さんに喜んで貰えたら満足ッス」
「ふふっ、嬉しい事を言ってくれちゃって……じゃあね、私、それに、ちょっとでも報いるように、クリスマス用の簡単な手料理でも作って来ようかな。時間ギリギリになっちゃったけど、2人だけのクリスマスパーティしちゃおっか」
おぉ……なんと言う有り難い提案。
けど、逆に言えば、ここでも崇秀の予想が完全に当たってるって証明でもあるな。
まいったなぁ。
さて……此処までは、完全に崇秀の読み勝ちで、奈緒さんは奴の掌で踊っている状態になっているだが。
『クリスマス大作戦』も佳境を迎えた、この時点で、崇秀は『ある2つの答え』を用意していた。
所謂2択って奴だ。
何故アイツが、こんなややこしい事をワザワザ用意したのかまでは不明なんだが。
奴が言うには『最終的に、2人で、どんなクリスマスを送りたいか?』によって、此処での解答が変わって来るらしいんだよな。
解り易く言うとだな。
①『楽しい時間を過ごしたい』のか?
それとも。
②『イキナリ大人な関係をする流れで、2人の時間を過ごしたい』のか?
……っで、此処での解答が変わるらしいんだ。
因みにだが、その2択って言うのは、こんな感じだ。
①『楽しい時間を過ごしたい』場合。
そのままなにもせず、奈緒さんに『お願いします』って感謝の念を伝えるだけ。
②『イキナリ大人な関係を満屈する流れで、2人の時間を過ごしたい』場合。
料理を作りに行こうとする奈緒さんを引き止めて、後ろから抱きしめ『奈緒さんが居れば、なにもイラナイ』って言うとの事だ。
俺としては、どっちも捨て難い美味しいシュチュエーションなんだが……此処は、敢えて①を選択。
今はHをするよりも、なによりも、初クリスマスと言う特別な時間を、まずは2人でゆっくりと満喫してみたいからだ。
確認の為に言って置くが『へたれ』で、こんな事を言ってる訳では無いので、あしからず。
「やった!!俺、超腹ペコなんッスよ」
「はぁ、そう言うと思ったよ……(ヘタレめ)」
「はい?なんか言ったッスか?」
「うぅん、なにも言ってないよ。……じゃあ、早速、準備してくるね」
「あぁ、ウッス」
うん?
奈緒さん、絶対なんか言ったよな。
なに言ったんだろ?
此処は、まぁ良いか。
***
……さて、奈緒さんが台所に姿を消して約30分が経過。
その30分の間中、台所からは、なにかを焼く音や、なにかを揚げる音がヒッキリなしに聞こえてきていた。
『簡単な料理』って言った割には、やけに本格的な匂いがプンプンとしている。
そんで、時計の針が23時30分を差した頃。
奈緒さんは、両手で持ちきれない程の大量のクリスマス料理を持って姿を現した。
勿論、シャンパンも持っている。
マジかよ……
「ごめん、ごめん。思ってたより調理に手間取っちゃったよ。お待たせクラ」
「あの……奈緒さん。これって、ひょっとして……」
「あははは、バレちゃったか。実は、あんな事を言ってた割にね。ちょっとだけ『クラが帰って来てくれるかなぁ?』とか思っちゃってさ。チャッカリ準備だけはしてたりして……ははっ」
う~~わっ!!ヤッパリだ!!
此処まで正確に言い当てるなんて、崇秀の奴、何所まで奈緒さんの思考を読み切ってやがるんだ?
此処まで来ると、ちょっと気持ち悪いなアイツ。
いや、なんでもな。
アイツが言うにはな。
今、この眼前で起こってる現象は……
『彼氏が居る女の子なら、彼氏が来られないと解っていても【万が一】に備えて、最低限度のパーティの準備はしてる』って話らしいんだよな。
『何故、そんな心理になるのか?』と尋ねたところ。
アイツは『打算』と『悲劇のヒロイン』って、恒例に成りつつあるお題目を提示してきた。
まぁ、これについてはだな。
今までにも何度となく出てきているお題目なんで、なぁ~~んとなくは意味が解る様な気がするだがな。
明確な答えが欲しかった俺は、更に『なんでだ?』って聞いてみたんだよ。
するとアイツは、事もなしに……今度は『確率論の問題だ』と言い放った。
そんで、その序に……クリスマスに『1人で放って置かれた、自分を(悲劇のヒロイン)演出する』為と。
万が一にも『彼氏が来れた時の用意だけでもして置けば、彼氏に好印象を与えられる(打算)からだ』って言う簡単な説明を加えてきた。
しかしまぁ、こうやって崇秀の意見を聞いて、それを奈緒さんを照らし合わせてみると、意外と彼女も『一般的な思考も持ち合わせているんだな』って思える。
……んで、また此処で崇秀の2択。
①からかう様に『可愛い事するんッスね』
②只管、感動して『マジっすか?俺、滅茶苦茶感動ッスよ』
の2択。
まぁ普段の俺なら、勿論の事、迷わず②を選択する所なんだが……
此処まで正確に、彼氏でもない奴に言い当てられたんじゃ、かなり癪なんで、敢えて此処は、少々ややこしい方向に行きそうな①を選択する事にした。
これはアイツに対しての、せめてもの抵抗って奴だな。
「いや、意外ッスね。奈緒さんでも、そんな可愛い事を考えるんッスね」
崇秀の予想では、此処は『絶対に反論はしない』って言い切ってるんだがな。
多分、奈緒さんの事だから『それはない』って、俺は思っている。
なんせ奈緒さんなら『それ、どういう意味よ?』って言う可能性の方が、遥かに高いからな。
「まぁね。ナンダカンダ言ってもクリスマスだもん。『クラと一緒に過ごしたいなぁ』って、心の何所かで想ちゃったのかな」
あっ、あっ、あれ?
俺が間違いで、崇秀が正解?
って事は、これがアイツの言ってた『特殊イベント効果』って奴か……
なんでも奴の言う方程式ではな。
『無理だと思ってたイベント』が成立すると、嬉しさのあまり、自然と気持ちが素直な方向に向くんだとよ。
なんかもぉ、操り人形みたいで嫌になってきたな。
ちょっと趣旨変えよ。
(↑流石に、本気で怖くなって来た俺)
「あの、奈緒さん」
「うん?なに?」
「もしッスよ。もし俺が帰って来なかったら、この食材の山は、どうするつもりだったんッスか?」
「うん?あぁ、それなら、冷凍庫に入れて置いて、クラが帰って来次第、改めてクリスマスを2人でお祝いしようと思ってたんだけど……変かな?」
そこまでキッチリと考えてくれてたんだ。
その考えると、女子の行動力ってのは思ってた以上に凄いもんなんだな。
「いやいや、全然、変じゃないッス。それ処か、そんな風に考えて貰ってたって思うだけで感動しました」
「そっ……でもね。正直言っちゃうと『今日は、もぉ無理かなぁ』なんて、昼ぐらいに思っちゃってね。素直と、ちょっとだけクリスマスのお祝いをしちゃったんだけどね」
「あぁ、だからッスか。俺が来た時『素直、忘れ物でもした?』って聞いたんッスね」
「まぁ、恥ずかしながら、そう言う事だね」
はぁ~~~、ダメっすな俺。
奈緒さんの気持ち、全然解ってねぇじゃん。
情けね……
「ねぇねぇ、クラ、そんな事よりさ。もぉ殆ど時間が無くなっちゃったけど。2人だけのクリスマスをお祝いしよ。……15分間だけの2人のクリスマスをね」
「あぁ、そうッスね。折角、奈緒さんが用意してくれたのに、クリスマス料理が冷めちゃいますもんね」
「うん、じゃあ、乾杯しよっか。メリークリスマス♪クラ♪」
「あっ、はい、メリークリスマス!!奈緒さん!!」
「ちぇ……折角だから、そこは『奈緒』って言って欲しかったな」
「また、そう言う事を言う……」
そんな事を言いながらも、奈緒さんは凄い可愛い笑顔に成っている。
この素敵な笑顔を見れただけでも、弾丸ツアーを決行した甲斐が有ったっと思える。
だから、世界一気持ち悪い奴だが、此処だけは崇秀の馬鹿に感謝しないとな。
そんな感じで、奈緒さんと2人で15分だけの深夜のクリスマスパーティが始まった。
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
今の所『崇秀の思惑通り進んでいる』ので、順調この上ない状態なのですが。
それと同時に【倉津君の体の変化についての謎】の方も、ヒントが見つからない状態ですね。
さてさて、そんな中、昨晩の話が進んで行く訳なのですが。
一体、倉津君の体に変化を齎した原因は、なんなのでしょうか?
次回辺りから、そのヒントらしきものが出て来るかもです(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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