第71話 最終決戦開始

「……巨乳復権派から押収した薬よ。この薬を注射すると、女はブラのカップサイズを問わず、強制的にAカップになってしまう……」


 お義母様の言葉に、私は震えた。

 なんて恐ろしい薬なの……!


 そんな薬を打たれたら、私の巨乳認定証が剥奪されちゃう……!

 一体、何のために……?


 お義母様は不快そうに、この薬に纏わる話を語ってくれた。

 それはとても、最低な話だった……


「……巨乳認定証を持っている巨乳判定女子は、何才でも結婚が出来る。そして巨乳復権派は、貧乳少女と結婚したい……」


 お義母様は、吐き捨てるように言ったんだ。


「そこで考えた。巨乳判定女子を篭絡し、結婚する。そしてその嫁になった巨乳判定女子に、貧乳薬を注射する……」


 あ……悪魔の思想……!

 女の子を人間だと思っていない、最低の考えだよ……!


 そんな……モンスターのような男性がいるなんて……!


「……当然、巨乳認定証の更新が毎年ある以上、即発覚した。パッドで誤魔化そうとしたみたいだけど、認定証の更新は上半身裸でやるから全く無意味」


 ……ひょっとして、お正月に見たニュースは、このことだったのかな……!

 ……あの女の子……可哀想……!


 一体どうなったんだろうか……?


 悪い男性のせいなんだと、情状酌量されて罰金500万円くらいで許して貰えたんだろうか……?


 そして、全てを話し終えたお義母様はこう締めくくった。


「そういうわけで、ここにあるの。この薬」


 ……分かりました。お義母様。


 私は箱を閉じた。


「……薬は血管に打たないと駄目なんでしょうか?」


「……筋肉や脂肪に注射しても効果を発揮するわ」


 ……よし。


 お義母様は言った。


「……いきなさいのぞみ……私の義娘むすめ!!」


「はい! お義母様!」


 私は立ち上がり、駆け出した。

 この国を救うために。




~巨乳警察視点~


「塩田隊長! MP5マシンガンの準備は完了しています!」


 ウド鈴木の髪型をした部下、奈良隊員が俺に報告した。


「悪堕ち巨乳、通りすがりの男を悉く眷属化し、御所に進行中です!」


 鬼のチ〇ポを持つ部下、叶親隊員の報告。

 ……急がないと!


「いいか!? 我々こそこの国の最後の盾! 護国の剣だと肝に命じろ!」


 俺は部下たちに言い放つ。

 絶対に忘れてはいけないことを。


「悪堕ち巨乳はもう人間ではない! 射殺しろ! やむを得ないんだ!」


 自分にも言い聞かせるように。


「再び、社会を破壊して無法時代を招くわけにはいかんのだ! 心を鬼にしろ!」


 部下たちの覚悟が決まっていく。


「巨乳なんだから勿体ない、なんて思うな! いいな!?」


「はい!」


 部下たちの覚悟の声。

 俺の覚悟も決まった。


「OK行くぞ!」


 俺たちはMP5マシンガンを装備し、駆け出す。 


 街を走る。

 索敵しながら。


 情報に従って走り続ける。


 そして


「塩田隊長! 前方20メートルに、男を引き連れたブレザー姿の巨乳がいます!」


「顔面の隈取と額の「悪」の文字を確認! 悪堕ち巨乳です!」


 ……見つけた!

 俺たちは足を止めて、MP5マシンガンを構えた。


 照準を合わせる。


「奈良隊員! 叶親隊員! 巨乳は足元が見えない! まず足を撃って動きを止めろ!」


 そして最終的に頭を撃って仕留めるんだ!

 決して胸を打つな! 胸は物理反射属性だからな!


「分かりました塩田隊長!」


 部下たちがそう返す。


 ……だが。


 そういう打ち合わせは、悪堕ち巨乳に遭遇する前にするべきだったのだ。


 俺たちがそんな最後の方針確認をしている間に……


 悪堕ち巨乳がこちらに気が付いた。


 ヤツがこちらを見て……その両腕をこちらに向かって広げ……


 そして……その瞳が輝いた!


 しまっ……た!




~悪堕ち巨乳視点~


 ……はい、いっちょあがり。


 この世の全てを憎み、私に相応しい扱いをしない社会に怒りを覚えたとき。

 突如、この力が降って来た。


 私のこのHカップの胸で抱かれる仕草をするだけで、全ての男を眷属化するチカラを。


 今も黒い戦闘服に身を包んだ3人の男たちを眷属化した。

 ……こんなものよ。男なんて。


 それなのに……!


 元旦那ァ!

 よくも私を離婚をしてくれたな!?

 どうして私の生涯のATMになることを拒否するんだ!

 許せない!


 私、巨乳ですよ!?


 そんな理不尽な目に遭ったのに、誰も同情してくれなかった!

 こんな世の中間違ってる!


 佛野徹子……!

 オマエも私と同じ巨乳的貴族の女だと思っていたのに、私を救おうとしなかった!

 そしてその横に居たEカップ! Eカップの癖に、Hカップの私の頼みを聞かなかった!


 絶対に……許せない!


「私を誰だと思っているのよ!? 私は巨乳よ!? 意味不明よおおおおお!」


 衝動のまま、私は叫んだ。


 そのときだ……


草麗そうれいさん……!」


 女の声がした。

 聞き覚えのある声が……


 私はそちらに顔を向ける。


 そこにいたのは……


 丸い目のセーラー服の女。

 男に媚びたような、面構え。

 どうせ男に「元気があって可愛い感じだ」なんて言われて、男のお人形になってるんだろうなというのが見え見えの顔。

 そんなしょうもない、栗色セミロングのEカップ。


 私に逆らった、生意気なEカップ……!


 そしてその隣に立つ、学ラン姿の少年。

 年齢はどうみても中学生。

 Eカップより背が低い。

 顔つきは……かわいい。

 なんというか……今が食べごろ。

 そういう少年……!


 その少年は、Eカップを庇うように、その前に立っていた。


 そして、その少年に庇われながら、Eカップがこう言い放った。


草麗満子そうれいみちこ……あなたを止めに来たよ!」


 このEカップがあああああああ!!?

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