第67話 私の18才の誕生日

「のぞみは誕生日何が欲しい?」


 18才の誕生日を1週間後に控えて。

 学校帰りに真虎さんが私に訊いてきた。


 ドーナツ屋さんでの会話。


 私はオールドファッションを食べながら、紅茶を飲む。

 そして一息ついて、一言。


「私、旦那様あなたの童貞が食べたい!」


 笑顔でそう言うと、真虎さんは一瞬停止した。

 ……ん?


 すると真虎さんはやれやれという感じで


「……前に言ったよね。子供出来ると今は困るからって……」


 私はそう言う真虎さんの前に、巨乳認定証の特典でタダでお医者さんから貰って来たピルの薬袋を、ドン、とテーブルに突き出した。

 ……夫はそれで気圧されているようで


「これで大丈夫だよね。今、あなたとエッチしても妊娠する可能性限りなくゼロだよ?」


 ちゃんと生理の日から服用して来たんだから! 完璧!


 すると


「……でも……」


 なんかごにょごにょ言っている。

 何を渋っているのかな?


 なので私は


「……おじいちゃんとおばあちゃんでイチャイチャしてたら賞賛されたらしいよね。前の世の中的に」


 なんて老いても仲の良い夫婦なんだ、と賞賛されたそうな。

 前の世の中的にはそうだったらしい。


 ラブホなんて行ってたら、まだアツアツなんだとか言われたらしい。


 ……なのに


「どうして、逆だと非難されるの?」


 じっと真虎さんを見つめながら強い口調で言った。

 真虎さんは答えられないようで


「……分かった。誕生日に、しようか」


 許可してくれた。

 やった!


 これで私も徹子と同じステージに行けるよ!

 非処女の世界に!


「のぞみ……すごい奴よアンタは……」


「……アタマに来るよ……頭が良くて大人っぽいショタ旦那様なんて……」


「頑張れのぞみ……アンタがナンバーワンよ!!」


 私の頭の中の徹子が、そうやって私を賞賛してくれた……




 そして私の誕生日当日。

 厳選したラブホテルに、真虎さんを連れて行った。


 私はニコニコしながら二人で手を繋いでラブホに入ったら。


「……あなたたち学生よね!? ここは学生の来るところじゃ無いわ!!」


「しかもそこの男の子! キミ、中学生よね!? なのにこんなところに来て良いと思っているの!」


 受付のおばちゃんに、なんかギャンギャン言われた。

 しょうがないので


「私、巨乳なんですけど」


 巨乳認定証を提示して、同時にふたりの左手薬指を示した。

 すると


「……失礼しました。巨乳の方でしたか。では当ホテルのシステムを説明しますね……」


 おばちゃんの態度が豹変。

 背筋を伸ばして、このラブホの基本料金以外のシステムについて説明してくれる。

 どういうサービスがあるのかとか。別料金になることとか。

 基本料金は無料なんだよね。


「分かりました。再宿泊の場合はチェックアウト時間10時の1時間前までに電話連絡が必須なんですね」


 ……まあ、無いけどね。

 1泊しかしないから。


 でも、細かくホテルのルールを確認する真虎さん。

 らしいといえばらしいと言える。


 ……ステキ。

 頼りになる人だ。


 そう思いながら、私は自分の歯に結び付けていたソーセージの皮で作った糸を切った。

 それで、私の食道の中にぶら下げていた大量のアフターピルの入ったソーセージの皮袋が胃の中に落ちる。


 ……これで残った妊娠確率0.3%がゼロになった。

 これで思いっきりやれるぞー!


 うへへへへ……


※作者注:のぞみのやっていることは100%間違っています。こんな薬の飲み方をしたらおそらく死にます。

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