第64話 お正月

「あけましておめでとうございます」


 大晦日は家族と過ごしたんだけど。

 元日は朝から佐上家に顔を出した。


 格好はどうしようか迷ったけど。

 冬用の外出着にした。

 デートを意識したものでは無く。


 真虎さんに会いに行くのがメインじゃ無いし。

 それに、多分一緒に初詣行くよね。


 TPO、考えないとね。

 恋人じゃないんだから。もう。

 まあ、最初から普通の恋人じゃ無かったんだけど。


「おめでとう」


 玄関先で出迎えてくれたのはお義母様。

 クリスマスのときはいなかったんだけど、今日は流石にいるみたい。


「今日はよく来てくれたわね。そちらのお母さんにも挨拶させるわ。ウチも」


 そう、笑顔で言ってくれた。

 ……将来は、初日にこの家に来て、2日以降に私の家、かなぁ?


 そんなことを、家に上がりながら考えた。




 佐上家では正月だったので。

 おせち料理が並んでいた。


 ……作ったの、家政婦さんかな?

 それともお義母様?


 真霧さんかもしれないけど。


「……数の子と栗きんとんがいっぱい……」


「ウチはこれが好きなのよ」


 言いながら、お義母様はお屠蘇なのか、とっくりを傾けていた。




 この家のお約束として。

 人が集まったらセイヴァーで対戦大会が起きるのはいつものこと。

 私は今度こそと一軍キャラのアナ●リスで参戦。

 お義母様も、飲酒状態でアナ●リス。


 リベンジマッチを挑んだけど。


 ……結果としては、今回も勝てなかった。

 悔しい……


 やれることは皆やったのに。


「……前よりは頑張ったじゃない」


 一応、認めては貰ったけど。




 ゲームが終わったので、休憩がてら一般番組を見ようとテレビをつけた。

 お正月番組が色々やってる。

 芸人が出てる格付け番組だとか。寄席だとか。


 ただまぁ、夫の家に来ているのに、見る番組でも無いなと私はそれら番組を無視した。


(……何かないかな)


 そして。

 国営放送にチャンネルを合わせたとき。


 ニュースが放送されてた。


 緊急ニュースっていうことで。


 こういうニュースを。


『巨乳認定証の更新時に不正行為をしたとして、出加地でかちちこ(15)容疑者が巨乳警察に逮捕されました』


『パッドを使用して、サイズを誤魔化そうとした疑いです』


 んん~?


 変なニュースだなぁ?


 容疑者の泣きっ面の顔写真と一緒に、アナウンサーがそんなニュースを読み上げるのを見て、私は首を捻る。


 巨乳認定証の更新って、胸のサイズの測定、上半身裸でやるのに。

 パッドで誤魔化すの無理なんだけどなぁ?

 なんでそんなことしたんだろう?


 それに。


 巨乳認定証の不正は厳しく処罰されること、講習で最初に叩き込まれるのに。


 あとさ……


 もし、更新時のサイズ測定を誤魔化さないといけない状況……

 つまり、ブラのサイズがD未満になってしまった状況だったとして。


 そうなると、最初の巨乳判定、何で出たの?


 ……14才のときに、すごく太ってたとか?


 どうなのかな。

 そういうの、ありえるんだろうか……?


 ちょっと分からなくて、私は困惑していた。

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