第63話 巨乳忘年会

 クリスマスが過ぎて、年末になった。

 今日は巨乳互助会の忘年会だ。


 忘年会の会場の前で、徹子に会った。


「徹子、久しぶり」


 久しぶりは大げさかな?

 ちょっと会ってないだけだから。


「のぞみも調子良さそうだね」


 黒のカワイイ冬の服に、幟。

 彼女は幸せそうだ。

 旦那さんのお姉さん2人との関係性もイイ感じなんだろう。


 ……私も、お義姉さんとの関係性、グッと縮まった気がするし。


「うん。順調」


 言って、徹子は自分のおなかを撫でる。

 ……そっちの順調もあったっけ。そういえば。




 巨乳互助会の忘年会。

 会場はやっぱり、カフェ。

 その場所はまた大阪。


 大阪は、都合良いんだよね。

 場所的に。


 ドアを開けて、入場。

 中にはたくさんの巨乳女子高生。


 最低Eカップ。Gも珍しくない。

 巨乳の園。


「徹子おひさー」


「その幟は! 妊娠したんだ!? おめでとう!」


「今日は紅茶をいっぱい楽しもうね……あ、カフェインまずいんだっけ?」


 皆微笑んでいる。

 その左手薬指には、だいたい結婚指輪が光ってる。


 夏の集まりでは、私は肩身の狭い思いをしたけれど。

 今の私は、同じように結婚指輪がある。


 今は私も、この子たちと同じステージに居るんだ!


 そんな自負心で気合を燃やしていたら。


「あ、のぞみも結婚したんだ! おめでとー!」


 ……気づいてくれた。

 嬉しい……


 仲間の女の子に気づかれて、私は認められた気分になって幸せな気持ちになった。


「名字は今何なの? 高野なの? それとも旦那さん?」


「相手は誰? 同級生?」


 質問し甲斐のある相手が見つかったからか。

 女の子が集まって来て、質問攻め。


 私は順番に答えていく。


「今の名字は真神。真神のぞみになった」


「へぇ、真神かぁ。……珍しい名字だね。私なんて森だよ。元々永井って珍しい感じの名字だったのに」


 愚痴を言ってぶうたれてる子。

 まあ、これはのろけの一種だよね。


「相手は同級生。……ただ、ちょっと年下。……飛び級してきた人なの」


「……何才下?」


「4才」


 ……そう言ったら、相手固まってた。

 えーと……


「ま、まぁおめでとう。……やっぱ、相手スゴいの?」


「うん。スゴいけど。私よりずっと大人」


 相手の子は、大人ってところに引っかかったのか


「……それはつまり……アレだけ成人男性ってこと?」


「違うから」


 まだ見てないけど!




 そのまま、皆で紅茶を飲みながらお話した。

 高校卒業後の身の振り方とか。

 子供を作るタイミングだとか。


「大学は行っておいた方が良いって私の夫が」


 カップを傾けながら夫からの受け売りを披露する。

 すると


「……専業主婦希望でも、そうなのかな?」


 そういう、当然来そうな言葉が。

 それに対して私は


「学問への理解は、人生に深みを出すって、そう言うんだよね」


「へー」


 とても、楽しい時間だった。


 ちらりと親友の方を見ると、母親先駆者として、群がられていた。

 多分、どういう状態なのか聞かれてるんだね。


 将来に備えての経験談を聞きたいんだ、皆。


 私も結構話は聞いてるし。

 皆も聞いておいた方が良いよ。


 自分のお母さんに聞くのもアリだとは思うけどさ。

 やっぱ同年代の徹子の経験談を聞くのはそれとは違うと思うし。


 そして、どのくらい時間が経っただろうか。


 誰かが、こんなことを言った。


「そういえば、満子、今日来てないよね」


「……それどころじゃないってことなのかなぁ?」


 ああ……

 そういえば、姿を見て無いな。


 草麗満子さん。


 あの人、どうなってしまうんだろうか……?


「嫁入りした家を牛耳ろうなんて、とんでもないことを考えるからだよ」


「キチンと講習聞いて勉強してたら、そんなの絶対に間違ってるってすぐ分かるはずなのに」


 ……うん。

 フォローのしようもない……。


 あの人、どうなってしまうんだろうね……?


 そう思いながら、私はカップの紅茶を飲み干した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る