第60話 修学旅行後編

 2日目。

 今日は自由行動。

 真虎さんと一緒に行動した。


 バスを使って移動して、夫婦岩を見に行った。


「この岩の謂れって知ってる?」


「う~ん……明確にこういう神様が、ってのは無いみたいなんだよねぇ」


 そんな話を色々した。




 2日目のホテル。

 明日、帰るわけだけど。


 お風呂入って、食事も終わり。


 部屋で布団も敷いて。

 あとは寝るだけという状態で。

 寝る準備を整えて、ちょっと文庫本を読んでいたら。


「のぞみ、ちょっと良い?」


 この間、お風呂で話しかけてきた2人組が近づいて来た。

 ……なんだか、嫌な予感がしたんだけど


「……どうしたの?」


 文庫本を閉じて、応対する。


 2人の顔……

 興味深々の顔。


 なんだろう……?


 そしたら


「ええと、修学旅行来るの中止した下村さんさあ、妊娠したじゃん?」


 ……ものすごく、嫌な予感がする。


「……旦那さんに強引に迫られたのかな? なんか聞いてる?」


 佛野さん、成績もいいのにさあ、拒めなかったのかな、なんて。


 ウキウキしながら


 ……ものすごく、腹が立ってしまった。

 衝動に任せるなら、怒鳴りつけてやりたいくらい。


 だけど。


 私にだって、立場あるし。

 そんなこと、できないね。


 それに。

 このひとたち、私たちの立場に立ったこと無いからね。

 わかんないのも当然かもしれない。


 だって私たち、夫婦間の妊娠なら退学になんないし。

 大した問題じゃないって思われても仕方ないのかもしれない。


 ……どうしようかな。


 言いたくない、って言ったら?


 ……いいじゃん、教えてよ。ちょっとくらい。

 そう、ウザ絡みされそうな気がする。


 だったら……


「そういうの、夫婦間で決めた大事なことなんだよ」


 そう、なるべく穏やかに言うと


 ……2人、ポカンとしてて


 ああ……

 やっぱり、分かってなかったんだ。


 そう思って、ある種の溜息みたいなものが出かけたんだけど。


 そしたら……

 なんだか、バツが悪そうな表情になって


「……なんか、ゴメン」


 その2人に謝られた。

 ……今度は、こっちがポカンとしてしまった。


 理解してないのはこっちも同じだったのかなぁ?


「いや、まあ。私の話でも無いし。私に謝られても」


 驚きのまま、そう答える。

 すると


「……エッチの結果、出来るのが子供で。子供作るためにエッチするっていう感覚が、私たち、なかったのかもしれない」


 意外にまともな返答が返って来たんだよね。

 ……なんだかなぁ。


「いや、高校生としてはそれが普通なんだと思うよ」


 自然と、フォローが出た。




 3日目。

 あとは帰るだけ。


 バスで来たんだけど、バスで帰る。

 帰りのバスはクラス毎で。

 私の隣は真虎さん。


 真虎さん、疲れたのか……。

 寝てた。


 まあ、向こうは向こうで、色々聞かれただろうな……


 何があったかは聞かないけど。

 私には聞かせたくないだろうし。


 だからまあ


 おやすみなさい……

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