第2話 巨乳優等生の親友

 そして、3年の月日が流れた……


 その間、彼氏は1度も出来なかった!

 いや、私の名誉のために言うけど、何人か口説いてきた人も居たけど。


 そういう人って、私の胸目当てで寄って来てる人ばかりで。


 巨乳認定証を使って受けられる講習会で、昔は普通にあった婚期を逃す事例について、色々勉強していたから。

 そういうの、全部断ったんだよね。


 だってさ。

 身体目当ての人って、それが手に入れば私への興味を無くすわけでしょ?

 だからといって、なかなか私が身体を差し出さなければ、それはそれで興味を無くす。


 ダメじゃん。


 結婚に結びつかない。

 それに。


 女の子をそういう目でしか見れない男の子と結婚して、本当に幸せになれるんだろうか?


 それがあったから、断らざるを得なかった。


 そしたら……


 3年も経ってしまった!


 どうしよう!


 そう思い、机に突っ伏していたら。


「……のぞみ、アンタは基本受け身でいるのが良くないんだと思うよ。アタシ」


 高校のお昼休みに。

 前の席にいる、親友の佛野徹子ふつのてつこに半眼でそう言われてしまった。


 彼女は中学は別だったんだけど。

 巨乳互助会に入ったときに知り合って、友達になった。


 で、高校は同じところに合格したので、晴れて2年でクラスメイトになれたんだけど。

 嬉しい反面、一緒に居ると劣等感が刺激されて、辛い気持ちになる子だ。


 ……彼女、巨乳優等生なんだよね。


 互助会に入って、わずか1年で将来を誓う相手を見つけて。

 早々に、この地獄の婚活レースを卒業してしまった。


 巨乳認定証を受けた女子は、相手が何才であっても相手の同意があれば結婚できるので。

 この子、女子高生にしてもう既婚者。


 見よ! あの左手薬指を! 女子高生なのに結婚指輪だ!


 ……神様は不公平だッ!


 そう思わざるを得ない。

 だって……


 彼女、明らかにモノが違うんだもの!

 髪型は肩にかかるあたりで切り揃えたショート。色は黒で染めてない。

 そのへんがすごく真面目そう。

 んで目が大きくて、小顔。

 そして背も高いし。

 ハッキリ言ってモデル系の美少女である。


 ……そりゃ1年で卒業できるわ。


「徹子はモノが違うじゃん……」


「いやいやいや。関係ないよそんなの。ちゃんと相手を見るのが大事なの」


 講習会で散々言われたでしょ。

 徹子はちょっとうんざりしたような感じで続ける。


「昔は相手をちゃんと見ない人が多くて、折角周りに良い人がいるのに、受け身でいたせいで婚期を逃す。これが多かった、って」


 ……きょ、強者の余裕……


 徹子に言われてもちっとも納得できない……!


「……徹子はどうやって結婚してもらえたんだっけ?」


「……相手に尽くしてたら、自然と。相手のために何ができるかを考えることが重要だって散々言われたじゃん」


 ふぅ、と言った感じで私の言葉を切り返す。


「……私、あと1年しか無いんだよ……」


「正確には高校卒業までだから、1年ちょいは時間あるよ」


 言ってから、徹子は顎に手を掛けて、ん~、と考えて。

 私にこう言った。


「ちょっとさ、放課後顔を貸してよ」


 ……なんだろう?

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