第4話

 その翌日から電話が繋がらなくなってしまった。僕ばかりが琉依を追い求めていた。そんな自分が嫌になった。琉依は風に揺れるカーテンのように掴めない存在になってしまったけれど、それでも僕は琉依の優しさに縋っていた。どうかこの不安が嘘だと誰か教えてくれ。この繋がりが本物だと信じさせてくれ。誰もいないワンルームで、僕は独り吠えていた。虚しさが紛れることはなかった。琉依からの

[ごめんね。]

というメッセージが、僕の心を縛り付けた。


 初めて話してから一ヶ月が経とうとしている頃、ふとビルの16階の窓際で携帯電話を開いたら、琉依のアカウントが僕の携帯から忽然と消えていた。[Unknown account]からただ一言、「ごめん」とだけ通知が来ていた。その時急速に世界から色が喪われた。


 どうやら【僕】はこの世界の住民じゃなかったらしい。やっとなにものにも変え難い存在を見つけられたと思ったのに。全部全部嘘で、彼女の優しさすら全て偽りだった。【僕】は何故、どうしてこの世に存在しているのだろう?なんの意味もないと言うのなら、【僕】がこの世に存在する理由も、必然性も、何もなかったということじゃないか。【僕】は、どうして。

「もう居ない琉依を追いかけてしまうんだ……」

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