WAKURABA

八時のゴミ出し時間に間に合いませんでした。

八時二十分の欠席連絡アプリも受け付けてくれませんでした。

中学校に電話連絡を入れます。

副校長先生はしれっとサボるから、別の方でよかったと思いました。

大抵は語り始めで娘の欠席連絡だと通じます。


娘は、二年生の五月に新型コロナワクチンを接種した副作用で最初に休み始めました。

結局の所、威圧的な担任の脳筋対応が最悪だったようです。

ママも負けません。

チキンハツな木偶の坊のくせに空威張りでしたね。

私も好かんわ!

スクールカウンセラーの先生に、娘の話した先生とお友達を来年度の希望としてお願いして三月に終えました。


新年度になって、ガクガクに震えながら、彼女は始業式へ向かいました。

でも、それで、桜は一斉に散り行くもの。

一日の奇跡でした。


二学期に修学旅行があるので、あんなに暴れたり慄いたり泣いたりしていたのに、意識は認めて貰おうと向いて行ったのです。

成績表なんて、数字は書かれていません。

空欄のないように斜線が引かれているだけです。

それでも、阿修羅像についての下調べや、漆塗り体験の下絵作りをしておりました。

やればできる!

下絵には、ママが娘の幸せな成長を願い、日頃から持ち物に描いていたくるくる四葉のクローバーを描いていたようです。

阿修羅像については、ママは間抜けだから、カクヨムに投稿した小説から、調べたことを共有しました。


お土産は五つ入り生八橋と一人一串のお団子です。

パパは、彼女だった私から貰ったときみたいに食べないのかと思っていましたが、賞味期限のその日に、こそっとお召し上がりです。

夕食で食べたのかは、玉子をつけないですき焼きを食べたそうです。

後日、皮膚科で玉子のアレルギーの陽性が出ました。

少々食べる分には治療になるそうです。


いつも引き籠もり、三階から洗濯物の揺れを見る位です。

娘の心を痛めた病と呼ばれる木に宿す葉が、風の一つでもいい、植物ホルモンによるものでもいいから、少しずつよくなって欲しいと願わざるを得ません。

かくいうママが弱っているので情けないのですが。

でも、娘を笑わせることと娘を抱き締めることは、あなたが辛いならば幾らでもいたしましょう。

そうして、病葉が春の芽吹きへと輝かんことを祈るばかりです。



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