NAME

もしも、あなたが朝制服を着て。

長さの違う靴下のまま。

一口でもいいからおにぎりを食べて。

いってきます、ママ!

笑顔で。

重そうな鞄に夢詰めて。

カタカタ三階から団地を抜け行き。

あんなに歩けなかったあんよも鍛えられ。

若さもなければ上がれぬ程高い教室へ。

颯爽と友達に手を振りつつ席につく。

三年五組の陽射しはやや秋向きに。

窓辺から葉が梳いた木々を眺めて。

あの木の名前をママに訊いてみよう。

名のない木も草も花もないのだから。

私の名前は、花の名前。

パパがつけてくれた。

もしもの日をママは信じている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る