PLAY36 国境の村の魔女 ③

「みゅんみゅんちゃん……っ」


 私は込み上げてきた感情を体で表現するように――だっと駆け出してみゅんみゅんちゃんに抱き着いた。


「うー……」


 と唸って、私はみゅんみゅんちゃんが本物なのかという確認をしながら、私はみゅんみゅんちゃんに抱き着いてその感触や匂いなど、色んな情報を堪能した。


 うん…………。全部が全部、本物。


 感触とかは分からないけど、それでもみゅんみゅんちゃんの匂いは確かに本物。姿は変わったとしても、みゅんみゅんちゃん本人の匂い……。


 この人は本物のみゅんみゅんちゃん……っ! 


 本物のみゅんみゅんちゃんに、もう一度再会することができた……!


 二度目となる再会だけど、それでも最初の再会よりも感動や会えて嬉しいという気持ち。


 そして生きていたという嬉しさもあって……、私はみゅんみゅんちゃんに抱き着きながら再会と、みゅんみゅんちゃんが生きているという感動の余韻に浸る。


 それを受けていたみゅんみゅんちゃんは少しよろけたけど慌てながら「ちょっと……っ! どうした……、って、私心配かけていたんだよね……」と言いながら、やれやれと言わんばかりに私の頭を撫でながら謝ったみゅんみゅんちゃん。


 私は抱き着きながらくりくりと首を振る。額をみゅんみゅんちゃんの服にこすりつけるように、くりくりとこする。


 その時の私の心は、再会と、生きていた。よかった。


 それだけの言葉が、私を支配していて、自然と込み上げてくる嬉しさが顔に出そうで……、自分がおかしくなりそうで怖かったけど、それでも私は己の感情に従うように、ぎゅっと――みゅんみゅんちゃんに抱き着いた。


 それを見てなのか――


「なんだか、迷惑をかけてしまったけど……、ずいぶん大人数になったね」


 みゅんみゅんちゃんは驚きの声を上げながら言った。


 それを聞いた私は、ふとその背後を見ると……。


 驚きながらもほっとしてみているアキにぃと、その姿を驚愕の眼で見つめているキョウヤさん (なぜだろう)。


 首を傾げているシェーラちゃんに、それを見ながら目を点にして固まってしまっているブラドさん。


 ロフィーゼさんは私達を見ながら頬に手を添えて、微笑ましく見ている。


 シイナさんもほっとしながらその光景を見て、ジルバさんはただその光景をじっと見ていた。


 キクリさんは「あらあらぁ」と言いながら、私達を見て微笑ましく見ていた。


 ヘルナイトさんはみゅんみゅんちゃんを見て――凛とした音色でこう言った。


「無事で何よりだ」


 その言葉を聞いたみゅんみゅんちゃんは、眉毛を少し下げて――申し訳なさそうに……。



「残念なことに――体中傷でいっぱいよ」



 と言った。


 それを聞いた私は、バッとみゅんみゅんちゃんから離れて体を見る。


 慌てながら体を見ると――みゅんみゅんちゃんの腕――切り傷や瘡蓋かさぶた、あろうことか縫合された痕もある。


 それを見た私は、みゅんみゅんちゃんを見て――


「これ……、どうしたの?」


 と聞くと、みゅんみゅんちゃんは頬を掻きながら、「あーっと」っと言って、彼女はすっと、『じゃれ猫』を親指で指さしてから――彼女は申し訳なさそうにしてこう言った。


「その、感動の再会の会話とか……。なんでこうなってしまったのとか、そういったことをいろいろと話したいことは分かるけど、今はこの猫の毛を採取したいから……、ちょっと、まで来てほしいの」


 みゅんみゅんちゃんの言葉を聞いた瞬間――ぴくりと、ブラドさんはその言葉を聞いた瞬間、どどどどっとみゅんみゅんちゃんに勢いよく近付いて行き、そしてこう詰め寄った。


「むむむ。村ってまさか……っ!?」

「? 水と砂の国境の村。あそここのアクアロイア随一の平和な村なんだよ」

「っっっしゃぁっ!」


 ブラドさんはみゅんみゅんちゃんの言葉を聞いて、勢いをつけたガッツポーズをした。


 それを見て聞いたみゅんみゅんちゃんは、頭に疑問符を浮かべていたけど、私を見て、そしてヘルナイトさんやシェーラちゃん達を見てこう言った。


「村はあとくらい歩いたところにあるから、今のうちに毛を毟るから、手伝って?」

「……結局、遠いってことね……」


 みゅんみゅんちゃんの話を聞いていたシェーラちゃんは、肩をがくりと下げながら落胆していた。それは大人達でもあるアキにぃ達も同じで、まだまだ先なのかと思いながら頭を垂らしていた。


 すると――


「あ」


 みゅんみゅんちゃんはふと、とある人を見て気付いたのか――手に持っていた鞭をしならせて、そのままぶんっとその鞭を振るって、その先にいる人の足にそれを絡ませた。私はその鞭が飛んで行った方向を辿ってみると――


「ぐえっ!」

「わぉんっ!」


 二つの声が聞こえたと同時に――『がしゃんっ!』という音を立てて、ずてんっ! と転んでしまったセイントさん。


 なぜか逃げるような体制……、つまりは私達に背を向けるようにして走ろうとした姿で転んで、潰れてしまったカエルのような叫びを上げて転んだのだ……。


 転んだ拍子に、肩から落ちてしまったさくら丸君は、「わぉんわぉん……っ」と弱々しく鳴きながらころころんっと転がって、近くにいたシイナさんの足に当たって、目を回していた。


 それを見たシイナさんは、さくら丸君を抱えて抱き上げて――みゅんみゅんちゃんとセイントさんを交互に見ながら――


「えっと、こ、これは……?」と、驚きの声で言った。


 私もその光景を見て、私やみんなが驚きを隠せずにいたけど、みゅんみゅんちゃんは振るった鞭から手を離さないで――すたすたと歩みを進めながら、セイントさんに近付く。


 そしてセイントさんは「うぐ……」と、震えるような声を出しながら立ち上がろうとした時――


「やっと見つけた」

「っ!」


 みゅんみゅんちゃんは、その人を見下ろして、低い音色で言った。


 それを聞いたセイントさんは、ぎ、ぎ、ぎっと……、まるで錆びてしまった人形のように、音が出るようなゆっくりとした首の回し方で振り向くと、みゅんみゅんちゃんを見上げているだけだった……。


 それを見て、みゅんみゅんちゃんははぁっと溜息を吐いて――そしてむすっとしながら、心配したような目つきでこう言った。


「探したんだからね……。っていうか――どこをほっつき回っていたのよ」




 お師匠様。




 その言葉を聞いた瞬間、シイナさんとロフィーゼさん、そしてブラドさんが、目を点にして、固まってみゅんみゅんちゃんと、そしてセイントさんを交互に見ていた。


 それを見た私達は首を傾げて見ていたけど、やっと口を開いたジルバさんは――そう言えばと言うように、思い出したような口調でロフィーゼさん達を見て――


「そういえば……、三人はそこにいるセイントを国境付近の村にいる人の依頼で、セイントをここまで連れて来いって言われていたけど……」

「もしかして……」


 キクリさんはあらまぁっと言わんばかりに、頬に手を添えながら首を傾げていた。それを聞いていたみゅんみゅんちゃんは「ん?」と言って――ブラドさんたちを一瞥してから……。


「あぁ、依頼受けたのって、あなた達だったの? ならこれでクエストクリアね。報酬と詠唱結合書は――村に着いたら渡してあげるから」


 と、みゅんみゅんちゃんらしい言葉で言ってから、みゅんみゅんちゃんは下で倒れていたセイントさんを見下ろす。そして――


「ほら立って下さいっ。聞きたいことが山ほどあるんですっ!」


 と、みゅんみゅんちゃんはセイントさんの鎧を掴み上げて立ち上がらせようとしていた。


 それを見て、私はシイナさん達を見ると……。


 三人は――ううん。シイナさんはぴくぴくと、引きつった笑みを浮かべて固まり、ロフィーゼさんは何とか理解したのか……、うーんっと顎に指を添えながら驚いた音色で「これってぇ……。運命ぃ?」と、驚きながら言うと、それを聞いていたブラドさんは、ぶるぶると震えながら頭を垂らし、それを見ていたキョウヤさんが、冷や汗を流しながらブラドさんに駆け寄って……。


「お、おい……、大丈夫か?」と聞いた瞬間――


 ブラドさんはバッと勢いよく顔を上げて、そして雲一つもない空に向かって……。




「えええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇーっっっっっ!?」




 半径一キロ以上まで聞こえそうな絶叫を上げた……。


 すごい大きい声だったことは……、言うまでもないと思う……。



 □     □



 ブラドさんの絶叫を無視して、みゅんみゅんちゃんは手際よく『じゃれ猫』の黒い毛を刈り取りながら、私達に均等に振り分けて持たせた。もちろんヘルナイトさんにも。


「うおおお……っ! 手際いいなぁ……っ」


 キョウヤさんは手に余るくらいの黒くてゴワゴワしているそれを見ては、流れるような作業で、手に持っていたナイフでその毛を切っては散髪する様に毛先をシャカシャカと、まるで美容師さんがするように手先を器用に使いながら、みゅんみゅんちゃんは言った。


「まぁ何回かしている内に――慣れた」

「慣れでできるもんじゃねえよ。この芸当」


 キョウヤさんが突っ込むけど、私はその手際のいいみゅんみゅんちゃんを見て、思い出した。


 みゅんみゅんちゃん、意外と手先が器用だった……。


 そう思って手に余るそれを見て、ヘルナイトさんを見上げると――腕と手の中に納まっているそれを見て、ヘルナイトさんは首を傾げながら唸りだした。


 それを見た私ははっとして――「大丈夫ですか?」と聞くと、ヘルナイトさんはふぅっと息を吐いてから……。


「大丈夫だ。この国境の村のことにつて、思い出してな……」と、小さくそう言った。


 それを聞いた私は首を傾げてこの国境の村には一体何があるのだろう……。そう思いながらシイナさんのスキル『睡眠』にかかっている『じゃれ猫』の向こう側を見る。


 地平線が見えないそれだけど……、みゅんみゅんちゃんは嘘をつかない人だ。だからさっき言った言葉は本当だと、私は断言できる。


 だから……。


 と思って、私はふと――私達の背後で鞭によりぐるぐる巻きにされている (二度目) のセイントさんを見ながら、私はある意味目を奪われていた。セイントさんの近くには、見張りとしてジルバさんがいるけど、ジルバさんはセイントさんを見ながら腕を組んで立っているだけ。それでも逃げれない状況を作っている光景を見て、すごいなぁっと、みゅんみゅんちゃんのことを尊敬して、ふと思い出す。


 みゅんみゅんちゃんは、セイントさんのことを師匠と呼んでいた。


 そしてブラドさん達はとある人のクエストで、セイントさんをこの先にある村まで連れて行くというクエストを受けていた。


 なんとなくだど……辻褄が合った。


 ブラドさん達が受けていたクエストを出したのは――みゅんみゅんちゃんだ。


 そしてその人探しの対象――セイントさんは、どういう経緯でそうなったのかは知らないけど、みゅんみゅんちゃんのお師匠様なんだ……。


 でもさっきからセイントさんは、ぐるぐる巻きにされて一言も発していない。みゅんみゅんちゃんはそれを見て少しむっとしていたけど、すぐに毛の採取を優先にしながら――


「まぁ、あとで叩いて聞き出すからいいか」と、なんだかさらりとむごいことを言っていたような気がする……。そう言えば、しょーちゃんや他のいじめっ子の男子生徒に対しても、なんだが厳しかったような気がする……。


 それを聞いていたブラドさんとシイナさんは、互いが互いを抱きしめ合って、ぶるぶると震えていた。


 きっと、聞きだす=何か惨い事をするとでも思っていたのだろう。


 私も一瞬その連想をしてしまったので……。


 ロフィーゼさんはそんなみゅんみゅんちゃんを見上げながら、首を傾げて――


「でもぉ、なんでわたし達……、いいえぇ。何でクエストを出したのぉ? 探せるところにいたんだったらぁ」

「あー……」


 と言いながら、ロフィーゼさんの言葉を聞いたみゅんみゅんちゃんは一旦手を止めてからすぐに――


「だって。ここでずっと手伝ってて……、出ようと思っても、出ることができなかった。じゃないな。出るには出れたけど……、を見て、村の方を優先にしちゃった結果……、クエストを出そうと思ったの」


「??」


 みゅんみゅんちゃんの意味深な言葉に、私やロフィーゼさんはおろか、手伝っていたアキにぃやキョウヤさん、シェーラちゃんも首を傾げていた。


 しかしヘルナイトさんとキクリさんはそれを聞いて、私達を見ながらキクリさんは言った。


「――行ってみればわかることよ」


 その言葉を聞いて、私はヘルナイトさんを見上げると、ヘルナイトさんはただ、頷いただけ。


 私は一体何があったのだろうと思いながらみゅんみゅんちゃんを見上げようとした時……。


「よっと――」と言って、すたんっと地面に着地したみゅんみゅんちゃん。


 そして後ろで寝ている……、毛先が家で飼っている猫の毛並みのように、さらさらとしたそれとなって綺麗になった『じゃれ猫』を見てから――


「これでいいかな」


 と言って、私達の手元にあるその毛を指先で触りながらみゅんみゅんちゃんはくるっと村へと続く道を指さして――私達の方を振り向きながら、にっと笑みを作ってこう言った。


「さ――あと一息だから」

「って言っても、あと三十分くらいは歩くんだろ……?」

「……まぁ、インドアにはきついと思うけど、必ず辿り着けるから。あ、師匠を逃がさないようにしてくださいね。私は村の人達に報告したいから先に向かってます」


 みゅんみゅんちゃんはアキにぃの言葉を無視してすたすたと早足で村へと続く道を歩んだ。それを見て私達は、慌ててその後を追うと、最後尾にいたジルバさんはセイントさんを拘束している鞭を掴んで、たっと一緒に駆け出す。


 意外と素直についていこうとするセイントさん。


 セイントさんとみゅんみゅんちゃんの間に、一体何があったのだろうか……。そして――



 みゅんみゅんちゃんの両手のあの怪我は……、一体……。



 そう思って走って――三十分後。地平線が見えない世界だったけど、やっとやぐららしきものが見えてきた。


 それを見たキョウヤさんははっとして「おい! 見えたぞ!」と、走りながら振り向く。それを聞いた私達は走りながらほっとして、その村の前で立ち止まった。


 その村は蜥蜴人の集落とは違って、木で作られた家屋が所々にあるけど、その家の近くには煉瓦で作られた小さな小屋が建てられていた。それも、一つの家に対し必ず二つはある。その煉瓦つくりの小屋には大きな煙突があり、そこから黒い煙が立ち込めていたり、灰色の煙や少し黄色が混じった煙など……、まるでこの簡素な村が一つの工業地帯のような雰囲気を見せていた。そしてその街を歩いている人達は……、全員が老人だ。おばあちゃんやおじいちゃんしか見かけない。大人の女の人や男の人、そして子供はいないようだ。


 それを見ていると、村の門番らしい老人達に話しかけているみゅんみゅんちゃんは、私達を見て手をちょいちょいと手招きしていた。


 それを見て、私は首を傾げていたけど、ヘルナイトさんとキクリさんはそっと歩み寄りながら、その門番さんに向かって足を進めた。


 それを見たアキにぃは「何だろう……、この村」と言って、それを聞いていたシェーラちゃんは煙突を見て一言。


「あの蜥蜴人のところとは大違いの雰囲気ね」という。


 私もそれを見て頷くと――後から追いついたジルバさんが、少し覇気のない飄々とした音色で――


「なんだか、魔物の毛を取ったことと関係しているのかな?」と言うと、みゅんみゅんちゃんはそれを聞いて、私達の方を振り向くと、彼女はこう言った。


 にっと――強気な笑みを浮かべて……。


「そ。……、なの」と言った。


「確かに、この村は特殊だな」

「ついさっき思い出したんだけど、


 ヘルナイトさんとキクリさんが頷きながら言った。


 それを聞いて、私は一体どういうことなのかと聞こうとした瞬間……。


「あれ? その声ってみゅんちゃん?」


 その声を聞いた私は、「ん?」と言いながら、みゅんみゅんちゃんの背中の向こうから聞こえたその声を見ようと、体を少し曲げて背中の向こうを見た。


 すると――みゅんみゅんちゃんの背中で隠れて見えなかったけど、一人の……私と同じ年くらいの女の子がよろよろと、手に杖を突きながら、ゆっくりとした歩みで歩いてきた。胸のところまでの真下焦げ茶色の髪を、独特な髪留めで、左右に伸びている髪の毛に結って、服装は村の人達と同じ絹で作られた服装。少しくすんだオレンジ色の長袖に、くるぶしまで隠れるくらい長い黄色のスカート。両手首には獣の皮で作られた布製手甲をつけて、靴も獣の皮で作られた革製 (獣百パーセント) の靴を履いている。目を閉じている少し童顔の女の子だった。


 女の子は手を『うごうご』と動かしながら、明るい声で「みゅんちゃんー。どこー?」と、周りを探りながら、ジグザグに歩いていた。それを見て、みゅんみゅんちゃんは慌てて駆け寄りながら「あーもうっ! あんた目が見えないのに外を歩かないの。危ないでしょうが」と、まるで私達と一緒にいた時と同じように、お姉さんのようなその雰囲気を出しながら、みゅんみゅんちゃんは心配そうにむすっとしながらその子の肩を掴んだ。


 その子は肩を掴まれた瞬間、はっとして前にいるみゅんみゅんちゃんを見上げながら、目が見えていないのだろう……。目を閉じた状態でその子は明るくこう言う。


「あ、みゅんちゃん! おかえりなさい」

「はいはい。ただいまヨミ」


 みゅんみゅんちゃんは呆れながらも安心したような溜息を零しながら、目の前にいる女の子――ヨミちゃんに向かって言う。


 それを見ていたシェーラちゃんは小さく「……女の子?」と、呟いていたけど、それを見ていたシイナさんは、毛の上に礼儀正しくお座りをしているさくら丸くんを落とさないように体を傾けながら――


「えっと、その子は……?」と聞くと、みゅんみゅんちゃんは「?」と、私達の声が聞こえなかったのか首を傾げていると、ヨミちゃんは私達の方を向いて、目が見えていないのにその方向を見ながら――


「あ、もしかして来客?」と言って、そっとみゅんみゅんちゃんから離れてからその子はぺこりと頭を下げてからこう言った。


 自己紹介を私達に向かって――



「初めまして。私ヨミって言います。『浄化』の力を持ったです。よろしくお願いします」



 ん?


 今、ヨミちゃんは確かにこう言った。


 ザンバードさんが言っていた……、『浄化』の魔女と……。


 それを聞いた私達は首を傾げて待っているヨミちゃんを見て……、驚きのあまりに開いた口が塞がらないでいた。


 今にして思ったけど……、この世界に閉じ込められてから、私や他の人達はあんぐりと開けることが多くなったような気がする。


 そんなことを考えながら、現実逃避のようなことを考えが頭の片隅でふわりふわりと浮いていた気がした……。

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