PLAY34 『六芒星』幹部・ガザドラ ④
「あ、がぁ……っ! うがぁ……っ!」
自分の手で腹部に深く突き刺し、抉るように動かしてどくどくと出血しているそれを無視するように自傷行為をしていた。
それを見ていた私達は異常と言えるその光景を見て青ざめながら……その光景を見ることしかできなかった。
ヘルナイトさんとキクリさんは大剣と扇子を構えながら――ガザドラの首元にそれを打ち付けるように振るおうとした。
きっと、気絶を狙っての行動だろう。
だけど……。
「攻撃するなっ!」
そう叫んだのはザンバードさん。
それを聞いた私は近くにいたので、びくっと体を震わせてしまった。
そしてヘルナイトさんとキクリさんはざざぁっと地面に足をつけて、スピードを徐々に殺していき、振るった腕をぴたりと止める。
「「――っ!」」
二人はぐっと唇を噛みしめるように小さくくぐもった声を出すと、そのままとんっと私達がいるところに跳んで後退した。
「お、お二人共……っ」
シイナさんが驚きながら二人を呼ぶ。
しかし二人はシイナさんはおろか……、私とロフィーゼさん、そしてシャズラーンダさんとザンバードさんを見ないで……、警戒するような音色でヘルナイトさんは頭を抱えながらこう言った。
「……確かに……、あれは攻撃したらいけない……そう直感したが……」
「?」
その言葉に私は首を傾げた。
するとキクリさんは私達の方を振り向きながら「蜥蜴魔女さんが言っていることは本当よ」と頭を抱えながら言って、キクリさんはふっとガザドラの方を見た。
ガザドラはずっと引き抜いて、血がべっとりついた手を見た後……、ぜーっ! ぜーっ! と荒い呼吸をした後、もう一度どしゅっとその貫手を、突き刺した腹部にもう一度突き刺す。傷口を開くように広げながら……。
そしてごふりと血を吐く。
「ちょっと、やめなさいっ!」
「血ぃ出てるぞっ!」
「やめろっって! あいででででっ! 俺まで痛くなってきた……っ!」
「ふざけている場合ではないぞ……っ!」
「わんわんっ!」
セイントさんはブラドさんの発言に対して怒りを抑えているけど、それでも漏れている音色でそう言った。心なしかと言うか……、さくら丸くん完全に怒っている。
シェーラちゃん、キョウヤさん、そしてブラドさんとセイントさんがガザドラのその光景を目にしながらどうにかしようと武器を構えていると……。
「今はさぁー……」
ジルバさんは飄々……としていない。震えるようで、本心を隠すような笑みを浮かべてシェーラちゃんに言った。
その声を聞いたシェーラちゃんは首を傾げていたけど……、それでもジルバさんは、引き攣った笑みで、少しだけ……、ほんの少しだけ、不安な目をして――彼はこう言った。
「――逃げることに徹しないかな?」
「「「はぁ?」」」
キョウヤさんとシェーラちゃん、ブラドさんが一体何を言っているんだ? と言う顔をしてジルバさんを見るけど……、私と、きっとセイントさんは薄々察していた。と言うか見えた。
ガザドラのもしゃもしゃが、抑え込むように無色になっていたけど……、それがだんだんと色を付け始めたのだ。その色は……、あの『六芒星』のザッドと類似してて、そして少しだけ違うところがある……。
それは……。
真っ黒い世界だけど……。ところどころに散らばった色んな感情の色が、周りにちらちらと、落ち葉のように落ちていた。まるでドラマでよく見るような落ち葉が落ちていく風景。
その感情は初めてだけど……、なんとなく……、それがどういう時に出る感情なのかが分かった。
私が今まで見てきたもしゃもしゃは、色とりどりのもしゃもしゃで、黒の中に二、三色のが混じっている時があった。
それは恨みの他に怒りや悲しみ、楽しさなどの感情が含まれていることをさしていた。でも……、ガザドラは違った。滅茶苦茶だったのだ。
簡単に言うと……、感情が安定していない。感情が狂っている。
それはまさに……。
と思った瞬間だった。
ずりゅっと腹部から手を引き抜いたガザドラは、荒い息使いで肩を上下に動かしながら、だらりと両手を下ろす。右手にはべっとりと血が付着して……、その指先から血を垂らしながら、彼はぜぇぜぇと、息を吐いては吸っていた。
私はそれを見て……、無我夢中で手を伸ばして、そして、スキルを発動しようとした。
なんで手を伸ばしたの? と聞かれたら、私はきっとこう答えると思う……。
苦しそうと思ったから、悲しいと感じたから。だから、手を伸ばそうと思った。それだけで、私は動いていた。
「……っ! 『
しかし――
「――うがああああああああああっっっっ!!」
ガザドラは一気に筋肉を膨張させたかと思うと、すぐにぐっと胸を張るように体を上げて、そして天に向かって顔を上げると――狼のように咆哮を上げた。
咆哮を上げた瞬間――ぶわりとガザドラを中心に来た風。よく漫画で見る叫んだ瞬間、オーラ (?) が爆発するかのように来るあれのように、ガザドラは叫びながらそれを出していた。
それを最初に受けたシェーラちゃん達は、腕で顔を隠しながら、その風を受けて耐えている。
その風は私達の方にも襲い掛かってきて、それを見てか、ロフィーゼさんはぐっと私を抱きしめて、シイナさんとザンバードさん、シャズラーンダさんと一緒に大きく固まるようにその衝撃に備えた。
すると……。
「――『
「――『
ヘルナイトさんと、キクリさんが言った瞬間……。
地面から反り返ったような岩の壁が、私達と『六芒星』の部下達を守るように出てきて――
白くて大きな鎧を着た騎士がシェーラちゃん達の前に立って、セイントさんもシェーラちゃんのところに駆け寄って……、その大きな鎧を着た騎士が大きな盾を持って構えた瞬間……。
「『
ガザドラは叫び、地面に落ちてた鉄の盾を拾った瞬間、その盾はどろりと盾の面影をなくして……、銀色の苦無を……。
「……え?」
私は驚いて声を上げてしまった。
理由なんて言わなくても分かるだろう……。なにせ――
空一面に、銀色の苦無を浮かべたガザドラ。これは圧巻があるというか……、その苦無は私達を、そして部下達でさえも巻き込むような光景で――それを、血がついた手で振り下ろした瞬間……。
ぶわりと雨のように降り注いできた。
それを見上げて、誰もが体を強張らせてしまっていた。動けずに、その衝撃の光景を目にしてしまっていた。もの凄い速さで襲い掛かってくる銀色の雨。
そしてすぐに――
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!
と、降り注いできた銀色の雨……。
ううん。これは、ナイフの雨だ。
それを受けていた岩の盾が、ぼろ……っ。ぼろっと小さな小石が崩れていく。
大きな盾を持った騎士もシェーラちゃん達を守るように防いでいた。
誰もがその光景を見て、頭を守りながらその猛威が去るのを待っていた、部下の人達がいるところから「うわぁぁぁっ!」と言う声が聞こえてきたけど、ガザドラはそれでもやめなかった。
あんなに部下のことを思っていたガザドラとは思えない……、非道な行動。
それを見た私は、小さく「やめて……」と、小さく声を零してしまった。それを聞いてなのか、ロフィーゼさんがぎゅっと私を抱きしめながらその猛威に耐えている。
シイナさんはそんな私達を守るように、自分から私達に覆い被さって、ヘルナイトさんも私達の上に覆い被さりながら、その岩を見上げていた。
まるで……、耐えてくれと言わんばかりの眼だった。
シャズラーンダさんは、その光景を茫然と、理解ができない。そして……、なんでこうなったといわんばかりの絶望の表情で、その光景を目に焼き付けていた。
そしてザンバードさんは、ぐっと眉を顰めながら、歯を食いしばり……、そして――
「こんな時に、あれを使うのか……っ!」
と、悔しそうな音色と苦しいそうな音色を合わせたその言葉と声で、ザンバードさんは言った。
それを聞いていた私は、さっき『攻撃するな』と言う言葉と関係しているのか? と思って、どういうことなのかと声をかけようとした瞬間……。<PBR>
「『
「?」
ガザドラの声がしたと同時に……、ばきんっと、何かが固まったような音が聞こえた瞬間……。なんだか何かが近づいてくる音が聞こえた。それを聞いた私は、顔を上げようとした時――
「みんな逃げてぇっっ!!」
シェーラちゃんの叫び。そして――
バガンッと壊される岩の盾。
それを見上げて、私やみんなは言葉を失った。ヘルナイトさんだけはそれを見て大剣を構えて、迎え撃とうとした。
ヘルナイトさんが剣を向けた相手――それは、ガザドラ。
でも、今まで見たガザドラとは違っていた。
体中に装備されている銀色の、棘がついているような、攻撃力が高そうな鎧。顔だけは甲冑を被っていないようだったけど、その顔も異常で、血走った目に、白目が赤く染まっていて、その目からは血の涙を流している。そして叫びながらヘルナイトさんに向けて、その拳を叩きつけようと、腰を捻って打ち込もうとしていた。
それを見たヘルナイトさんは、一旦大剣を鞘に収めて、そしてぐっと両手で掴む態勢に入る。
きっと、その拳を受け止めようとしているんだ。
冷静に判断して……。
でも――
「うあああああああああああああああああっっっ!」
放たれた咆哮と共に、拳を振りかぶるガザドラ。ぶんっと、そして『ぼっ』と音が出るようなスピードの拳を、ヘルナイトさんはそれをどうで受け止めそして掴む。抑え込むように掴むけど……。
「ぐぅうううあああああああっっっ!」
「――っ!」
ずるっと、力負けされていた。
ヘルナイトさんが……。
それを見た私は、目を見開いて、ありえない。絶対そんなことない。そんな言葉が頭の中をぐるぐると巡回する中……、キクリさんがヘルナイトさんを見て――
「団長さんっ!」と、驚きと困惑の音色で叫ぶ。
それと同時に――
ぐぅんっと、ヘルナイトさんはガザドラの力に負けてしまい、そのまま胴体に受け止めたまま――ぐるんぐるんっと何回か拳を振り回すように回転したガザドラ。ヘルナイトさんを巻き込んで……っ!
そして――
「うううあああああああああああああああああっっっっ!」
ガザドラは振り回していた拳を、そのまま地面に向けて――『ガゴォンッ!』と、力いっぱいたたきつけた。地面が凹み、そしてところどころに地面の破片が飛び散る。ガザドラは地面にその拳を叩きつけた……。ヘルナイトさんと一緒に……。そのままヘルナイトさんを地面に叩きつけるように……っ!
それを見ていたシェーラちゃん達は、言葉を失ったかのように……、唖然としてそれを見ていた。
ロフィーゼさんも、シャズラーンダさんも、キクリさんもそれを見て誰もが言葉を失って見てしまった。
私も、ううん。私はそれ以上に驚いてて、そして――震える口で、小さく叫んでしまった。
「へ、る……ないと……さん……っ!」
声に水が含まれたかのようなそれだった。
その声に反応したのか、ガザドラは叩きつけた手を震えながら上げて、私の方を見ていた。そして……、地面に倒れていたヘルナイトさんは声を上げようと顎をくっと上げた。けど――
「――ごほっ」と咳込んだだけ。
それを見て、聞いてしまった私は、びくっと肩を震わせてしまった。すると――
「――『
遠くからアキにぃの声が聞こえた。それを聞いてアキにぃの声がした方向を見ようとした時……、ばぁんっと大きな発砲音とともにガザドラの背中にがぁんっと当たって、その衝撃に押されて、倒れそうになったガザドラ。
しかしずんっと足を踏んで立つと、ガザドラは銃弾が来た咆哮をぎょろりと爬虫類特有の眼でアキにぃがいる方向を睨んだ。
でも、その前に現れたシェーラちゃんとジルバさん。
反対にはキョウヤさんとブラドさん。セイントさんといつの間にかキクリさんもいて――合計六人で……。ううん、七人だ。
「――『
両手を上げて叫んだザンバードさん。すると彼の背後からずずずずっと地面から這い出てくる木の根。
その根っこは先がまるで槍のように尖っていて、ザンバードさんは右手を振り上げて――それを、野球のボールを投げるようにぶんっと振り下ろした。
「あいつに攻撃を与えてはいけない! 一撃必殺か、四肢を砕いて動きを止めるぞ――いけぇっ!」
その叫びを上げた瞬間、ぎゅぅんっと木の根っこが意思を持ったかのように、ガザドラに向かって木の根っこが襲う。
それを見て、シェーラちゃんとジルバさんも武器を構えたまま――
「
シェーラちゃんはギッとガザドラを睨んで、両手の持っていた剣に大きな炎を包んで突き刺そうとして。
「
ジルバさんはぐるんっと回りながら仕込みの剣を使って、ガザドラの両手を切ろうと試み。
キョウヤさんとブラドさんはその槍と剣を持って、ガザドラに首元にそれを突き刺そうとしている。今まで見たことがないような怒りの眼で、表情で――
セイントさんとキクリさんは武器を持ち、ガザドラの足元にそれを突き刺そうと、打ち込もうとして構える。
それを見てか、すっと私の隣にいた人が立ち上がって――ごぉんっと手に持っていたそれを振るいに振るって、踊りながら彼女は言った。真剣な音色で叫んだ。
「『
すると、キョウヤさん達の体に纏われる赤と緑の靄。
それを見た私は、呆けた顔でそれを見てしまったけど……。
「行ってっ! 早くっ!」
ロフィーゼさんは声を荒げながら、私に向かって叫んだ。それを聞いた私は、はっとしてロフィーゼさんを見上げると……。ロフィーゼさんはシイナさんを見て、真剣な目と表情、そして声で彼女はこう言った。
「シイナくん。ハンナちゃんと一緒にいてあげて! わたしは族長さんを守ることで手一杯なの! だからお願い、一緒に行ってあげて! ヘルナイトのところに――!」
「!」
その言葉を聞いて、私ははっとした。
ロフィーゼさんを見ると、私を見て、ロフィーゼさんは大人の笑みでウィンクを送り、そしてすぐに顔を真剣なそれに変えて、シイナさんに向かってこう言った。
「早く行ってあげてっ!」
それを聞いたシイナさんははっとしながら「あ、は、はいっ!」と言って、すっと立ち上がった後……、私の背に手を添えて、気を遣うように「い、行ける……?」と聞く。それを聞い私は、小さく頷いて――力なく「は、はい……」と答えた。
それを聞いたシイナさんは私の肩を支えながら、ゆっくりと私が立ち上がるのを手伝ってくれた。私はシイナさんと一緒に、倒れているヘルナイトさんを見て、歩みを進めようとした時……。
「お嬢さん達っ!」
シャズラーンダさんが叫ぶ。それを聞いた私はその声に反応して振り向くと……、シャズラーンダさんは声を荒げながら、こう言った。叫んだ。
「こんなことを言うのは、大変場違いだと思う……っ! しかしあいつがこうなってしまったのは……、儂の所為でもあるんだ!」
「……何を言って……」
シイナさんがそう言うと、シャズラーンダさんは、ダンっと両手をついて、そして土下座でもするように、頭を下げて――こう声を張り上げて言った。
「だからこそ……、あいつを殺さないでくれ……っ! あいつは世界のルールに振り回された犠牲者なんだ……っ! だから、あいつを殺さないでくれっ!」
この通りだ……っ!
そう、シャズラーンダさんは、青いもしゃもしゃと、黒いけど憎しみではないそのもしゃもしゃを出しながら、私達に言った。
それを聞いたシイナさんは、首を捻りながら困惑して……。
「い、言っている意味が分からないです……」
と言うけど、私はそれを聞いて、きゅっと口を噤んでから……、シャズラーンダさんに言った。
「わかりました」
「えぇっ!?」
その言葉に、シイナさんは驚いている。そしてロフィーゼさんも驚いて見ていた。シャズラーンダさんは顔を上げて、私を見てから――私はそっとシャズラーンダさんの目線に合わせるようにして、こう言った。
「なんで、そこまで後悔しているのかわかりません。でも……、その中には、シャズラーンダさんの優しさも含まれています……。だから、私はシャズラーンダさんの意思に従います。それに……」
と言って、私は控えめに微笑んで――こう言った。
「最初からそうするつもりです。誰にも、死んでほしくないから……」
そう言って、驚いているシャズラーンダさんを、ロフィーゼさんに任せて、私はシイナさんと共に倒れてしまったヘルナイトさんに向かって走る。
シイナさんも私の後をついて走る。みんなはガザドラに攻撃を仕掛けているけど……、全然攻撃が聞いてない。むしろ……、攻撃しているのに、なんだか強くなっているような気がする。
そう思いながら、私はヘルナイトさんに駆け寄って――
「ヘルナイトさん……っ!」と叫ぶ。
シイナさんも近くに駆け寄って、辺りを見回していた。
私はヘルナイトさんの体に触れて、そして叫ぶ。必死に叫ぶ――
「大丈夫ですか……っ! ヘルナイトさん……っ! お願い……。返事を……」
声を掛けているけど、それに反してだんだん希望が薄れていく中……、私は藁にも縋る思いで、ヘルナイトさんの手をぎゅっと、両手で握った。そして、か細く言った瞬間……。
ぐっと握られる私の手。それに驚いて、目を見開くと――
「すまない……。少し油断をした」
と言って、ヘルナイトさんは何事もなかったかのように起き上がった。ううん、何事もではなかった。ヘルナイトさんはごほっと咳込みながら私達の方を見て……、そしてこう言った。
「話は、聞いていた……」
「ヘルナイト……、さん」
私は小さくヘルナイトさんを呼ぶ。シイナさんもわたわたしながら「だ、大丈夫なんですか……?」と聞くと、ヘルナイトさんは凛とした音色で「問題ない」と言って、みんなが必死になって戦っている中にいるガザドラを見て――ヘルナイトさんはこう言った。
「あの男を止めるという方法で行くのなら……、かなり難しい橋を渡るぞ」
「?」
「ど、どう言うことなんですか……?」
シイナさんが聞くと、ヘルナイトさんはガザドラを見てこう言った。
「あの男は、さっき己を自傷していた。あれは魔女の中でも異質なもので、クルクやザンバード殿の魔術ではない。あれは……、己の命を削り、削れた気力、体力、生気を全て魔力に変換するもの。『鉄鋼』から『鋼』に変わったのも、その魔術……、禁術のせいで変質してしまったのだろ……」
「自分を……傷つけて……」
それを聞いた私は、はっとした。だからザンバードさんは攻撃するなって言っていたんだ。
攻撃することは体力を削ること、つまりは魔力を多くさせてしまうことだから……。
轟音に近い音が聞こえてその方向を見ると、みんながガザドラに立ち向かっている。戦っている。
でも軽い攻撃しかしていない。
大きな攻撃や四肢破壊を試みたけど、あの固い装甲だ。
できないと判断しての消耗戦にもつれ込んだのだと私は思った……。
これだと……、こっちが完全に不利だ……。
それを見たシイナさんは青ざめながら「それじゃぁ、どうしようも……」と言った瞬間、ヘルナイトさんは「だがな」と言って――次にこう言った。
「攻撃しないで止める方法がある。何とかな……」と言って、ヘルナイトさんはシイナさんを見て、私もシイナさんを見るとシイナさんは目を点にして、引き攣った笑みを浮かべながら――
「え?」と声を漏らした。
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