PLAY33 蜥蜴人の集落の魔女 ⑤
『はぁ!? 断るぅっ!?』
それを聞いた私とヘルナイトさん、ジルバさんとセイントさん、シイナさん、キクリさん以外が声を上げてザンバードさんに顔を近付けながら叫んだ。
「なんで断るんですかっ!」
アキにぃが苛立った音色でザンバードさんに言って。
「王様から直々のお願いなんだろ!?」
キョウヤさんが理解できないような顔をして怒鳴って。
「少しは空気を読んだら?」
シェーラちゃんは冷静に突っ込むように言って。
「ここまでの苦労……、あ、いやここまで歩いただけで苦労してねえな。でもなんで断るんだよっ!」
ブラドさんが何とか言葉を繋げようとした時、ふと『あれっ』と首を傾げたけど、それでもブラドさんは断ったことに対してザンバードさんに問い詰め――
「何か理由があってぇ?」
ロフィーゼさんだけはザンバードさんのその理由を聞いていた。
それを聞いていたジルバさんは、みんなに手招きをしながら飄々とした口調で――
「まぁまぁ。ここは話を聞こうヨ」と言った。
ザンバードさんはそれを聞いて、私達を睨みつけるように見るとはっきりとした音色でこう言った。
「理由は明白だ。俺は今の王……、いいや、アクアロイアの王の意見に賛同できない」
それだけだ。
そうザンバードさんは言った。
それを聞いてシャズラーンダさん首を傾げながら「なぜだ?」と聞き――
「王の勅令は絶対。そして何より……、ギルド長になるということは、そこにギルドが立ち上がると冒険者も来る。金が手に入る。村としては……、まぁ多少潤った方がいいと儂は思っている。汚い話だが……、ユワコクやエストゥガは、ギルドが立ち上がったおかげで活気に溢れる街に生まれ変わった。村のことを思うのであれば……、儂はギルド長の件を」
「俺はそう思わない」
兄であるシャズラーンダさんの言葉を遮って、ザンバードさんは言った。
はっきりと、そしてその中に含まれる怒りが込められた音色でザンバードさんは言った。<PBR>
「活気に溢れることが、村として大事なのか? 俺はそう思わない。俺が思う村としての大事なこと……、それは――」
ザンバードさんはすぅっと息を吸った後で、彼はこう言った。
「それは――縛られない自由だ」
「……自由?」
シェーラちゃんはその言葉を聞いて首を傾げると、シイナさんがその言葉に対して、おずっとしながらも手を上げてこう言った。
「じ、自由って……、今もこの村は、自由にみんなが、た、楽しく暮らしているように、見えますが……?」
それを聞いた私も頷くと――ザンバードさんは声を荒げて……。
「違う」
その言葉に乗ってきた気迫。
それを見て、感じた私は、強張ってザンバードさんを見てしまった。
するとザンバードさんは私達を睨みながら……、本当に睨んでいるようで、ジロッと言う音が出そうな睨みでザンバードさんは私達を見てこう言う。
怒りを乗せた音色でこう言った。
「お前達は……、この国の何を知って、そしてここまで来たんだ……?」
その言葉に対して、アキにぃは神妙な顔つきで相手を逆撫でしないようにして――
「この国は――腐っている。そう亜人の郷の最長老様から聞い」
「――それは人から聞いた見解だっ!」
でも、ザンバードさんはアキにぃの言葉を遮って、声を荒げて……、ううん。それ以上に怒りを露にして、蜥蜴特有の牙をむき出しにして私達に向かって怒鳴りつけた。
純粋な赤と黒のもしゃもしゃが、ザンバードさんを襲っている……。
そう言えば……ザンバードさんは千年以上も生きているって言っていた。
ならば……、当然。
そう私が思った時、ザンバードさんは声を荒げながら私達に向かって、マシンガントークの如く、つらつらと怒りの言葉を言い続けた。
「アクアロイアもバトラヴィアも、俺達他種族を物のように、奴隷のように使い、使えなくなったら再利用するような下種の王族だっ! 亜人の郷の者が皆殺しにされたのも、他種族――『闇森人』を誑かして襲わせた! そのあとでその種族は滅亡録に記載され、人間の思惑通りの筋書きを通っているっ! 人間の。あろうことが王族の言うことは己の自己満足にすぎないっ! 己の私欲のために、他種族や位の低い同族を奴隷のように扱うっ! 屑の集まりだ! 王が変わったからなんだ? 結局その国のあり方を保ちたいが故の傲慢な要求だろうっ! 何が改革だ! 何が国の在り方を変えたいだっ! そんなことを考えているのならすぐにでも行動しろっ! すぐに行動していれば……、どれだけ困窮した土地を救えたと思うっ!? どれだけ犠牲になったものが犠牲者にならなかったと思うっ!? 一体……どれだけの同胞が救われたと思っているんだっっっ!!」
まるで……、今までの感情を吐き捨てるような言葉の嵐だった。突風だった。
それを受けて、私達は――返す言葉がなかった。その言葉を聞いて、この国の闇が浮き彫りになって……、そして、知った……。
アクアロイアは、想像以上に腐って、そしてそこに住んでいる人達が苦しんだのか……。
異国から来た……、プレイヤーである私達には、到底理解ができないような言葉だった。
王が変わったとしても、その世界を変えたいと思っても……、人の感情は、想いはそうそう変えられない。
その思いに傷がついてしまえば……、尚更協力したくないのが現実だ。
きっと、この先もその苦しみのせいでアクアロイアの手を貸したくない人がたくさんいるかもしれないのだ。ザンバードさんが例外じゃない。
ザンバードさんは――普通だった。
自分達をいいように使った王族に手など貸したくない。これは至極真っ当な意見だった。
私達には……到底理解ができない。共感できない……、つまりは……。
分かり合えない。そう言っているような雰囲気だった。
私は俯いてしまう。みんなも言葉を詰まらせてしまう。でも……。
「だがザンバード殿」
すると、突然ヘルナイトさんはザンバードさんに向かって、凛とした音色でこう言った。はっきりと――
「亜人の郷の最長老と、犠牲となってしまった魔女の息子は……、アクアロイア王の意見に賛成しています」
「っ!?」
その言葉を聞いて、私は顔を上げると、ザンバードさんは困惑しているような顔をして、ヘルナイトさんを見ていたけど、ヘルナイトさんはそのまま続けて――
「今の王の意志と言葉を汲み取り、ギルド長になることを承諾しました」
しかし、息子はまだ子供であるが故――二人でギルド長ということになってしまいますが……。と、へルナイトさんが言うと、それを聞いたザンバードさんは理解ができないような顔で――
「なぜだっ!? アクアロイア王のことを一番恨んでいるのは……、あの亜人の郷が大きかった! そのせいであそこは最も大きな被害に遭ったっ! だからあの最長老は今の今まで王の傘下に下らなかった! なのにどうして……っ! なぜ今になってっっ!」
「確かに……、恨んでいたかもしれねーよ。今でも恨んでいるかもしれねー」
すると――唐突に会話に入り込んだのは……、キョウヤさんだった。
キョウヤさんを見て驚きながら私は見る。みんなも驚きながら……、あ、でも――キクリさんとジルバさんだけはなんだかこの展開を予測していたかのように、にっと微笑んでいる……。それを見た私は再度キョウヤさんを見ると……、キョウヤさんはザンバードさんを見てこう言った。
「オレが言うのもなんだけど……、最長老も考えたんじゃねーかな……? 一歩前に進まねーと……、何も始まんねーって」
「な……っ!」
キョウヤさんは真剣な音色と表情でザンバードさんを見た後、彼はこう言った。
「確かに、前の王がしたことや、バトラヴィア帝国のことを考えたら、協力したくねーっいう気持ちは確かにわかる。オレだって、あの時マジで『クソで屑のくそ王』って思ったし」
「言うじゃない」
その言葉に、シェーラちゃんは腕を組んでキョウヤさんに対して、褒めているような音色で肩を竦めた。それを聞いて、キョウヤさんは唇を尖らせて恥ずかしいという顔をしていたけど、それでもキョウヤさんは言った。
「でも、今のアクアロイア王は違う。あの人は心の底からこの国を変えたいって思っている。今回の件だって自分で行きたかったって言っていたし、ハンナ――」
と、私を見て聞いてきたキョウヤさんは、私にこう聞く。
「王様――変なもの抱えていたか?」と――
それを聞いた私は、えっとっと言いながら思い出し、あの時のアクアロイア王の感情を思い出すと……、私はキョウヤさんを見て一言――
「ないです。純粋な気持ちで私達に言って、そして心の底からこの国を変えたい気持ちでいっぱいなもしゃもしゃでした」と言った。
確かに、あの時のアクアロイア王は……、まっすぐな気持ちで私達に話していた。
この国を変えたい。
アルテットミアのように変えたい。まるで……、アルテットミア王のような思いを受け継いでいるかのような……、そんな気持ちで、ピンクや黄色やオレンジ……、夕焼けのように熱い意志を固めて、諦めない気持ちで満たされていたもしゃもしゃだったことを思い出し、私はキョウヤさんに向かって、控えめな笑みを浮かべて言うと……、キョウヤさんはにっと笑って――そしてザンバードさんを見てこう告げた。
「だから……、一回でもいいから、騙されたと思って受けてほしい」
キョウヤさんは真剣な目でそう言う。
それを聞いて、ザンバードさんは「っ!」と唸るように顔を歪めてしまう。
見ていたアキにぃは一言……。
「時折キョウヤが大人びているような気がする……」
と、顎を撫でながら疑問の声を上げて言って、それを聞いていたジルバさんとブラドさん、ロフィーゼさんがうんうんっと頷きながら――
「「「と言うか年上なんじゃない?」」」
と真剣な音色で真剣な目で見て言った。
それを聞いていたセイントさんは……。
「大人である私達が言うセリフだと思うのだが……、恥ずかしいと思わないのか……?」と、真顔の音色で疑問の声を上げた……。
内心呆れているのかな……? うーん……。
それを聞いていたシャズラーンダさんは横に立って、ザンバードさんの肩を叩きながら「弟よ」と言ってから――
「気持ちはわかるが……、武神卿と冒険者達の言うこともまた正しい。先日、吟遊詩人がここに来て、前王が永久監獄に投獄されたと聞いた。そして新しく前アムスノーム王が即位したそうだ」
「……っ! なぜ……っ!?」
「決まっておろう。この者達の言う通り――国を変えたいという気持ちを持て即位したのだろう? 弟よ。今回は王のところに行け」
「っ! 兄者はこの村のことをどう見ているのですがっ! 帝国軍だけでも困窮しているこの状況で、アクアロイアの犬になれとでも……っ!」
「そう言っておらん」
ザンバードさんの言葉を聞きながら、シャズラーンダさんは窓の外に目を移した。
外からは子供達の声や大人達の楽しそうな声が聞こえる。そして風が吹いてきた。そのおかげで部屋に充満していた臭いが風に乗って流れて消えていく……。
それを感じて、シャズラーンダさんは言った。
「この村にもな、新しい風……、新しい時代が必要な時がある。エストゥガやユワコクも、最初はギルド長になることを拒んだ。しかし結局……、村のことを考え、ギルド長になり――そして村は活気に包まれた。お前は村のことを第一に考えて、村を守るためにギルド長にならないで、このまま生涯を全うしようと思っているかもしれない。しかし……、言い方が悪いかもしれないが、それでは逃げているのと同じなんだ。亜人の郷の最長老を見習い……、ここは考えを変えていかなければいけないのではないか?」
それを聞いてもザンバードさんは顔を顰めたまま俯いている。それを見てシャズラーンダさんは溜息を吐き――そして……。
ちらりとキョウヤさんを見た。
キョウヤさんは首を傾げながら「どうしたんだ?」と言う表情をしていた。それは私達も同じで、シャズラーンダさんはうんっと頷いた後――「弟よ」と言ってから……、唐突にこんな提案をしだした。
「お前が考えを変えないのであれば……こっちだって考えがある。王の使者としてきた冒険者一行……、武神卿と巫女卿が認めるような存在なのだろう。ならばやることは簡単だ」
シャズラーンダさんはキョウヤさんを見て――にっと豪快に笑みを浮かべながら、私達にある提案を持ちかけるようにこう言った。
「実力で話し合おう」と――
□ □
そして……。
蜥蜴人の集落の中央はまるで祭りでもあるかのように賑わっていた。
その場所を取り囲むように、私達もその中に入って状況を見守っていた。
集落の中央には即席で作った太い紐で、大きな円を作った土俵……まるで地べたでやる相撲のようだ。しかもすごく広くて大きい。その即席の場所の中に入っている四人は……、互いに対戦相手を見ながら仁王立ちで……、あ、一人だけは混乱している目で周りを見ていた。
一人は族長兼村長のシャズラーンダさん。そして目の前にいるのはキョウヤさん。
そしてもう一組は……、ザンバードさんと……。
「なんでっ!?」
何故か――ブラドさんは狼狽しながら周りを見て、手に持っていた大剣をぶらぶら揺らしながら、意味わかんないという顔をしながら慌てていた。
「おかしいっ! ぜっっっっっったいにおかしいからぁ! なんで俺関係ねーのにこんな喧嘩祭りに強制参加っ!? もうワィだよぉ!」
「don't talk.よぉ」
「発音いいっ!」
ロフィーゼさんはアメリカ出身なのだろうか……。すごく発音がいい言葉で『しゃべるな』って言った。
それを聞いたブラドさんは青ざめながら驚きの声を上げた。
すると……。
「これより! 族長対亜人キョウヤ! 魔女殿対魔人ブラドの……、腕試し勝負を開始する!」
審判なのだろうか、少しひょろっとした赤い鱗の蜥蜴人の人が手を上げてそう言うと、周りを取り囲んでいた蜥蜴人の人達が……。
「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおーっっっ!」」」」」
と声を上げて、興奮した面持ちで叫んだ。それを聞いた私達は耳を塞いでしまった。それくらい大きくて、うるさかったのだ。
なぜこうなったのか……、それは族長であるシャズラーンダさんの言葉が原因だった。
シャズラーンダさんは、私達を見て『実力で話し合おう』と言ったところから始まる。
それを聞いたアキにぃは首を傾げて「一体それは……?」と聞くと、シャズラーンダさんは、キョウヤさんを指さしながら――
「簡単な話。儂とそこの小僧。そして弟とそこにいる魔人の男……。正々堂々と真剣勝負をするというだけのこと」
と言った。
それを聞いた私達は、目を点にしてしまい、その話の中心となってしまったキョウヤさんとブラドさんは……、それを聞いて茫然としていた。でもすぐにブラドさんははっと現実に戻ってきて――
「いやいや! なんでそうなるんだよっ! 俺関係ねーし! っていうかなんでどうしてそうなったのっ!? 理由を聞きたい!」
慌てながら聞くと、シャズラーンダさんは、「かかか!」と笑いながら素直に――
「いやな! お前さんたちを見て、特にそこにいる槍を持った小僧は、只者ではないと感じた! 同じ蜥蜴の血を引く者として……、ここはシンプルに、強き者の意見に従う! それならば、弟も納得するだろうしな!」と言った。それを聞いてシェーラちゃんは首を傾げながら「それでいいの……?」と隣にいたヘルナイトさんに聞くと、ヘルナイトさんは顎に手を当てながら……。
「ここは族長の意見を聞こう。そうでないと……。ザンバード殿はきっと意見を変えない。それに……」
と言って、ザンバードさんを見たヘルナイトさん。私もザンバードさんを見ると……、ザンバードさんはぐっと堪えるような顔をしてから……、重い口を開けるようにこう言った。
「……族長である、兄者の意見ならば……、仕方ない……っ!」
「いいんだ……」
その言葉を聞いたシイナさんは、驚きを通り越して疑問の声を上げて言った。
キクリさんはその光景を見ながら、乾いた笑みを浮かべながら「村の掟として、村長や族長の言うことが絶対だからね。反論する人なんて肉親か、兄弟か、あとは奥さんとかしかできないし……」と言うと、それを聞いていたアキにぃが成程と言わんばかりに納得していた。
ジルバさんはそれを聞きながら、飄々とした笑みを浮かべて――
「でも、シンプルでいいんじゃない? 要は、勝てばいいんだしネ」と言うと、シャズラーンダさんは「その通りっ!」と頷きながら腕を組んだ。そしてキョウヤさんを見て――
「場所は集落の中央。そこで簡易ながら決闘場所を設ける! 集まり次第説明と勝負を始める! 異論はないな?」
「あるあるっ! 俺はある!」
と、ブラドさんが慌てながら必死に手を上げて言うけど……、キョウヤさんはそれを聞いて、そしてシャズラーンダさんを見上げて、にっと――挑戦的な笑みを浮かべて……。
「――言われたからには、受けて立つぜ」と言って……。
現在に至る。
「ハンナ」
「! シェーラちゃん」
隣にいたシェーラちゃんが、私の名前を呼んで、肩を竦めながら目を閉じてこう言った。冷静な音色で彼女はこう言う。
「あいつが……、キョウヤが負けると思ってみているの?」
そう聞かれた私は、その言葉に対してぶんぶんっと首を振りながら「そんなことないよ……っ! ただ、どうなるんだろうっていう不安があって……」と言うと、それを聞いていたシェーラちゃんはふっと笑みを零して、私の顔を見ながら、不安なんて見えない笑みでこう言った。
「あいつは勝つわよ。聞いたわ。キョウヤは槍に関しては天賦の才を持っているって。なんだか悔しいけど……、そんな気がする。そして勝てる。そう確証している。っていうか信じているし」
それを聞いていたのか、私の隣にいたアキにぃとヘルナイトさんも入って――
「キョウヤを信じよう。あいつ……、俺のグレンへレーナ折ったし」
「ハンナ。キョウヤを信じよう。それに見てみろ」
と、ヘルナイトさんはすっと、キョウヤさんがいるところを指さす。その方向を見ると、キョウヤさんは――
こっちに気付いたのか、にっと陽気な笑みを浮かべて手を振っていた。
それを見て、キョウヤさんのもしゃもしゃを見て……、私は安心してしまった。
キョウヤさんは落ち着いている。いつも以上に落ち着いている。
それを見た私はキョウヤさんを見て頷いて――そして手を上げて大きく振りながら――
「頑張ってください――キョウヤさん」と応援の声をかけた。
それを聞いたキョウヤさんはにっと笑いながら「おう!」と答える。
「俺にもー!」
ブラドさんの声が聞こえるけど……、ロフィーゼさんはそんなブラドさんを見て――
「don't talk.never give up」
と、冷たく言い放った。黒い笑みと共に……。
「なんで俺の時だけそんなに冷たいのっ!? 不思議と英語の時だけ命令口調な気がするけどっ!?」
ブラドさんの号泣の魂を無視するように……、族長とザンバードさんは武器をぐっと構えた。
シャズラーンダさんは大きな刃がついた槍を。
ザンバードさんは無骨だけど研磨されている大剣を構えて、互いに目の前にいるキョウヤさんとブラドさんに敵意を現した。
その両者を見て――審判は言う。
「開始の合図は太陽が真上を指した時とする! その前に注意事項をいくつか申し上げる!」
その言葉を聞いて、私達はこれから始まる腕試しの説明を聞いた。
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