第8話

 彼女も敦子と同じパート主婦。私との面識はない。

 彼、と彼女が言ってる時点でまたもや彼女も夏彦が既婚者ということは知らないようである。


 なぜか夏彦は自分の夫のことを良く言うのはあれだがイケメン、イケオジの部類に入ると思う、彼は。

 そしてよくある「独身貴族」的な見た目……まぁ外面はいいからね……、ファッションや髪型である程度鍛えているのもあるから世帯疲れさもない。そりゃ、家のこと全くせず文句ばかり言ってますからね!


  なぜ彼女が浮上したかというとさすがに私の占い屋におびき出してその占いしている時の音声を提出するだけになると占い師の仕事は彼女たちをおびき寄せるものか、それに色々と倫理的にも引っかかる為、別でも探偵を雇った。結構あれって高いのね、依頼するだけでも。

 誠也の知り合いで探偵やっている人に安くやってもらったんだ。張り込み、写真撮影での状況証拠をつかもうとね。


 すると探偵が持ってきた報告書見てびっくり。

 敦子はもちろんのことそれ以外にも女がいた、それが遥だったのだ。


 その探偵曰く

「A(敦子)さんは車内でのセックス、一応写真だけでなく動画も押えました。車はAさんのものです。そしてB(遥)さんはホテル街のラブホテルにて、休憩で。これはホテルに入るところを押えました。ご主人はAよりもBの方が好きかもしれませんね」

 とのこと。なんでだろうか。敦子のほうが先で彼女に飽きて遥さんの方へ行ったんでしょう。


「Bさんは飯岡遥さん、32歳パート主婦。ご主人の会社の近くでお弁当屋のパートをしていますね。指輪はしていませんが婚姻中。同じ市内で小学生のお子さんを育てている女性。夫は広告代理店で夜遅く帰宅。土日もゴルフバックを持って早朝から出ていく姿あり。近くに遥さんの実家もある為子供が祖父母の家に行く様子もたまたま見かけました。仕事といって親に預けたんでしょうね。その足でとあるスーパーの立体駐車場の隅の方に遥さんと落ち合って徒歩で近くのホテル街へ距離を置いて入っていきました。約二時間。ご主人から出ていき、数分後に遥さんが出ていきそれぞれ帰宅」

 と私は敦子の証拠だけつかみたかったのにその日にたまたま遥さんという女が浮上してきてしまったのだ。

 敦子のほうは別の日に証拠をとらえてくれたんだけど……。


「Bさんの方はホテル、Aさんは車。わかるでしょ、シャワーも浴びずにセックスだなんて。粗雑に扱っている証拠。それ以下が公衆トイレ。今は遥さんの方が上でしょうね。まぁ格安のホテルで休憩ですからやって終わりでしょう」

 妻と言う私にあけすけもなく報告してくる探偵。……レスの私に関してはなんなんだ、公衆トイレ以下なのか?


 私がしないから他の女で済ませている、ということなのか。それだと状況が不利になるかもとのことだった。でも私が受けてきた結婚から今までのモラハラによる傷、精神的暴力の記録を克明にメモした物があると言ったが、そこは裁判にならないと分からない、相手が口上手いとひっくり返されるかもしれませんよ、と探偵は言った。


 なんで傷ついた人間がさらに傷つかなきゃいけないの、負けなきゃいけないの、探偵にお金払って裁判にお金払ってそのために夜なべしてパワーストーン作って日中占い師として必死に仕事して稼がなきゃいけないの?


 裁判しても負ける……もうそんなの目に見えていた。だから私はそうなるのであればじわじわと夏彦を苦しめるためにもと必死なのだ。

 そこに女というラッキーな証拠も出てきて。しかもその女からお金も肉欲も手に入れて。女たち共々夏彦も地獄に突き落としてやる。裁判やるだけでなくてもっともっと苦しめてやる。私の人生をめちゃくちゃにしたから!!!!!!!!!!

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