第7話

「ご無沙汰しております」

「お待ちしておりました、さぁこちらへ」

 やってきたのは主婦の遙。32歳。先日の敦子に比べて肌艶良い女性である。


 彼女のスマホには私の使ったパワーストーンのアクセサリーがぶら下がっている。素直につけてるのね。カバンにも何個か。

 ブレスレットはマダム金城みたいにはつけないのは周りからパワーストーンつけているのを見られると何か病んでるとか思われるのが嫌だと言っていたがカバンにつけているアクセサリーの数もアレだが。まだブレスレットよりかマシらしい。


 それ以外にも神社のお守りもある。神頼みもほどほどだ。

 でもその依存心、助かるわ。彼女も私のパワーストーンの太客だ。


「どうですか、あれから」

「はい……夫からは相変わらず暴言を」

「あら」

 彼女も、私と同じく夫からモラハラを受けている。

 私のブログを読んでくれたみたい。


 夫からの支配から逃れたい、と来てくれたのだがここにきてから少しずつ変化はあったらしい。

 夫と一緒にいじめてきた姑が病気になり普段が減った、夫が長期単身赴任になったと少しずつ彼女は解放された。


 彼女の話を聞いて私も心が震えた。

 私も姑……義母から散々いじめられた。すべて

「あなたのために言っているの!」

 と。

 逆らってはいけない……夫は助けてくれない。


 すべて義母の言いなり。


 占い師としては良くないけど彼女のエピソードを聞いて泣いてしまった。


 彼女には子供が二人いるのだが二番目の子供は初期に流産してしまったらしい。一人にして欲しかった遙さんは病院駐車場、車の中で泣いていた。

 しかしその時に電話で義母から

「なーに一人にして欲しいんだよ! 上の子がいるから世話してたら忘れるだろ。それにまだ若いんだからもうひとりこしらえれば良いんだよ!」

 と言われて心の整理がつかぬまま帰ったという。彼女の夫は流産のことは何も触れず労わずそれよりも家事も料理もおざなりにして! と説教を受けた……それを涙ながらに話していた。


 どこにもいるのか、私の義母や夫みたいな人がいるのか……と震えた。



 が、私は本来の目的を忘れていた。


「……夫はさておき、新しい彼もなんかちょっと……」

「おや」

「なんか最近冷たいんです」

「まぁ……こないだはとてもラブラブで、って」

「夏彦さん……最近は身体だけの関係でしか会ってくれなくなったんですっ!!!」



 そう、遙さんもまた……私の夫、夏彦の不倫相手である。







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