第4話

 って、ママ、友なんて言いたくはない。


 ただ同じ地域で住み、幼稚園前から地域のスクールで同じ仲間の中にいた敦子。その頃彼女もまだ専業主婦だったわ。幼稚園も同じで子供同士も仲良く、私たちは顔を合わせれば挨拶をする程度。

 私は何気に勝ち誇った言動の多い敦子が嫌いで夫が銀行員でーとか持ち家がーとか自慢話多くてマウントをとっていた。


 それに群がる馬鹿たちの集団見てたら嫌になってなるべく避けていたのよね。


 で、子供が小学生に上がった頃には敦子はパートを始めた。昔いた会社に復帰した! とのこと。あんだけ夫が稼いでいるからと自慢しまくってて働く必要なしとか言ってたけど女は自立しなきゃね! って意見転換してブイブイかましてて。


 それがSNSにもガンガン発信されてて。派手な生活(写真からしかわからないけど)できらきらぎらぎらさせて。


 でも繋がっててよかった。そのSNSに。彼女はなぜか私のSNSに友達通知してきたんだけど……自慢したいだけだったのかなーとか思うけどそのおかげで今に至るのよ。


 あ、私は彼女と繋がっているSNSでは懸賞応募用のもので、懸賞応募の投稿と当選したら品物を載せているだけなんだけど。


 その彼女の投稿に……夏彦が持っていた私物が……。

 彼女は私とSNSで繋がっていたのは知っていてのことだったのか?

 彼女は自己顕示欲なのか? 理由はわからなかったけど……他の投稿にも夏彦らしき跡もあった。


 章介くんの受験失敗後も投稿はギラギラ自己顕示欲満載。


 ……敦子のSNSに夏彦の影を感じてから私は慎重に動いた。

 それに不倫をするタマでなかった夏彦が……。

 私は彼の目に見えた非ができた! と喜んだが……。


「あの先生? 私、ナツも仕事も何もかも今のままがいいのです!」

 こいつ、アホ? 目の前で醜い顔をしている敦子に笑うしかない。


「……じゃあこのまま、ナツさんとの関係を続けた時は……」

 他のカードをかき混ぜ置いていく。


「……やめた方がいいですね。こちらも暴走と波乱。さっぱりと手を打たないとどんどん悪化していきます。どなたも助けてくれません」

「そんなぁあああああ、どれだけナツにお金を……」

 ……お金、あらぁー。ケチな夏彦は敦子にお金をもらってたの? なのに我が家にもお金を入れてくれず……あ、もしかしたらそのお金で息子の学費払ってくれてるのかしら。


 私もわかるわ、敦子さん。うちの夫も仕事もしてお金もあるのに家には最低限のお金しか入れてくれなくてー。


 私立に無事合格した息子は俺の勲章だーと息子にはお金をかけてくれたのよ。

 おたくの息子さんみたいに親からの愛情に飢えて心身ともにボロボロになった落ちこぼれの息子さん……いや私の倫太郎を陰で虐めてた章介くん。


 もう手遅れね、こんなお母さんなんて。

 あ、気になったけど敦子の夫の方のカードには豊満な女性が描かれたカードが出てきたけど……他で女と子供いるんじゃないかしらー。知らないけど。


 微笑む口元は彼女には見えない。

 敦子は錯乱したまま時間延長は断って出て行った。


 ケチ。


 私がSNSで私の占い広告を懸賞投稿に混ぜて投稿したらすぐ食いついてきたの! ほんと藁にもすがる気持ちだったのかしらね!


「SNSを見たら初回30分無料!」

 に食いついてわざわざ住んでいる郊外から都会のここにやってきて。

 パート休んだのかしら? ねぇ?


 ……本当自己顕示欲強くて情報開示ズブズブの女と夏彦が繋がっててよかったわ。


 私は机の下の録音機材を止めた。

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