ギャンブル

第1話

作者注: フィクションです。

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　まったく、つまんねぇ世の中になっちまったよなぁ。

　「金だ、金だ」と……虚しいとは思わんのかねぇ。

　人間の心がまるでどうかしちまったみたいじゃねぇか。

　金で命も売り渡すのか？

　滑稽じゃねぇか。

　人の命ってのは、人間2匹の命のカケラだぞ？　人間2匹が協力して生み出した可能性の塊。

　そんで、はっきり言えば、最大の投資商品でもある。

　投資だからな、リターンがでかくなるか、マイナスに落ち込むかはわからねぇ。

　命育てるってのは、人生かけての、大きな賭けだよなぁ。

　そういう意味では、親ってのはギャンブラーだよな。よく分からん生き物を、どうなるか分からないのに育てるわけだから。

　……命以外の投資商品は、値上がりと値下がりがはっきりしてるが……命ってのはそうでもない。人間ってのは、そうでもないんだよ。

　一見、値下がったと見えて、それは値上がりのこともある。値上がったと見えて、値下がってるかもしれねぇ。まったく、この世で最高にわけのわからない投資商品だと思うぜ。

　ま、だからこそ、一番スリルがあって、一番おもしれぇ銘柄だよな？

　なぁ、ギャンブラーの皆さん？

　ギャンブルなんだ、いちいち嘆いてたって仕方ないぜぇ？

　嘆く間があるなら、その投資商品をよく知って、それが値上がるために自分が何をすべきで、何をすべきでないのか。それを考えて実行してみたらどうだ？

　大損だと思ってたそいつはさ、ホントは大化けする大穴商品かも……しれないぜ？