第336話(終・第九章第16話) 「運営」の本気3

「ほぼ決まり、と見ていいでしょうね。

 皆さん、聞いてください! おおよそですがこのダンジョンの構成がわかりました!


 このダンジョン『古代文明の地下遺跡』はやはりボス連戦をさせてくるダンジョンです。

 出てくる順番ですが、ランダムではありません。

 エリアボスを抜いたスクオス、リスセフ、アホクビ、タチシェスの順番で出てきてます。

 そして、スクオスからタチシェスまで一周すると敵の数がそれまでの数の二倍に増える、と考えられます。

 また、四の倍数には安全階セーフティフロアが設けられていて、安全階を経るごとに敵のタイプが変わります。

 B1階からB3階が第一層にいたダンジョンボスのビッグ、B5階からB7階が第二層にいたダンジョンボスのスカイ、B9階からB11階が第三層にいたダンジョンボスのブリザード……と。

 B13階からB15階は第四層にいたウィザードが出てくるものと思われます。

 次の階(B14階)はウィザードリスセフ八体、その次の階(B15階)はウィザードアホクビ八体です。

 B13階は実際、ウィザードスクオス八体でしたし、恐らく間違いないかと。


 このダンジョンはこれまでのセオリーでいくと56階構造になっているはずです。

 ですから、B19階までがブルカン、B23階までがヴェノム、B27階までがアダマント、B31階までがゴースト、B35階までがダークネス、B39階までがマシナリー、B43階までがドラゴニック、B47階までがジオ……になるっつー推測は立てられるんですが、問題はB49階からB51階とB53階からB55階なんですよね……。

 B51階までが苦戦した第十三層に出てきたオトギモンスターになると七面倒くせぇことになりやがります。

 数も多くなるでしょうし……。

 B53階からB55階に関しては『アナライズ』が使えなくて何もわからねぇ状態です。

 ……申し訳ありません」


 B13階で八体のウィザードスクオスを倒したあと、ライザがみんなに向かってここまでのフロアを見てきて分析した結果を伝えました。

 安全階を経ると敵のタイプが変わる、ということは私も気づけましたが、ライザは敵の出てくる順番と増え方も見抜いていたようで……。

 ライザには本当に感心させられます。

 マーチちゃんやサクラさんたち、シニガミさんたちもライザに感心していました。

 わからないB53階からB55階に関しては不安はありましたが、それについてはライザを責めても仕方がないでしょう。

 『アナライズ』の対策をしてきた「運営」が全て悪いのです。


 次に何がどのくらい出てくるのかが判明したことは大きかったです。

 心構えをすることができますから。

 ライザの見立てでは、次に出てくるのはウィザードリスセフ八体。

 私たちはその敵その数に対応できるようにして、階段を下っていきました。



 B14階に現れたのはライザの予測通りウィザードリスセフ八体でした。

 想定されていたことだったので、これまでで一番早く決着をつけることができました。


 B15階も予測通りウィザードアホクビ八体。

 瞬時に撃破します。


 B16階、安全階。



 B17階。

 ライザの考察は正解なのかもしれません。

 出てきたのはブルカンリスセフ16体でした。

 数が増えるタイミングは、どの敵と戦う時に増えるとは決まっていないためわかりにくい部分があります。

 ただ、同じ数のスクオス、リスセフ、アホクビ、タチシェスと一回ずつ戦うと次に出てくるのがその数の倍になる、というのはこれまでの流れからいって確かでしょう。

(ちなみに、ウィザードタイプはタチシェスが、ブルカンタイプはスクオスがエリアボスなので登場していません)

 相手の数の方がこちらの人数を上回りましたが、何がどのくらい出てくるのか、をライザから事前に知らされていましたし、この数なら私たちの素早さで圧倒できるので問題はありませんでした。


 B18階。

 ブルカンアホクビ16体。


 B19階。

 ブルカンタチシェス16体。


 ……B17階からB19階の内容って、ビッグタイプとブルカンタイプという違いはありますが、出てくる敵の順番はB1階からB3階と全く同じですね。

 第一層と第五層のダンジョンボスとエリアボスの配置が方角的に全く同じであることを思い出しました。

 ここからはループに入るようです。


 B20階の安全階を経て。


 B21階。

 ヴェノムスクオス16体。

 猛毒は食らわないので問題なしです。



 B22階。

 ヴェノムタイプのアホクビでしたが敵の順番が一周したようでその数は32体に。

 まだ対処可能な数ですが、この増え方には嫌な感じを覚えさせられました。

 ……これ、最後の方、すごい数になるのでは?


 B23階。

 ヴェノムタチシェス32体。


 安全のB24階。


 B25階。

 アダマントスクオス32体。

 特殊効果によって物理防御に優れているアダマントタイプのモンスターが出てくるゾーンに突入しました。

 私たちには魔法攻撃ができるマーチちゃんとクロ姉、それと特殊に分類される攻撃ができるベリアさんがいますから問題ありませんが。

(私やサクラさんは攻撃力で、シニガミさんは数でごり押しすることができますし)


 B26階。

 アダマントリスセフ32体。



 B27階。

 アダマントタチシェス――64体。

 ま、まだ大丈夫ですが……!

 この増え方、あとが本当に怖い……!


 B28階、安息の地。


 B29階。

 ゴーストスクオス64体。

 ゴーストタイプは物理攻撃が全く効かない特殊効果を持っていますから本来であれば苦戦を強いられる場面ではありますが、私たちにはクロ姉が装備に付与してくれた『全敵接触可』の特殊効果があります。

 難なく突破することができました。


 B30階。

 ゴーストリスセフ64体。


 B31階。

 ゴーストアホクビ64体。


 B32階で少し休憩。



 B33階。

 ダークネスリスセフ



――128体……!



 不安が……、不安が大きくなってきます……。

 真っ暗なフロアでダークネスリスセフは闇に溶け込んでいましたが、カラメルが魔法で当たりを照らして丸見えにしてくれたので難しくはなかったです。


 B34階。

 ダークネスアホクビ128体。


 B35階。

 ダークネスタチシェス128体。


 B36階、安全階でほっと一息。


 B37階。

 マシナリースクオス128体。

 暴走状態になっている機械型のモンスターですが、ゴーストやダークネスよりは楽でした。



 B38階。

 マシナリーアホクビ――256体。

 予想できていたことでしたが、ここでこの数は……!

 上に行きたくなくなってきます……。

 ゴーストやダークネスでこの数だったなら少し時間がかかっていたかもしれませんが、マシナリーは私たちからすれば得意な方に分類される相手のようでそれほど時間もかからずに倒せました。

 できるだけ何も考えないようにして下の階へ。


 B39階。

 マシナリータチシェス256体。


 B40階、十回目の安全階。


 B41階。

 ドラゴニックスクオス256体。


 B42階。

 ドラゴニックリスセフ256体。



 B43階。

 ドラゴニックタチシェス



――512体。



 いや、わかってましたけど、そうなるだろうなって思ってましたけど……!

 おかしいでしょ、この数!?

 誰が攻略できるんですか、これ!?

 ……みんなで協力して倒しましたけど。

 ドラゴニックはHPと攻撃が高いタイプでマシナリーの次に倒しやすかったので助かりました。


 B44階の安全階を経て。


 B45階。

 ジオスクオス512体。


 B46階。

 ジオリスセフ512体。


 B47階。

 ジオアホクビ512体。



 私たちはB48階で足を止めていました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る