第331話(終・第九章第11話) 第十三層
サクラさんたちも第十二層をクリアしています。
第九層で合流してからはボスとエリアボス戦以外は一緒に行動していましたので。
五人以上での行動になるのでペナルティが発生してしまいましたが、それでもサクラさんたちはライザの予感を信じてくれて、みんなで第十三層に挑めるようにするために経験値が入らなくなることを受け容れていました。
(サクラさんたちのボス戦は、一撃が重いサクラさんの攻撃と、鉄壁を誇るパインくんの防御、相手の特殊な守りを突破できるススキさんのスキルがあるため、倒せないということはなかったようです)
(ただ、ボスたちにはメインウエポンが効かなかったらしいキリさんは、活躍できなかった! と嘆いていました)
マーチちゃんとクロ姉は、コエちゃんと私(私は二回目)が第十二層をクリアするよりも前に「タチシェス地下帝国」ダンジョンをクリアしています。
彼女たちは第九層から第十三層(現在は真っ白な空間)を目指していたわけですが、クロ姉はつくることを得意としていますが壊すことにも特化していて、「インパクト」という地面を攻撃して衝撃波を発生させる技で第十層の壊れる壁や天井、床のギミックを突破し、どうしても見つけられなかった第十一層の透明な鍵が必要な扉は武器についている特殊効果・『ブレイクスルー』で強引に抉じ開けたのだそうです。
第十二層も、マーチちゃんにはカラメル同様に進化したリゼがいるので辺りを照らせて、足を踏み外すことなく進むことができたみたいです。
(マーチちゃんもクロ姉も強いので、ボス戦に関しては特に問題はなかった、とのこと)
マーチちゃんたちが一番苦戦したのは第九層の底なし沼かもしれません。
シニガミさんたちですが……。
彼女たちは私たちが第十二層を踏破した時、第九層にいました。
(どうやら私たちとはすれ違いをしてしまっていたみたい)
シニガミさんは一度クリアしているので底なし沼の仕掛けのことを知っていてそのギミックのことをアンジェさんたちに伝えるも、汚れたくないベリアさんに、私はあなたが言っていることが事実だと証明されるまで泥の中を探すつもりはない、と言われてしまって困り果ててしまった、とか。
シニガミさん、最上階まで繋がっている階段がある場所に行ける底なし沼がどこにあるか、までは憶えていなかったようです。
底なし沼を見つけられなくて大湿原を彷徨っていたシニガミさんたち。
(それもそのはずです……底なし沼のギミックが出てくるのは10階からなのですが彼女たちがいたのは9階だったのですから)
(ちなみに「スクオスの毒の大湿原」9階の階段は蔦で入口が隠されている大樹の洞の中にあります)
ライザが通話でサポートを計ろうとしたのですが、シニガミさんが意地になってしまっていて、この9階だけはなんとしてでも自力で突破したい! と聞かなくて……。
シニガミさんがそんな調子なのでアンジェさんは聞くわけにもいかず……。
ベリアさんは聞いてくれたらしいのですが、彼女、致命的なまでに方向音痴でした……。
ライザは店番も担っていたため三人の元に向かうことは叶わず……。
ということを目的地に到達したあと、私たちはライザからの連絡を受けて知らされました。
それで、すぐに向かえるという理由で私がシニガミさんたちを迎えに行くことに。
ライザの指示があったので今度はすれ違うことなくシニガミさんたちと合流することができました。
行き詰まっていたシニガミさんに、この階に底なし沼はない、ということを伝えると彼女は階段が蔦で隠されているフロアがあったことを思い出しました。
シニガミさんが上階に行く方法を記憶の中から呼び覚ませてからは、9階を抜けたのはすぐでした。
シニガミさんは意地になっていたことをライザに謝罪して、どうしてもわからなかったら聞くことを徹底してくれました。
それから二日かけてシニガミさんたちも第十二層のエリアボスの元まで行き、戦って勝利しました。
シニガミさんとベリアさんが戦闘に向いたスキルを持っているため、ボス戦で苦しめられてはいなかった印象です。
(ベリアさんが操る無数の真っ赤な剣は、実体がなくても斬りつけることができる仕様とのことで、それで触れられない第八層と第九層のエリアボスに対処することができていたのだとか)
「ラッキーファインド」に所属しているパーティはどこもボス戦に極めて強いですね……。
こういうのを特効というのでしょうか?
そこに行くまでの探索の方には若干の不安がありますが……。
……まあ、ライザがいればあっさり解決しますけど。
そして私たちは、何か懸念がある、と言うライザの意見に賛同して、残りの時間をレベルアップに費やしました。
そうして十二月十八日(月曜日)。
製品版発売から250日が経過した記念の大型アップデートが行われ、第十三層と第十四層が実装されました。
今日は「ラッキーファインド」のお店はお休みにして(事前に告知はしています)「踏破者の証」を使って全員で第十三層に向かいます。
第十三層機械エリア「ビリビリの街」。
そこは近未来的なイメージの街並みが広がっていました。
メタリックな外観の建物とホログラムになっている噴水。
ボディスーツのようなものと白のロンググローブとブーツを身につけて空を飛ぶNPCの方がいたり……。
民家がロボットに変形して飛んで行く、なんていう光景も目にしました。
それを見たパインくん、シニガミさん、アンジェさんの三人が、おおっ! と興奮した声を漏らしていました。
反対に、パインくんたちのその反応に、なんで興奮してるの? とまるで理解できないといった視線を彼らに向けていたのがキリさんとベリアさんです。
ススキさんはパインくんのことを微笑ましそうに眺めていて。
マーチちゃんとライザとサクラさんは、どういう仕組み? とロケットが飛んで行った方を見やりながら難しい顔をしていました。
(クロ姉は興味なしです……飛んで行ったロボットに見向きもしませんでした)
そんななかで私が抱いた感想は、
――コエちゃんの方がすごいと思うのですが……。
でした。
私はパインくんたちがロボットに興奮している間、ずっとコエちゃんの方を見ていました。
そのコエちゃんは私たちの表情を見て首を傾げていましたけど……。
まあまあな時間が経ってパインくんたちが落ち着きを取り戻したので、
――私たちは機械エリアダンジョン4「モンスター実験室」を目指しました。
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